精霊達の住む屋敷
屋敷の掃除をしていると
「ただいまー♪」
と、遊びに出ていたシルフィの声が聞こえた。
まだ昼には早いがもう全員帰ってきたのかと思い外に出る。
「おぅ、早かったな、まだ昼飯は出来てない…ぞ?」
玄関先にいたのはシルフィだけで他の三人の姿が見当たらない、一人だけ先に帰ってきたのか?
「シルフィ、他の三人はどうした?」
「あ!置いてきちゃった、へへー」
まぁレイもいるしちゃんと帰ってくるだろ、それよりも……
「そのボロボロになってるのは何だ?」
シルフィの手にはボロボロの青い布が握られていた。
「ん?あれ?」
シルフィが手元の布を見て首を傾げた後、門の外側に戻って行った。
「ジークー、お客さん寝ちゃったみたいなのー」
ん?お客さん?どういう事だ?
俺も門の外に出てくるとボロボロで袖の破れた着物を着た女の子が気絶していた。
「シルフィ、説明しろ」
「女王様に会いたいんだって、だから走って連れてきたよ!」
俺はグッと胸を張るシルフィにゲンコツを落とした。
「お客様を走らせるな!そのせいでこの人がボロボロになってるじゃないか!
あぁ…もう、とりあえずレヴィアに言って回復と、シルフィのせいとはいえ汚れてるから風呂だな。
シルフィ、呻いてないでレヴィア呼んでこい。俺は風呂沸かしてくるから」
「あーい…」
シルフィが頭を擦りながら屋敷の中に駆け込んで行った。
「…ったく」
俺は倒れてる女の子を抱き上げて屋敷に入る、流石に俺が介抱する訳にはいかないからな。
「レヴィアー!ソファに寝かせとくから頼んだぞー!」
ゆっくりとソファに寝かせると少し遠くから「はーい」とレヴィアの声が聞こえた。
「とりあえず武器はよけておかないとな」
刀、弓、矢筒を壁際に立てかける。
「今日お客が来るなんて聞いて無いんだがな……?」
謎の来客に疑問を覚えつつも起きたらすぐに入れるように風呂場に向かった。
ーーーーーーーーーー
ワイワイと賑やかな声がうっすらと聞こえる。
その声にだんだんと意識が引っ張られ目を覚ました。
「あ、起きましたね、おはようございます。」
上から覗き込んでくる見覚えの無い濃い青髪の女性。
「……おはよう、ございます?」
後頭部から伝わるこの感触からして自分はこの女性に膝枕をされているのがわかった。
いつまでもそうしている訳にもいかないので身体を起こそうとしてーー
「ふべッ!?」
ーーズルッとソファから滑り落ちた。
「…あのぅ、大丈夫ですか?」
(あんまり大丈夫じゃないです見知らぬ人に膝枕されてそこから落っこちて顔面強打してすっごく恥ずかしいです、うあぁぁ……)
恥ずかしさ故にすぐ起き上がれずどうしようかと思ってると頭の上に何かにもっちりした物が乗っかった。
「もきゅ」
月見だった。
というか月見どうやって出てきたし。
でもまぁ、とりあえず起き上がらないとかな…。
「月見、頭から降りて」
そう言うとぴょこんと頭の上から月見が飛び降りた。
月見が降りたのを確認してから身体を起こす。
(まだふらふらするけど、……ん、大丈夫)
ゆっくり立ち上がると青髪の女性が心配そうにこちらを見ていたので「大丈夫です」と伝えた。
月見も足元で心配そうに見上げていたので抱き上げて頭を撫でる。
「…えっと、御迷惑おかけしました?」
正直どういう状況なのかはわからないけど何かしら面倒かけさせてしまったんだろうな、と思い頭を下げる。
「いえいえそんな事ありません、むしろそれはこちらの台詞ですから」
と青髪の女性も頭を下げる。
・・・・・・・
(沈黙が気まずい!あぁそうだ…!)
「えっと…、とりあえずここ何処ですか?」
(シルフィに引っ張られて途中から記憶飛んでるけど多分……)
「はい、ここは『妖精女王』ティターニア様の御屋敷です、シルフィがあなたを……、その、正直言いづらいのですが、結構な距離を引きずってここまで連れてきてしまったらしく、ここであなたを介抱させていただきました。その…、衣服についても謝罪させていただきたく思います」
(あぁ、うん、どうりで……)
見ないようにしていてもその感触はあったわけで、お気に入りの衣装が破れているという事実は結構心に来るものがあるわけで。
その事に内心ショックを受けてると
チラッ……×4
ん?
「あ、起きてたみたいだよ」
「やっとなの?」
「…うさぎさん、どこ?」
「お客さんの腕の中なのー」
精霊キッズの四人組が扉の影からお団子みたいに縦並びでこっちを覗いているのを見つけ、視線をそちらに向けると
「あぁ丁度いい所に、シルフィ、こっちに来なさい」
「なにー?」
呼ばれたシルフィが女性に近づく、そしてそのまま頭を掴まれ勢い良く二人一緒に頭を下げてきた。
「改めまして、この度は誠に申し訳ございませんでした!ほらシルフィもごめんなさいして」
「えと、お客さん引っ張ってごめんなさいなの!」
「え、あ、はい、大丈夫です。それに子供のした事ですから。 それからシルフィ、謝ってくれてありがとうね」
急展開?に若干戸惑いつつも二人に頭を上げるよう促す。
「あ!そうだお客さん、お風呂出来てるってジークが言ってたよ」
「お風呂?」
言われて自分の身体を確認する。
パッと見た限り怪我などは無いが予選で森の中を駆け回ったりシルフィに引きずられた事もありそれなりに身体は汚れていた。
「あ、でも替えの服が……」
「それはこちらで用意させていただきます」
「女王様に会うんだったら綺麗にしてからの方がいいと思うよ」
レイが近づいてきてそう言う。
後ろのリーアとノアは月見に興味津々の様なので「優しくしてあげてね」と伝え抱っこさせて上げたらそこにシルフィも加わった。
(女王様だもんね、流石に失礼になるかな?うん)
「……じゃあ、お言葉に甘えてもいいですか…?」
「はい」
かぽーん
「・・・・・・・・・・」
(これ、着るの?ちゃんと男ですよって伝えたのに?)
それから用意された替えの服を着るかどうかしばらく悩み、結局着る以外の選択肢が無かった事に1つため息を落とし用意された服を着るのだった。
「お、出てきたな、って何だその服、…本当に男なんだよな?」
お風呂場から出た所で待ってくれていた赤髪の青年、彼もまた『精霊』で名前がジーク、門前で倒れてた自分をこの御屋敷の中まで運んでくれたそうだ。
「ちゃんとレヴィアさんにも自分は一応男ですよって伝えたんですけどね、これが用意されてました」
真白のワンピースを揺らしつつジークの案内について行く。
「一応かよ」
「はい、一応です」
(だって男らしい所なんてありませんもん、性別間違えてるよね?とかよく言われますしおすし)
ジークが苦笑しつつ扉を開け中に入って行く、自分もついて行くとレヴィアさん(青髪の女性)と精霊キッズ四人組、それと上下ジャージで銀髪の女性が一人中にいた。
(まさかとは思うけど…)
「あ、おかえりなさい冬歌さん、服のサイズは大丈夫そうですね、思った通りよくお似合いです」
「あ、はい、大丈夫です、わざわざ替えの服をありがとうございます」
ぺこりとお辞儀をするとジャージの女性が近づいてきて下から上にじっくりとこちらを見てくる。
「……あの、なにか…?」
問いかけた瞬間に目の前から女性の姿が消え
「ひにゃぁ!?」
後ろから無い胸を揉まれた。
それを振りほどいて距離を置く。
「お主本当に男か?確かに胸は無いが……」
そう言ってその女性の視線が下に行き、手をワキワキさせながらじわじわと詰め寄ってくる。
胸元と腰下(何処とは明言しません!)を手で隠し後ずさると女性の目がキラリと光る。
「そう怯えずとも良いではないか、ただほんの少し、ほんの少し確認するだけじゃからな……んな!?」
それを見かねたジークが女性の頭にチョップを落とした。
「女王、ちょっと落ち着きましょうか」
にっこり怖笑顔でジークが女王様に迫る。
(あ、やっぱりこの人が女王様だったんだ……、ジャージの女王様ってどうなのよ)
「いや、だって気になるであろう!?」
(だからっていきなり揉まないでください!)
「そういうのはもっと段階をおってからするものでしょうに」
「「そこ!?」」
ジークの言葉に自分と女王様のツッコミがシンクロした。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
イベント予選?そんなものは無かった、いいね?
威厳ある女王?かわいい系?
特に思いつかずジャージ女王様に
次回「精霊契約」
お楽しみにー?
|・x・)ノシ




