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12 偽装婚約の契約⑦

 独身貴族をこの先五年も謳歌したいために、私との婚約を望んだ幼馴染。


 彼がすぐに偽装婚約者を手放してくれるとは、到底思えない。罠に嵌められた。



「どこまでも最低ね。偽装婚約だって言いふらすわ」


「別に俺はお前に何もする気はないが、お前を逃す気もない。ただ婚約者でいればいいだけなのに、何が不満なんだ?」


「偽装婚約者がレオナールってだけで、泣けてくるわ」


「はぁ! なんて言い草だ! この婚約のことを他人に言いふらしたら、ラングラン公爵家に対する名誉棄損で訴えるからな!」


「ひっどーい! 私の結婚が遠のいていくじゃない……」


「偽装婚約が周囲にバレたらお前の責任だ。我が家の名誉にかかわるから、そのときは、偽装ではなかったことを証明するために結婚してやる。安心しろ!」


「誰が安心できるってのよ! 離婚前提で結婚したら、汚点しか残らないでしょう、馬鹿! アリア様は私たちの関係に気づいていたわよ。周囲にバレるのだって時間の問題よ」


「バレたくないなら、これからの作戦を選べ」


「は? 何を選べって言うのよ?」


「偽装婚約がバレないためにも、お前は今日、俺の部屋に泊まっていくか、明日以降、しばらくこの屋敷に通うかの二択だ。どっちがいい?」


 レオナールってば、どこかから入れ知恵でもあったのだろうか?

 やけに饒舌に語る姿は、いちいち空を見上げていた彼とは、思えない。


「は? どっちも嫌よ。もう帰るから」


「よし分かった。明日以降も『お前は我が家に通う』ってことだな。来なければ、お前の部屋を俺が訪ねる」


「あ~、もう分かったわよ」と切れ気味に訴えた私は、すぐに帰ることにした。


 大概、こういったパーティーは日付が変わるころまで続く。


 まだこの場を離れられないと言う彼が、私を公爵家の馬車で送ってくれる手配を済ませて、見送ってくれた。


 この帰りに、盗賊に襲われるとは露知らず──。


 ◇◇◇


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