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第十二話 混濁
「じゃあ出るとき鍵よろしくね」
「はーい」
やっとこの日が来た。
母さん達が出ていってから一時間後。僕は鍵以外何も持たずに家を出た。キみつキに会えることを願って。
祭りに行くなら暗くなってからがよかった。だってその方が、探しやすい。彼がよく見えるから。
歩いていたのに、いつの間にか早足になっていた。
祭囃子が聞こえる。もうすぐだ。鳥居をくぐって、階段を上がって、もう一つ鳥居を……。
夢中だった。
この先に、君がいる気がした。『あの日』と同じ、光のように真っ白な――
「あ」
そうだ。
今日は祭りだった。
境内は沢山の屋台や提灯のせいで明るいし、大勢の人で賑わっている。こんな所に彼はいないだろうと、僕は傍の暗がりに逸れる。
林付近を探し始めて十秒もしない内に彼を見つけた。木の側。丸まった紫紺の影があった。頬が緩む。僕は駆け寄って彼の名前を
「……っ」
あれ、名前が出てこない。なんだっけ。あの人の。
あぁ、そうだ。
「キミツキ」




