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第四話 逆行
「私がいなくなったら、なつきは困る?」
いつもの通学路。なつきに言った。
いつも私達は一緒にいた。どんなときも。
彼が欲しくて、求めて……側にいたいとワタシが言う。でも、そのままでいいのだろうかと私は迷う。彼には彼の人生があるんだ。
「なんでそんなこと……?」
こちらを見上げる彼の顔は不安でいっぱいで、ワタシはなんて酷いことを言ったんだと思った。
ワタシがいなくなってはなつきは困るよな。そうだ、ワタシが守ってやらなくてはならないのだ。
「ごめん。なんでもないよ。もうこんなこと言わない」
そっと彼の手を握る。
「うん」
握り返された手は温かくて、愛しい。
なつきは一緒にいたいと言ってくれたんだ。だから一緒にいていい。ずっと一緒にいればいい。
……本当に? 夢を、いつかは終わらせなくてはならない日が訪れるのでは?
何故私はまだ夢を掛けている? そんなものなくたってなつきはワタシだけを見てくれる筈……。いや、怖い。本当に大丈夫だという保証が一体どこにある? 私は、ワタシは……どうしたら。