その後の二人 ジェイコブ
幸せになってやる、と思った。
自己満足だろうが、幸せになって、笑って生きていくんだと。
目まぐるしく状況が変わっていく中、俺だけが現状にしがみ付いていた。
エリザベスと過ごす為に血の滲むような日々を過ごした。
魔力切れで倒れたり、魔法の負荷で吐いたり、睡眠不足で突然廊下で気絶したり。
それでも、歩みは止めなかった。
最悪だった世界から救い出してくれたのは、エリザベスだけだったから。
彼女に、恩を返したい一心で。
無事、一人で悪魔を祓えるだけの力を手に入れて、エリザベスに求婚した時には手酷く振られたものだが。
諦めの悪い男なもので。
逃げられると、追いかけたくなる。
本気で嫌がられたら辞めよう、なんて都合の良い考えで何度も何度もエリザベスに求婚した。
しつこい男は嫌われるぞ、などとクロウリーに呆れられたが構わなかった。
マルティーナと直ぐに恋仲になって仲睦まじくしている奴に言われても、とも思った。同じ土俵に立ってから言って欲しい。
クロウリーもマルティーナを追いかけて邪険にされてから言ってくれ。
ただの暴論なのは理解している。
ともあれ、俺は何度も何度もエリザベスに求婚し、何度も何度も振られた。
だから、エリザベスが了承してくれた時には驚き過ぎて夢を見ているのかと思い、頬を抓り、痛みに目を見張ったものだ。
やっと承諾してもらえたとクロウリーに報告した時、仕事で忙しいからまた後で聞かせてくれないか?とあしらわれた。
ちなみにこの時クロウリーは遂に俺が虚言を吐き始めたと思っていたらしい。
結婚式の際、クロウリーだけでなくマルティーナも参加してくれた。
久々に見たマルティーナは相変わらずだったが、お腹周りがゆったりしたドレスを着ており、緩やかに膨らみを帯びている。
妖精の子は普通の子と違うから心配なのだと生まれる前から二人は子の将来を案じている。
結婚式を終えてからクロウリーと会う機会があり、食事を共にしている際、彼が聞いた。
「元、だけど。悪魔憑きの子は、普通の子と変わらずに生活出来るものなのか?」
「…考えたことは無かったな」
少し考えればわかる事だったのにも関わらず、何も考えて居なかった。
どうなのだろうか、と首を捻るが答えは不明瞭。クロウリーは眉根に皺を寄せ、顎に手を添えた。
「妖精の子は祝福として寿命が長いらしいが、悪魔の…、悪魔憑きの子は呪いで何かしら弊害が出るんじゃ無いか?」
「かも知れない。今度調べてみるよ」
「あぁ。何か分かったら教えてくれ」
食事を終えると、別れ、俺は早速職場に向かい、様々な文献を漁ったが簡単に見つかる訳が無く。
そして、この後程なくしてエリザベスに妊娠の兆候が見られた。
俺は情報を掴む事が出来ず、子供は産まれた。
産声は控えめで身体の小さな女の子だった。
俺とエリザベスは、娘にルシアと名付けたのだった。
次は子供達の話になります。




