変わり果てた人たち
番外編というよりあの人は今、ていうほうが近いですね。
--- レイ ---
クラスの皆はいつも通り鍛錬に励んでいる。…何故か異様に殺気立ってる気がするが気のせいではないのだろう。
私は最近、練習に身が入っていない。こんな状態では効率が悪いため休ませてもらっている。部屋に戻り、ここ最近ずっと考えていることに頭を使う。
一週間前、私たちの前からユウとアキがいなくなった。アイゼンヴァレイン(森の名前)の奥にあるゲートで魔界へ行ってしまった。私たちも行こうと思ったが、その時にはゲートがなかった。国王はゲートの存在を初めて知ったと驚いていた。…ちゃんと見回りには行かせてたのかな?
その後の調べで分かったが、このゲートは週に一度、9時~10時に開くらしい。曜日にして月曜日だ。自然現象なので、何故かははっきりされていない。
国王はこのことは秘密にすることにした。行方不明の勇者は鍛錬が嫌になり自分から出て行った、ということになった。他国との関係を考慮してこうしないといけなかったらしい。…鍛錬が嫌で逃げたというのもどうかと思うけど。
このことが決まったあと、私たち全員がいるところで説明された。私とミキはあんまりだと言ったけど他の勇者35人全員にその言葉をつぶされた。むしろ討伐に行くべきだというやつもいた。そいつを視線で威圧はしておいたが、多数決はここでも顕在だった。討伐には行かないが、行方不明という扱いには変わらないらしい。
ちなみに先生は事件の現場にいなかったが心配だとのこと。そして捜索を依頼していた。勿論、拒否されていた。それがショックで何も言えてない。…生徒が大事なようで私は少し嬉しかった。あと、ナオマサはその場にはいなかった。ちょっと散歩してくると言い、中庭で寝転がっているのを見たという。…何してんだよ。いや、あいつなら普通か。
その時はおとなしく引き下がったが、最近の皆はおかしい。理由はわからないが、『魔族は敵でありそれにかかわるものは即刻排除する』というアイゼンの方針を受け継ぎすぎている。二週間ちょいでこうなるものなのか? でも、確かにここでの暮らしにはそう暗示させるようなものが多かった。この世界の雑学も教えてもらっているが、明らかに魔族を批判する内容が多い気がしていた。それがこの世界全体で起こっていることだと言ってた。…もうちょい周りを見てみたいものだ。
そんなことよりも、どうしてアキが一緒に行ったのかがわからなかった。ユウの話に共感したのか同情したのか単に乗っかっただけなのか。今のところなんとも言えない。ただ、頭は悪くない。何か考えての行動だと思うが…。ユウの話もユウの過去、というか前世の話をし始めたあたりからしか聞いていない。…だいぶ今更なのだが、転生って存在したんだな。
私も私なのだが、あの時、急展開過ぎて止められなかった。それがたまらなく自分が嫌になった。
あの時は助けてくれたのに。恩を返そうって、助けになろうって決めたのに。
私は助けられなかった。
…私はどうしようもないな。
次の日、またダンジョンへ行くことになった。そこでは、
「魔物を駆逐しろー!」
「「「「おおー!!」」」」
「おらおら! おとなしく死んどけや!」
「経験値として我の糧となれ!」
荒れていた。もう、魔物もを見ているのがかわいそうなくらい、勇者が怖かった。最後の人なんか、もう手遅れな気がした。なんか、殺戮を楽しんでいるようにみえる。ここはもうおわりかもしれない。
5人組で組むはずだったが、私のメンバーは3人だ。ただ、アキとユウがいつも場を作ってくれてたので、なんか居づらい。連携もあまりうまくいかなかった。2人も相当参ってるようだ。こんな時、二人がいれば…。どうしたらいいんだ…。
夜になり、眠れなくて城の中を歩いていると一人の男がそわそわしながら歩いていた。確か…足立だ。あの時、討伐に行こうと言い出した張本人だ。あの時以来、足立のことは好きではないので近づきたくないのだが、嫌な予感がしたので後をつけてみた。すると、町の外の平原で魔法を唱えていた。…何の魔法なんだ?
「〈誘導支配〉!」
すると、足音が徐々に近くなり、地響きが起こり始めた。な、なんだ!?
「我が声に従ひて、汝の深層を解き放つ!」
揺れがはげしくなる。そして、
「我が僕よ! 現れいでよ!」
魔物の大群がやってきた。それも大量の。あれが、足立のオリジナルなのか?
「我の声に応えしものよ! 我に汝の命をささげよ! 我は汝の活躍を期待する!」
魔物を、操る、魔法。あれは人族にとって禁忌のはず。…どうして?
「それはな、魔族が嫌いだからさ。」
「!」
気づかれていた! 〈気配遮断〉まで使ったのに! 一体どうなってるんだ?
「…どういうことなんだ?」
「決まっている。俺たちは魔王を倒し、魔帝を倒し、元の世界へ帰る。それにはあいつら二人は邪魔なんだ。だから、潰すために魔物を集めて戦力にしている。」
「禁忌を犯すっていうのか?」
「へっ! そんなの関係ねえよ! それに国王、クルソンさんには許可を貰っている。遠慮なくやれとも言われている。なのに、何が問題なんだ?」
相当ヤバい状況だ。なんとかしてやめさせたい。でも、武力ではだめだ。論破するのはできない。なら、どうすれば…。
「お前やミキ、ナオマサはあまりこの作戦には賛成的ではないようだが、他のやつらはみんな文句が無いそうだ。みんなからもいいと言われているこの状況でよく言えたもんだよな(笑) 牢にでも縛って邪魔できないようにしようか? ああ!?」
…もう、無理らしい。この人らはもう。
本当に、どうすればいいんだ…。
アキ、助けてくれ。
なんか、もうよくわかんなくなってきました。
この内容はどこかで回収できたらいいなと思ってます。そう遠くない時に。




