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第56話 卑屈なメンヘラ牛娘

俺達は朝食を食べた後、妖精さん達の用意してくれた迎えの船で無事、島に帰還することが出来た。


「帰ってきたぞーー!」


久しぶり? に島に帰ってきた俺のテンションはアゲアゲだ! ちなみにクリスと水の大精霊は大はしゃぎで島の探検に出かけてしまった。

リリスは朝が弱かったみたいでまだ船の中でお休み中だ。


「おかえりなさい、マスター。他のみんなはそれぞれやることがあるみたいなので後で尋ねて上げてください。

さて、早速ですがお伝えしなければならないことが沢山あります」


「おかえりー!」


「おかえりなのー!」


ディアンヌとちびっ子妖精さんが俺の帰りを迎えてくれる。あれ? ちびっ子妖精さん増えてない? 気のせい?


「あぁ、妖精が増えているのはちょこちょこゲートから島に来る精霊が増えたせいですよ。

流石にリーフィアだけではそこまで管理できないらしいですし」


「ここのご飯おいしーの!」


「気待ちがおちつくなの!」


うん、可愛い。手を広げたりブンブン振りながらどれだけ過ごしやすいかを伝えてくれる姿がとても可愛らしい。


「では本題に入りましょうか。まず、報告の1つ目。温泉についてです」


温泉!! そうだった! 俺、あのガチャで温泉当てたのにそのままカンネル王国に連行されたんだった!


「ほう、温泉でござるか! 拙者温泉は大好きでござるよ!」


「私も温泉は好きですね。お湯に浸かるのは気持ちいいですし」


「ヤミは嫌い。蒸し暑い」


俺に続いて船から出てきたシャルル、半蔵、ヤミの3人が風呂について喋り出す。ヤミは温泉が苦手なようだ。まぁ、最初の1回は無理矢理にでも入らすけどな!


「鬼畜! 主の鬼! 悪魔! 邪神!」


そんなに!? そんなにお風呂嫌いなの? まぁ、入らすんだけどさ。


「あんまりヤミをいじめちゃダメですよ、マスター。

・・・まぁ、最初の1回は無理矢理湯船に100秒浸からしますが」


「いやぁぁぁ!」


ディアンヌと2人でヤミをいじっていたらヤミが悲鳴を上げて逃げて行ってしまった。

やりすぎちゃったかな?


「もう、ディアンヌもご主人様もヤミのことをいじりすぎですよ。まぁ、私もその時になったら協力しますけどね。

じゃあ私はヤミのフォローに行ってきますね。」


そういってヤミの走っていった報告に歩き出すシャルル。なんか嫌な予感するなぁ。ヤミが立ち直れなくなりそう。


「・・・心配なので拙者も行ってくるでござる。では」


あっ、半蔵がフォローに向かった。なんだかんだ気が利くよね、半蔵って。


「さて、温泉の話に戻しますよ。温泉ガチャについてなんですが、ご主人様はまだ必須のアイテムを引き切っていません。

なので温泉がこの島に立つのはまだ先のことになります」


「な、なんだってぇーー!」


う、嘘だぁ! 俺は特賞の湯脈をちゃんと引いたはずだ! それなのに、、、なんで?


「簡単じゃですよ。その湯脈を掘り出して、適温に保つ施設、すなわち1等の «施設:温泉» が引けてないじゃないですか」


ほんとだぁ・・・

湯脈だけ引いても意味なかったんだァ・・・


「ということでマスターの爆死はまだまだ続きます! やりましたね!」


「やりましたね!じゃねぇよ!!」


うわぁぁ、またあの爆死を味わいまくる日々が始まるんだ!


「まぁ、安心してください。特賞よりはかなり出やすくなってますんですぐに出ますよ」


はい、出た! 本人の許可なく勝手にフラグ建てるやつぅー! これ爆死不可避じゃないですかやだぁ!


「ご主人様がガチャの何をそんなに恐れているのか知りませんが、次の話に移ってもよろしいですか?」


「あっ、はい」


「次は貿易で手に入れた牛についてです。簡単に説明しますと、牛が進化しました」


「はぇ?」


ディアンヌが言うにはこの島の濃密な妖気を浴びたことで牛達がそれぞれ独自の進化を遂げ、少し面倒なことが起きているという。


「大半の牛は知能がつき、大人しくなったのですが、1匹? だけ少し厄介な問題がありまして」


「どんな問題?」


「んー、そうですね、それは実際見てもらった方が早いでしょう。着いてきてください」


そう言われて連れてこられたのは、あの俺も監禁されたことのある牧場だった。中からモウモウといった声が聞こえてくる。聞こえてくるのだが、、、


「ねぇ、先にちょっと質問していい?」


「はい、なんでしょう」


「誰かアイネのことまた怒らせたの?」


「いいえ、アイネはとってもご機嫌ですよ」


「そ、そっか」


なんとなぁく、問題というのが分かってきた気がする。ちなみにモウモウ言ってるのは1匹だけだ。多分その牛が問題なのだろう。


俺たちは牧場の中に入る。そこには形は牛の原型は残していながらも翼が生えていたり、色が違っていたりする10頭ぐらいの牛が所狭しと並んでいた。


どの牛も大人しく、何故かとっても大人びたイメージがある。


「ねぇ、これ放し飼いでも大丈夫なんじゃない?」


なんか、搾乳の時間になったら自分から帰ってきそうなぐらい大人しい。


「えぇ、実はマスターのお許しが出たら元々そうするつもりだったんです。なので今日からあなた達は自由ですよ。

あっ、でも搾乳の時間だけは帰ってきて下さいね」


「「「「モーーーー」」」」


・・・牛なのになんでこんなに揃った返事が出来るのだろうか。

まぁ、それはいい。本題に入るか。


「えぇ、あの牛です」


ディアンヌが指さした先にいたのは人だった。いや、正確には人型の牛というのがいいだろう。


見るからにおっとりしていそうな顔つきのお姉さん系の美人で、かなりグラマラスな体型をしている。

そんな美人のお姉さんの来ている服は何故か毛皮で作られた布キレ1枚だ。


そんな牛が牧場の牛の横で四つん這いになりながらモウモウと鳴いている。


・・・なんだこれ?


「この子、どうしたらいいんでしょうか」


「知らないよ! 分かんないよ! てか、喋れるの?」


「あっ、初めまして牛です」


「喋れるんかいっ!」


「はいー、私喋れるだけが長所なんですー」


お、おう。牛が喋れる時点でかなり凄いと思うんだけどな。


「私ぃ、どれだけお胸を搾ってもミルクが出なくてぇ、ここに置いておいてもらうために頑張ってるんですぅ!」


「ほ、ほぉ、そ、それで?」


「でもぉ、気づいたんですぅ。ミルクの出ない牛は役立たずだって」


そこには異議を唱えたいけど、まぁ後にしよう。


「だからぁ、せめてお肉として皆さんの血肉になろうと思ってぇ」


「ちょいちょいちょいちょい! 待って? お、お前、俺たちに自分を食べさす気だったのか?」


いやいや、流石に無理よ? 人型の生物は俺受け付けないよ? だってまんま人じゃん? 美人なお姉さんじゃん?


「やっぱりぃ。私の穢れたお肉なんて食べられないですよね・・・」


「いや、違ぇよ! というかなんでそんなに卑屈なの?」


「だって、私ぃ、他のみんなより役立たずだしぃ、もう生きてる価値ないかなぁって」


・・・何だこのメンヘラ人型牛。と、とにかく自殺とかされるのは寝覚めが悪いし、どうにかし自信を持たせないと、、、


「で、でもさ、出来ることとかあるかもしれないじゃん?」


「あるわけないじゃないですかぁ! こんなノロマな役立たずの牛にぃ!」


な、なんだこのメンヘラ具合! 俺は思わず助けを求めてディアンヌの方を見る。

しかしディアンヌは首を横に振り諦めた表情をしている。


「みんな私に優しくしてくれるけどぉ、私はみんなに何もしてあげられないんですぅ、、、」


え、ええい! もうやけだ! 適当に綺麗事言ってこの子に生きる希望持たせてやらぁ! 癒しの象徴仕事しろよ! コンチキショー!


「じ、じゃあさ、俺と一緒にできること探さない?」


恥っず! なんだこのギザな言葉! 恥っず! 顔真っ赤なるわ!


「わ、私の為に島の主様がそこまでしてくれるのですか?」


「も、勿論だよ! 君だって大事な島のなかまなんだからさ!」


あっかん! ほんとに顔から火がでそうなんだが? あっ! ディアンヌ! お前笑ってんじゃねぇ! 写真も撮るな!


「は、はい! 私頑張りますぅ! 頑張って、皆の恩返し出来るようになりますぅ!」


「うん! 頑張ろう! 一緒にみんなのために!」


「はい!」


な、なんとかなった? なんとかなったよな?


俺の羞恥心は酷いことになっているけど気にしないでおこう!

それと人型の牛さんの尊敬の眼差しが凄いけどそれも気にしないでおこう!


あっ! ディアンヌ、吹き出すんじゃない!


『ありがとねぇ、あの子本当にいっつも悩んでたから私達も心配だったのよ』


うわっ! なんだ? ルーちゃんと交信している時のように、頭のなかに直接声が聞こえてくる感覚が突然襲ってきた。


『あら、ごめんなさい。私はここよ』


「モーーーー」


そういって鳴いたのは虹色の毛をもつ牛だった。


『あの子のこと救ってくれてありがとねぇ。あの子、自分の魅力ってものに全く気づいていないのよ。でも、大丈夫。あなたならきっとあの子の魅力を最大限に引き出してくれるわ!


それに島の主だってことは分かってたけど、まさかみんなが言うようにここまで素晴らしいお方だとは思っても見なかったわ。


だって今までの主達は私達をミルクのでる機械としかおもってなかったのだもの。でも、あなたは違う。あなたは私達を仲間だと言ってくれたわ。

これからもあなたの為にできる限りおいしい牛乳をプレゼントするからよろしくね』


「は、はい、よろしくお願いします」


なんか全てが良い方に転んだようだ。というかみんなどんなこと噂してたの? 滅茶苦茶怖いんだけど!

あっ、そうだ! 大事なこと忘れてた。


「ねぇディアンヌ、この子達の名前ってあるの?」


「いえ、ありませんね」


なら付けよう。みんな仲間だって言っちゃったもんね。


「みんなにお名前つけていいかな?」


「「「「モーーーー!」」」」


「もううううう!」


うん、多分okだろう! とびきりの名前付けてあげるからなぁ!


ここまでご覧いただきありがとうございます!

よろしければブックマーク登録などよろしくお願いします!


ブックマーク登録70人突破、そしてpv40000突破ありがとうございます!

皆さんからの反応が私のモチベーションをアップさせます、いつもありがとうございます!


あと、今回の虹色の牛さんの言葉はこの小説の世界での話です。

もし、気分を害された方が居ましたら申し訳ございませんでした。



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