石龍の花嫁(せきりゅうのはなよめ) その5
善女龍王は困惑した表情で首を横に振り
「いいえ。それがさっぱりわからないの。渦巻状列石の謎の他にもまだ謎があるのよ。その古文書には・・・」
と続けて話してくれた謎の文言とは
・龍頭は水を操る
・龍頭は能登より出づる
・春分の辰 寅より昇り四海(東西南北四方の海)を統べる
だった。
「この三つの文言と渦巻状の列石は関係があるんですか?」
善女龍王は考え込みながら
「それもわからないの。列石がとぐろを巻いた龍を表しているとも考えられるのだけど、それなら渦巻の列石から外れた場所に置いてある独楽の形の石が何を表しているのかがわからないし、文言の意味もわからないし・・・今まで考え続けても答えがでないのよ。」
とため息をつき途方に暮れているようだった。
私にもチンプンカンプンだったが、若殿という頼もしい頭脳がついてる!と胸を張り
「若殿に任せてください!すぐに解決して見せますよ!」
とエヘン!と威張ると若殿は渋~~い嫌そ~~な顔で
「お前はまた勝手なことをっっ!話を聞いただけでわかるハズないだろっ!」
と怒った。
頭を使いすぎたので眠くなった私がふゎ~~~!と欠伸しながら
「もう寝ましょう~~~!」
と横になると私を真ん中にして三人が川の字になって寝ることにした。
「何をしているっ!やめろっ!」
と突然の鋭い低い怒鳴り声で眠りを覚まされた私がまだぼんやりしながら声を聞いていると
「・・・・拒絶なさるの?では龍を宿した証拠はお見せできませんがそれでもよろしいの?」
と押し殺して掠れた、語尾が少し震えた女性の声が聞こえた。
「子供のそばでこんな恥知らずな事を続けるなら今すぐ帰ってくれ!朝までここにいる必要はない!出ていけっ!」
と若殿が言い放つのを聞き
『あぁ~~あ~~~、見たかったなぁ~~龍の証拠。』
とガッカリしながらまた眠りについた。
朝起きてみると善女龍王の姿はなく、若殿の話では屋敷を去ったとのこと。
善女龍王を怒らせたのを恨めしく思った私は
「ど~~して朝まで我慢しなかったんですか?一生恨みますよっ!一体何されたんですか?」
と若殿を責めたてた。
(その6へつづく)