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フルワードの直訳は『駆除を行う場所』

「今度お会いした時に、先生のスマホを見ながらお話した方がわかりやすいと思うので、詳しい話はその時にしますけど。


 多分、先生のスマホに入ってる、鬼の面アイコンの『BDFD』のアプリに、『Healing』と『dungeon』があるじゃないですか。」


「ちょっと待って、メモる。」


「メモるほどのことはありませんよ。


 私も、中学生の自転車を盗難させずに済んだ後から表示されるようになったんで、先生の場合もきっとそうだと思います。」


「じゃあ『dungeon』の中で、『誰かを助ける』ミッションみたいなことをクリアしたことになるのかな。」


「たぶんそんな感じだと思います。

『Healing』と『dungeon』の『dungeon』をタップした後に、 一つ画像が入っていたらアップロードされてるみたいな感じです

 今まで『Healing』と『dungeon』での『dungeon』をタップで、マンションの前に行ってたじゃないですか。」


「あ、うん。」


「その『dungeon』をワンタップすると

『PtoE』と言う『RHRN』アイコン表示が出るように変っています、きっと。

『PtoE』は『Place to exterminate』と言う英文単語の頭文字で、

『RHRN』は『Right Here, Right Now』と言う英文単語の頭文字表記みたいです。


 それぞれタップしたら、タイトル画面として、それぞれ『Place to exterminate』と『Right Here, Right Now』と表示されて、それぞれの『dungeon』モードに入ります。」


「2種類になってるってこと?」


「そうみたいですね。

 この時、初めて核心に近いことが分かったんです。」


「え?」


「次回からは、たぶん先生も『dungeon』をタップから出てくる『PtoE』をタップすることで、マンションの前に行くようになると思います。

 略字表示された『PtoE』のフルワードは『Place to exterminate』で、直訳すると『駆除を行う場所』になるみたいです。」


「えっ!と言うことは、…確かに『17階にあり』ってことになるわね。」


「はい。

 それだけに私たちも、首謀者に制裁を加えたいんです。

 本心を言うと、制裁を加えるなんて生易しいものじゃなく。」


「わかるよ、わかるわ。

 私もまったく同じ気持ち。

 とは言え、法治国家のこの国の下では限界があるのも事実、現実なのよね。

 それでもなんとか見つけ出して尻尾を掴んで、最大限の制裁を加えてやりましょう。」


「ありがとうございます、結子先生。

 豊功《とよのり》と私だけじゃちょっとやばいかな、って思って話してたとこもあって。


 よかったです。」


「ううん、私も話してくれてよかったわ。

 だけど横川先生も、首謀者親子に鉄槌を喰らわせてやりたい思いを、並々ならぬ決意で持たれてるみたいよ。」

 結子は、あの日結子の拳を包んだ、横川の両手の熱と圧に込める思いを思い出しながら言った。


「知ってます。」


「え?」


「横川先生を意識して避けてはいますけど、それは横川先生を嫌っているわけではなく、むしろとても好きな先生で気になっているんですから。

 豊功《とよのり》と一緒に動向とか考え方とか、横川先生のことを調べてたんです。

 そうしたら早々に、丸山先生と伊勢崎先生と一緒に、母の事件のことで今もすごく動いてくださってるのが分かったんで、本当に感謝しています。」


「先生が資料室で調べ物をされた後に、僕がそのパソコンで閲覧履歴を見たら、たいてい由依さんのお母さんの事件のことを検索閲覧されてて、僕らもずいぶん効率よくデータ収集ができたんですよ。」と、豊功《とよのり》も言い添える。


「だけど、 横川先生に私が母の娘であることを名乗り出るわけにはいかないので。」


「由依ちゃんの気持ちはよく分かったわ。

 でも、由依ちゃんも横川先生たちも目的は同じだから、早い段階で一緒にできるようになるといいな、と思うわ。」


「ありがとう、結子先生。」



「ただいまぁ!」

 玄関の扉が開く音と同時に、次女の声が響いた。


「おかえり!」

 結子は、電話口から顔を離して1階に向かって返事をする。


「あれ?誰か帰ってきたんですか?先生のご自宅?」


「そうそう。長女のお友達を送って行ってた家族が帰ってきたみたい。」


「じゃあ続きは、来週お会いしてからにしましょう。」


「そうね。そうさせてもらえる。」


「はい、もちろん。」


「由依ちゃん、ありがとう。豊功《とよのり》もありがとね。」


「こちらこそ、ありがとうございました!

 じゃあまた、来週。」


 電話を切って、結子はリビングに降りて行った。


 テーブルには、結子用にケーキかアイスクリームの選択肢が並べられていて、長女はキッチンですでにコーヒーを淹れる準備を始めてくれていた。

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