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第六話 なつき
「なつき」
「ん?」
無邪気に私を振り返る彼。
「なつき」
「なにー?」
眠そうに机に突っ伏したまま顔をこちらに向ける彼。
「なーつき」
「なんだよ、きみつき」
笑って、じゃれてくる彼。
いつも、少し嬉しそうに彼の周りの景色が跳ねた。可愛くて、愛しくて。私も嬉しかった。
ただそれだけだった。本当ならそれだけでいい筈なんだ。それだけで、ありがとうと思えるのに。
どうしたらいい。
私に纏わり付くこの狐を。どう払い除けたら……。
あぁ駄目だ、悩んでいては。狐の美味しい餌になってはやらない。べったりと憑いているこの狐を祓う方法を、考えなくては。
もっと気をしっかり持たなくてはならない。私がワタシにならないように。
……ただ、きっと狐を祓ってしまえば私は正気を取り戻して、なつきの側にいられなくなる。それでもいいんだろうか。彼と別れて、その後どうする? なつきは……悲しむだろうか。




