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X・おまけ

本日二話目です。おまけエピソードになります。『ふとめ令嬢は王子様の夢を見るか』を読んでいないと意味が分からないかもしれません(不親切ですみません・汗)

ある意味、これを書くために書いた作品なのに、最初の作品より長くなった不思議(笑)お楽しみ頂ければ幸いです。

「マルティナを舞踏会に連れて行っているそうだな」



 未来の義父の言葉に、カルロは顔を青ざめさせた。


「そ、それはその…オレはマルティナ以外のパートナーは…」

「どのパーティーに出ようが勝手だが、私の可愛いマルティナを連れ出すとはどういうことだ? 借金完済までマルティナとは距離を置けと言わなかったか?」

「あの、距離は置いてるつもりで…お約束通り、マルティナにす、好かれる様な言動は避けております…」

「当たり前だ。覚悟が足りないんじゃないか? 少なくとも私はこの程度の事すら完遂できないような男に娘をやるつもりはないぞ」

「はい、分かってます…」


「マルコ様、お客様みたいですよ」


 項垂れるカルロを見かねて、エドが声を掛ければ、明らかに言い足りなさそうにしながらマルコは椅子に凭れ掛かる。


「―――今日は帰ってもいい」

「はい。失礼します」


 カルロが部屋を出ていくのを見届け、ドアを閉めたエドはマルコを見た。

 カルロ様のマルティナ様への暴言は貴方が原因だったのか。

 エドは深い溜息をついた。


「マルコ様、カルロ様をいじめ過ぎですって! カルロ様も頑張ってるんですから、少しはマルティナ様とのことも認めて…」

「却下」

「…いびるのも大概にしないとティアナ様に言いつけますよ?」

「気を付けよう」

「効果絶大!」


 幼い頃から色々と面倒を見てくれているルークに聞いた魔法の言葉だが、その効果に恐れ戦く。


「正直、今の社交界でカルロ様以上のお相手はいないと思いますよ? ルックス良し、頭良し、家柄良しで、努力家でマルティナ様にぞっこんとかもうこれ以上ない物件ですよ」

「マルティナに近づく男は全員気に入らない」

「狭量にも程があるでしょ!」

「全く…本当ならば婚約も許したくなかったのに忌々しい」

「え? カルロ様とマルティナ様の婚約は、ブルーバード侯爵家の負債をホワイトハート男爵家が肩代わりした代わりに想い合っている二人を結ばせるって話じゃなかったんですか?」


 エドがそう聞けば、マルコは苦い顔をした。


「あの程度の小銭で可愛い娘をやるなどあり得ない」

「小銭って…侯爵家潰すほどだった筈ですけど」

「あれはマルティナではなく、あの小僧の為にティアナさんが決めたんだ。侯爵夫人が亡くなった時、ブルーバード侯爵は自分の事で一杯一杯だった。今より更に幼かった小僧には支えが必要だったからな」

「そうだったんすか…」

「ブルーバード侯爵夫人はティアナさんの親友だったから、優しいティアナさんとマルティナは放って置けなかったんだろう。私個人としては、ティアナさんと結婚する前、『顔が嘘臭い』という意味の分からない理由で散々ティアナさんとの仲を邪魔されたから、余りいい印象はないが」

「………」

「本音で言えばマルティナはずっと手元に置いておきたいが、ティアナさんは孫の顔が見たいというし…他の男に渡すのは業腹だが、流石に私の種をやる訳にもいかないからな」

「当たり前でしょう!? 何言ってんだあんた!? 完全にアウトですから! そんな事しようもんなら、ティアナ様との破局一直線、離婚待ったなしですよ!?」

「お前が消えれば、今の言動もなかったことになるな」

「怖い怖い! 発想がいちいち怖い!」


「騒がしいな。一体、何の騒ぎだ」


 ドアが開き、騒ぐエドの背後から一人の男が顔を覗かせる。


「グリーンウッド伯爵!」

「何だ、お前もいたのか。これ、頼まれてた資料だ。確認してくれ」


 騎士服を身に纏った男はそう言ってマルコに資料を手渡した。

 マルコは受け取った資料に目を通している中、男―――テオボルト・グリーンウッドは目を細めてエドの頭を撫でる。


「エドワルド。元気にしていたか?」

「その名前で呼ぶの止めてよ。恥ずかしい」


 苦い顔でそう言えば、テオボルトは不服そうな顔をした。


「どこが嫌なんだ。三日三晩考えて付けた名前だぞ」

「貴族っぽいのが嫌なんだよ」

「貴族だろう。お前はオレの唯一の跡取りなんだから」


 その言葉に、エドはもう何度目かになる溜息をつく。


「血は繋がってるかもしれないけど、オレは平民の方が性に合ってるんだよ。今はカルロ様の従者もしてるけど、ブラックベール商会に席置いて働いてるし。それに、テオボルト父さんとジーナ母さんは結婚してないし、立場的にオレは庶子でしょ?」

「え? まだジーナと結婚してないんですか?」


 何してるんだと言わんばかりの目で見られ、テオボルトは不貞腐れた。


「ジーナが頷いてくれないんだよ。グリーンウッド伯爵家はジーナもエドワルドも受け入れる準備は出来てるのに…」

「ジーナ母さん、売れっ子だしね。結婚するとファンが離れるって言ってたから」

「エドワルドがマルティナ嬢と婚約したら結婚するって言ってるんだが」

「何で!?」


 エドがギョッとすれば、当たり前の様にテオボルトが言う。


「そりゃ、ジーナがティアナのファンだからだろう?」

「そうなの!? 初耳だけど!?」

「いいじゃないか、マルティナ嬢。可愛いし、優しいし…何よりもティアナの子だ」

「両方ともあげませんけど?」

「マルコ様、顔怖い! 顔怖い!」


 エドが顔色を変えて後退ると、マルコがゆらりと立ち上がった。


「全くどいつもこいつも私の女神と天使に不埒な事を…いっそここで…!」




「マルコ様ー、おやつの時間ですよー?」

「はい! ティアナさん、今行きます!」

「「切り替え早っ!」」




 先ほどまでの殺気を綺麗に消し去って、浮足立って去っていく男を見送り、グリーンウッド親子は肩を落とす。


「つまり、ティアナが最強だという事だな」

「どこでも女性が強いのは間違いないね」




「ところで、マルティナ嬢の事だが…」

「無理だから! カルロ様に殺されるから!!」

「そこを何とか…」

「あんたも大概諦め悪いよ!? 無理!!」



 【おしまい】


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