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第十八話 君に光を
からからと転がる落ち葉に混じって、階段を登る音が聞こえる。
私の方から行こうと思っていたのに、今日は先を越されたな。
「おかえり、夏気」
「ただいま、鬼見月」
別に彼はここに住んでいる訳ではないけれど、お疲れ様の意味を込めて言う。……いつかここに住んでくれるときが来たら、もっと色んな言葉を交わしたい。
それまで、ゆっくりと彼と歩みたい。変に急がず、休みたい時は休んで、私達の速度で。
――世界は正常に色を落とし、やがて白銀の世界がやってくる。
そんな中でも、変わらず夏の気を纏う君を愛しく思う。
……分かったことがある。
お互い、無や有を望んで唯一にしがみついた。でも、どんなに世界が色で満ちていようと、褪せていようと、一番鮮やかなのは変わらず夏気の側だった。
私は彼に、大切なことを教えてもらったのかもしれない。
そんな夏気の顔が陰ることがないように、私は私をしっかりと見、いつでも、いつまでも、この光で君の心を照らそう。




