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第八話 空腹
腹が減った。今までこんなことはなかった。
狐が私になろうとしている。
狐は私だけを食っていた筈だ。私の気を、私から生まれる不安や執着を。それだけではもう満足できないというのだろうか。私を通して、他のものまで飲み込もうと……?
世界が暗くなりつつある。狐が私達を闇へと誘っているのだ。なつきから離れなくては。彼までもが狐の餌になる前に。
「――きみつき」
「あ、なつき……」
普段と変わらない様子で彼が話しかけてきた。
駄目だ。そんなに寄らないでくれ。おかしくなりそうだ。
どうしよう、不味い。このままではいけない。離れなくては。竜胆さんにも言われたんだ。私が離れれば、なつきと狐との絡み合った憑き合いも、解くのが少し簡単になる。
あぁ、もう欲が抑えられそうにない。これ以上いたらいけない。今すぐ狐を、ワタシを、どうにか……。
……嫌だ、まだいたい。なつきの側に。
分かっている。分かってはいる。でも、あと少し。ほんの少し。それだけ……。




