表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崩れゆく世界で渇望している  作者: Altsaber
第一章 なおも朦朧としている世界
14/43

13 デートという名の活動

名をデートという活動


舞に連れられるまま、俺たちはこの街で唯一の娯楽エリアへとやって来た。


「うぅ……」


首元から締めつけられるような感覚がして、俺は襟元を引っ張り、少しでも服を緩めようとする。


「まだ慣れないよね、ごめんね。私が無理にこの服を着せちゃったのがいけなかった。」


舞はそう謝りながら、俺の襟のボタンを外してくれた。


この少し派手な服は、出発前に舞が「デートなんだからちゃんとおしゃれしないと」と言いながら、俺に着せてくれたものだ。


なぜ今回の外出がデート扱いなのかは分からないが、俺は舞の意向に従って着替えてきた。そして結果は、この窮屈な服にまったく慣れないということだった。


「大丈夫、慣れれば平気。」


俺は舞を安心させるように言う。


舞はまだ少し自責の念があるのか、珍しく静かになった。そのおかげで、俺も今の状況を少し考える余裕ができる。


この十日間、ずっと同じことを考えていた。静かに考える場所が欲しくて、あの白い部屋にこもり続けていた。舞には何度も文句を言われたけれど。


答えはまだ出ていない。それでも、白い部屋に留まることも、外へ出たいと思うことも、自分で決められている。目覚めたばかりの頃、目を開ける意志すらなかった自分に比べれば、少しは前に進んでいる。今はとりあえず、流れに身を任せよう。


「こっちこっち! ここ、糖葫芦売ってるよ。やせき、まだ食べたことないでしょ? 食べてみて。」


さっきまで落ち込んでいた舞は、いつの間にか前の屋台に立っていて、楽しそうに手を振っている。


屋台の小さな棚には赤い串がずらりと並んでいる。糖葫芦――第三区発祥の軽食だ。


第三区。かつて中国と呼ばれていた地域を中心とする区画だ。人類がSaliveによって壊滅的な打撃を受けた後、もはや以前のように互いに敵対し続ける余力はなかった。


そこで人類連盟が誕生し、すべての国家を統合。人口や面積、Saliveの規模などに応じて十三の区域に再編され、第N区と名付けられた。


俺たちがいるのは第三区。正確には、かつて日本と呼ばれていた地域だ。


「わあ! 見た目からしておいしそう。前にスマホで見たときから食べたかったんだ。やっと念願かなった!」


舞は糖葫芦を二本持ち、一本を俺に渡すと、もう一本にかぶりついた。


「うん! 甘酸っぱくておいしい! 期待を裏切らないね。」


山楂の種を袋に吐き出しながら、満足そうに感想を述べる。


人々の生活を見せるというより、舞自身が遊びに来たかっただけのようだ。今のところ、俺はずっと彼女に引っ張られている。


それでも文句はない。俺には目的がないのだから。


舞の真似をして、砂糖でコーティングされた山楂を口に入れ、ゆっくり噛む。甘酸っぱい味が広がるが、うまいともまずいとも感じない。俺にとって食事は、空腹を満たすためのものに過ぎない。


「次行こ! 今日はまだまだやりたいこといっぱいあるんだから。」


舞はもはや隠そうともせず、完全に俺を連れて遊び回っている。


普段の彼女は人前ではいつも真面目な顔をしている。こんなに無邪気なのは、きっと俺の前だけだろう。もしかしたら、これも彼女にとって初めての体験なのかもしれない。だからこんなに楽しそうなのだろう。


幸い、この場所には屋台も遊び場も多い。舞がこのペースで回っても、一日は十分に埋まる。


世界は人類にとって残酷だと聞いている。それでもここでは、人々は笑顔を浮かべている。街を歩き回るより、ここにいるほうが、よほど人々の生活を感じられる気がする。


「やせき、早くー!」


観察する時間も与えられず、舞はまた前へ走っていく。


「うぅ……私だったら絶対あの人を行かせないのに……」


映画館で舞は泣きながら、俺の服で涙を拭く。


「さあ来い来い、誰も私には近づけないよ!」


ゲームセンターで豪快に笑いながら叫ぶ。


「ねえ! ねえ! やせき! このパンダ、すっごく可愛いよ!」


パンダを指差して、満面の笑みを向ける。



一日はあっという間に過ぎ、日が西に沈む。夕日の余光が街を橙色に染め、舞は俺の手を引いて通りを歩く。


「今日がずっと続けばいいのに……」


舞はうつむきながら呟いた。


「望むなら、また今度も付き合うよ。本当は逆であるべきなんだろうけど。」


「ほんとに!?」


舞は目を輝かせて俺に近づく。その瞳は太陽にも負けない光を宿している。


「蓮に嘘はだめだって教わったから。本当だ。」


「うん!」


舞は勢いよく俺を抱きしめた。頬がすぐそばにある。そのとき、彼女の目つきがわずかに変わった気がした。空気が少し張り詰める。


何が起きているのか分からない。ただ、さっきの映画の展開を思い出すと、次は恋人同士の気持ちを確かめるキスの場面だった。


俺はまだ、舞をどう扱うべきか分からない。だから自分から動くことも、拒むこともしなかった。


「やせき……」


舞は小さく呟き、ゆっくり目を閉じながら近づいてくる。俺も映画を真似るように目を閉じた。


唇に何かが触れた。しかし、想像していた柔らかさはない。


目を開けると、舞の人差し指が俺の唇を押さえていた。


「こういうのは、やせきが自分からじゃないと意味ないんだよ。今回は見逃してあげるけど、次は期待外れにしないでね。」


そう宣言すると、舞は顔を背けた。今の表情を見せたくないようだった。


「ぐぅ〜」


俺の返事の代わりに、予想外の音が鳴る。


「ははっ! 一日中遊んでたらお腹すくよね。何食べたい?」


舞は振り返り、もういつもの笑顔に戻っている。


「まあ……歩きながら決めよう。」


だが舞は俺の返事を待たず、手を引いて歩き出す。


これも仕方ない。舞は毎回俺の意見を聞いてくれるが、俺はほとんど決断を示さない。結局いつも舞が決める。


数ある店の中、視界の端に赤い看板が映る。精巧な皿に盛られた黄金色の粒、その中に混じる黄色い欠片。看板からさえ香りが漂ってきそうだ。


それはチャーハンだった。氷宮に救われたあと、俺が最初に食べた食事だ。


足を止め、舞にここにしようと伝えようとしたとき、前方から小さな呟きが聞こえた。


「本当に……そうだったら、よかったのに……」


「何て?」


人混みのざわめきにかき消され、はっきり聞き取れなかった。


「なんでもない。あっ! あの店よさそう。あそこにしよ。」


そう言うと、舞は俺の反応を待たず、指差した店へ走り出す。


それが、まさに今日一日の俺の写し絵のようだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ