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飽きない日々を求めて ~異世界で最強になってみた~  作者: 夢幻
6章 僕はもっと強くなる(アルカ~ノーゼン)
52/89

ふざけるのも時には大切

遅くなって申し訳ありません。

次の日。


朝食を食べ、準備を終えた僕らがいた。


「点呼! はい!」

「1!」

「2!」

「3!」

「4!」

「5!」

「「「「「「…」」」」」」

「ねえ、やる意味、あった?」

「…ないな」

………そして、阿呆なことをして遊んでいる僕らがいた。


「さて、出発の準備が整った。やり残したことはないか?」

「…今更?」

「ないよ~」

「…だよな」

「頭、大丈夫?」

「そこまで言う!?」

僕の心だけ疲弊した。


「では、行こうか」

「「「アイル ビー バーーーック!」」」

「「?」」

「…使い方違うだろ」

…とてもそう思います。




ハーネスに乗って平原を駆けている。始めは思ってたより速い速度が出てニーナが凄い顔をしてたけど、今は楽しそうだ。二人三列という配置になってて、僕が運転し、隣にメア、後ろにノイン、その隣にユウ、ノインの後ろがニーナで、その隣がロイドだ。珍しかったのが、ノインが横に乗ろうとしなかったのだ。いつもそういうのをメアと争うのを見てたため驚きである。

今更だが運転席は左に作っている。…一度乗ってみたかったのさ。


平原ってことあってのどかである。たまに木こりさんと会い、手を振ったりしている。…相手は驚いていたけど。聴力強化して聞いた結果、

『あれは、新種の、魔物なのか?』

やはり魔物に見えてしまうらしい。まあ、気にしちゃ負けだ。うん。そうなのだ!


「ところで、ほんとに魔物が出ないな」

「確かに…。どうなってるんだろ?」

「…さあな」

「勇者が魔物を集めているとなると一大事ですね」

「ま、どうにかなるんじゃない?」

「…ノインよ、お前のその余裕はどこからきてるんだ?」

ほんとにどこからきてるんだろ…。まあ、どうせ何かあっても僕が守るんだけど。


「なあ、トレイルまでどれくらいかかるんだ?」

「…大体二日」

「この速度で?」

「…ああ」

思ってたより遠いんだな。


「あ、魔物」

「ほんとですね」

前方三百。障害物発見。


「…やります?」

「…踏みつぶせ」

「え? そんなのできるわけ-」

「ほーい」


メアに訊かれノインが止める中、躊躇いなく速度を上げた。そして、残り五十あたりの時に突然車が跳ね上がった。ユウとメア以外いきなりのことで驚いているが気にしない。そして、着地したときに「グシャ」って音がしたが何のことだかわかんない。


「今、殺人現場を目撃した気がするんですが…」

「え? 何のこと?」

「今! 目の前! 魔物!」

「え? そんなのいた? なあユウ」

「…いなかった」

「ほら、何もいない」

「………もういいです」

何があったのか知らんがノインが情緒不安定だ。…ほんとにどうしたんだろ?


『前方三キロ先、十二もの生命反応を検知』

マインが言う。


「何があった?」

『冒険者のようです。見られると厄介なので迂回することをお勧めします』

「厄介?」

『銅ランクの冒険者が二人、銀が一人います。普通なら(・・・・)強いパーティーです』

「普通なら?」

『それは身の回りにいるでしょう』

「ああ、そういうこと」

『中には奴隷商人もいます。面倒なことは避けるべきです』

護衛、か。上のランクなのだからそこまで大事な人の護衛なのだろうか?…気になる。


「なあ、少し先に行ったところに冒険者がいるらしい」

「…それが?」

「なんでも銀がいるんだとよ」

「へえー」

「それで、その中に奴隷商人がいるってことらしい」

「商人が偉い人か、もしかしたらってこと?」

「まあ、そんなとこだ。どうする?」

「…任せる」

「俺は助けたい。余裕なんだろ?」

「ノインも賛成!」

「私はアキさんにお任せします」

「ニーナは何もできないからお留守番」

賛成三、否定ゼロ。決まりだな。


「じゃ、突っ走るぜ!」






「おい、もうちょい速くならねえのか?」

「無理だな。荷物を捨てるってならいけるが」

「ちっ、仕方ねえな。折角の上玉を捨てる訳にもいかねえしな」

「なら我慢しろ」

「あと、ちゃんと報酬は-」

「大丈夫じゃ! それくらいはある! 最後までいけば褒美は弾むぞ」

「期待しておこう」

他のやつらがそんなことを言ってる。


俺の任務は護衛ってわけだけど、正直この仕事はいけ好かねえ。元々奴隷が好きじゃないからしたくねえってことだったのに、他の野郎が金になるからやりたいって言うから仕方なしにやってるんだし。第一、俺、そんなに金に困ってねえし。なんでこんな危ないことまでして金を欲しがるかねえ? わからん。


「ん? なんだ?」

「どした?」

「いや、さっきから聞きなれねえ音がするからよ。」

「…確かにするな。新種か?」

「さあ。…隠れるか?」

「だな。」

こういうことだけは達者なんだよな。


近くにあった森に身を隠し、様子を見る。

「…? なあ、音が」

「消えた、な」

「いきなり止まるか? あの速度で来て」

「普通はないな。何かあったか?」

『それは、あんたらをここに誘うためだよ』

「「「!」」」

後ろから、耳元で声がした。咄嗟に飛びのき後ろを向く。


「やあ。」

一人の男がいた。防具は一切なく、奇妙(・・)な服を着ていた。その男の手にはメンバーのリュウの首を持ち、締めていた。リュウはノビている。


「何者だ?」

もう一人のケールが訊いた。こいつは只者じゃねえ。俺の勘がそう言ってる。


「僕は、単なる人族さ」

そう言うとそいつは消えた(・・・)。えっ。


「まあ、こんなもんさ」

そういって右を見るとさっきと同じようにケールの首を絞めていた。速過ぎる!


「次はお前か」

男は一歩踏みだす。


「なあ、お前、ランクは?」

そんな状況ではないが聞きたくて仕方がなかった。明らかに金の強さがあったから。


「俺? 紫だけど」

「は? 嘘だろ?」

「なったばっかなんだよ」

どうやってじゃあ、今まで生きてきたんだ? 訳わかんねえよ。


「じゃあ、お前もくたばっとけ」

男が消えた。俺は短剣を両手に(・・・)首の前後を守った。


「反応がいいな。銀ってのはお前か」

手で剣を握るのは流石に悪いってか。一応人間なんだな。


「俺のこと知ってるのか?」

「いや、全然」

不思議な奴だ。どうしてそこだけ知ってるんだ?


「なあ、折角だしお前から来いよ。攻められてばっかじゃ嫌だろ?」

そんなことを言いだした。誘われてるな。まあ、そんなこと言ってらんないんだけど。


「じゃ、お言葉に甘えて」

得意技をかましてやる!


「外破二刀流 〈龍閃〉!」

ただ、一回踏み込んで飛び出し「X」の形に斬るだけだが、防ごうにも一刀では防げないほどの力をぶつけることの出来る汎用型だ。単純なだけに精度を上げやすく奥が深い、というわけだ。初見では測度に追い付かず、合わせれても押し勝てる。


男は何故か縦に剣を力強く振った。空振りか? ならもらった!


「真空波!」

違和感を感じ、咄嗟に剣を振ったが押し負けた。


「な、に…」

「速度はなかなかだが、パワーがまだ足りないな」

そのまま肩を斬られ、倒れた拍子に頭を打ち視界が暗転した。

戦闘が下手なのは許して…


もう、今年終わりですね。

みなさん、よい年越しを。

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