13 デートという名の活動
名をデートという活動
舞に連れられるまま、俺たちはこの街で唯一の娯楽エリアへとやって来た。
「うぅ……」
首元から締めつけられるような感覚がして、俺は襟元を引っ張り、少しでも服を緩めようとする。
「まだ慣れないよね、ごめんね。私が無理にこの服を着せちゃったのがいけなかった。」
舞はそう謝りながら、俺の襟のボタンを外してくれた。
この少し派手な服は、出発前に舞が「デートなんだからちゃんとおしゃれしないと」と言いながら、俺に着せてくれたものだ。
なぜ今回の外出がデート扱いなのかは分からないが、俺は舞の意向に従って着替えてきた。そして結果は、この窮屈な服にまったく慣れないということだった。
「大丈夫、慣れれば平気。」
俺は舞を安心させるように言う。
舞はまだ少し自責の念があるのか、珍しく静かになった。そのおかげで、俺も今の状況を少し考える余裕ができる。
この十日間、ずっと同じことを考えていた。静かに考える場所が欲しくて、あの白い部屋にこもり続けていた。舞には何度も文句を言われたけれど。
答えはまだ出ていない。それでも、白い部屋に留まることも、外へ出たいと思うことも、自分で決められている。目覚めたばかりの頃、目を開ける意志すらなかった自分に比べれば、少しは前に進んでいる。今はとりあえず、流れに身を任せよう。
「こっちこっち! ここ、糖葫芦売ってるよ。やせき、まだ食べたことないでしょ? 食べてみて。」
さっきまで落ち込んでいた舞は、いつの間にか前の屋台に立っていて、楽しそうに手を振っている。
屋台の小さな棚には赤い串がずらりと並んでいる。糖葫芦――第三区発祥の軽食だ。
第三区。かつて中国と呼ばれていた地域を中心とする区画だ。人類がSaliveによって壊滅的な打撃を受けた後、もはや以前のように互いに敵対し続ける余力はなかった。
そこで人類連盟が誕生し、すべての国家を統合。人口や面積、Saliveの規模などに応じて十三の区域に再編され、第N区と名付けられた。
俺たちがいるのは第三区。正確には、かつて日本と呼ばれていた地域だ。
「わあ! 見た目からしておいしそう。前にスマホで見たときから食べたかったんだ。やっと念願かなった!」
舞は糖葫芦を二本持ち、一本を俺に渡すと、もう一本にかぶりついた。
「うん! 甘酸っぱくておいしい! 期待を裏切らないね。」
山楂の種を袋に吐き出しながら、満足そうに感想を述べる。
人々の生活を見せるというより、舞自身が遊びに来たかっただけのようだ。今のところ、俺はずっと彼女に引っ張られている。
それでも文句はない。俺には目的がないのだから。
舞の真似をして、砂糖でコーティングされた山楂を口に入れ、ゆっくり噛む。甘酸っぱい味が広がるが、うまいともまずいとも感じない。俺にとって食事は、空腹を満たすためのものに過ぎない。
「次行こ! 今日はまだまだやりたいこといっぱいあるんだから。」
舞はもはや隠そうともせず、完全に俺を連れて遊び回っている。
普段の彼女は人前ではいつも真面目な顔をしている。こんなに無邪気なのは、きっと俺の前だけだろう。もしかしたら、これも彼女にとって初めての体験なのかもしれない。だからこんなに楽しそうなのだろう。
幸い、この場所には屋台も遊び場も多い。舞がこのペースで回っても、一日は十分に埋まる。
世界は人類にとって残酷だと聞いている。それでもここでは、人々は笑顔を浮かべている。街を歩き回るより、ここにいるほうが、よほど人々の生活を感じられる気がする。
「やせき、早くー!」
観察する時間も与えられず、舞はまた前へ走っていく。
「うぅ……私だったら絶対あの人を行かせないのに……」
映画館で舞は泣きながら、俺の服で涙を拭く。
「さあ来い来い、誰も私には近づけないよ!」
ゲームセンターで豪快に笑いながら叫ぶ。
「ねえ! ねえ! やせき! このパンダ、すっごく可愛いよ!」
パンダを指差して、満面の笑みを向ける。
…
一日はあっという間に過ぎ、日が西に沈む。夕日の余光が街を橙色に染め、舞は俺の手を引いて通りを歩く。
「今日がずっと続けばいいのに……」
舞はうつむきながら呟いた。
「望むなら、また今度も付き合うよ。本当は逆であるべきなんだろうけど。」
「ほんとに!?」
舞は目を輝かせて俺に近づく。その瞳は太陽にも負けない光を宿している。
「蓮に嘘はだめだって教わったから。本当だ。」
「うん!」
舞は勢いよく俺を抱きしめた。頬がすぐそばにある。そのとき、彼女の目つきがわずかに変わった気がした。空気が少し張り詰める。
何が起きているのか分からない。ただ、さっきの映画の展開を思い出すと、次は恋人同士の気持ちを確かめるキスの場面だった。
俺はまだ、舞をどう扱うべきか分からない。だから自分から動くことも、拒むこともしなかった。
「やせき……」
舞は小さく呟き、ゆっくり目を閉じながら近づいてくる。俺も映画を真似るように目を閉じた。
唇に何かが触れた。しかし、想像していた柔らかさはない。
目を開けると、舞の人差し指が俺の唇を押さえていた。
「こういうのは、やせきが自分からじゃないと意味ないんだよ。今回は見逃してあげるけど、次は期待外れにしないでね。」
そう宣言すると、舞は顔を背けた。今の表情を見せたくないようだった。
「ぐぅ〜」
俺の返事の代わりに、予想外の音が鳴る。
「ははっ! 一日中遊んでたらお腹すくよね。何食べたい?」
舞は振り返り、もういつもの笑顔に戻っている。
「まあ……歩きながら決めよう。」
だが舞は俺の返事を待たず、手を引いて歩き出す。
これも仕方ない。舞は毎回俺の意見を聞いてくれるが、俺はほとんど決断を示さない。結局いつも舞が決める。
数ある店の中、視界の端に赤い看板が映る。精巧な皿に盛られた黄金色の粒、その中に混じる黄色い欠片。看板からさえ香りが漂ってきそうだ。
それはチャーハンだった。氷宮に救われたあと、俺が最初に食べた食事だ。
足を止め、舞にここにしようと伝えようとしたとき、前方から小さな呟きが聞こえた。
「本当に……そうだったら、よかったのに……」
「何て?」
人混みのざわめきにかき消され、はっきり聞き取れなかった。
「なんでもない。あっ! あの店よさそう。あそこにしよ。」
そう言うと、舞は俺の反応を待たず、指差した店へ走り出す。
それが、まさに今日一日の俺の写し絵のようだった。




