婚約書
詩織「ま、待ってよ!
婚約書!?婚姻届けじゃなくて!?」
伊織「そう。
しきたりってものがあるんだよ、神には。」
詩織「へぇ。
ねぇ、やっぱり私も、そういうの覚えたほうがいいの?」
伊織「あー、、まぁ、本来は覚えなきゃいけないだろうけど、大丈夫。
ちょっとずつ覚えていけばいいからさ。
覚えるまでは、っていうか覚えてからもだけど、俺がそばにいるから。
安心しろ。これでも結構高い位の神なんだからな。」
っ、ふ、不覚にもドキッとしてしまいそうになった…
でも、なんか…かわいい…
伊織「着いたぞ」
詩織「わぁ、おっきい。
ねぇ、周りを見てて思ったんだけど、地上と天界って、あんまり変わらないよね。」
伊織「…いわれてみれば、確かに。
って言っても、着物の素材や、食材は違ってくるからなぁ。」
詩織「え、違うの!?
私、食べられるか心配…
それに、結構地上の料理好きだったんだけど…」
伊織「あ、あぁ、でも、地上の料理が食べられなくなるってわけじゃない。
違うものもあるってだけだから。
な、そ、そんな悲しそうな顔するなって」
詩織「ほ、ほんと!?
地上の料理、また食べられるの!?」
伊織「も、もちろんだ。
詩織はそんなに、地上の料理が好きだったのか?」
詩織「いや、そういうわけじゃないんだけど…
ほら、家があんな扱いだったからさ、まともなもの食べてないんだよね。
大体残り物とかだったし…」
伊織「…そうか。
でも安心しろ。地上で食べられなかった料理も、天界の料理も、
もう食べきれまいってくらいに食べさせてやるからな‼」
詩織「うん、ありがとう。
…ちゃんと奢ってよ?」
伊織「夫婦なんだから、奢るも何もないだろう?」
詩織「言っておくけど私たち、まだ婚約書も届けてないのよ?
夫婦以前の問題だと思うけど」
伊織「うっ、確かに…」
なんか抜けてるわよね、こういうとこ…
伊織「そうと決まれば届けに行くぞ‼」
詩織「はぁ、この先大丈夫かしら…」