もしも性転換薬がなかったら?
社会構造を戻そうとする三九の別エンド。
これで最終回です。
元お母さん(現伯父さん)達によって、女性にさせられた人々を戻すため、解毒剤はあるけど、当時の教職員、生徒達の行方がわからないため、何でも願いが叶うラーメン屋にお願いしようと思った。
小学生の私は、一人では行けないから、パパと憲兄達とラーメン屋に行くことにした。
家族四人で買い物をした車での帰り道
「お昼何が良い?」とパパは、運転しながら訊いてきた。
「有名なラーメン屋さんが近くにあるから行ってみたい」と私は言った。
「ラーメン屋?憲達は何か食べたいものはあるか?」とパパは、憲兄達に訊いた。
「俺は、何でも良いよ」と法兄が言った。
「俺もラーメンで良いよ」と憲兄は言った。
「どこのラーメン屋だ?」とパパが訊いてきた。
「何でも願いが叶うラーメン屋さん」と私は言った。
「何でも願いが叶うラーメン屋?何か叶えたい願いでもあるのか?」とパパが言った。
「うん。でも、私の為じゃないの」と私は言った。
「三九の為じゃない?じゃあ、誰の為?」と憲兄が言った。
「性転換薬で女性にさせられた、7年前に二女に在籍していた、教職員、生徒全員を元の男の人に戻すため」と私は言った。
「何で、三九が七年前のことを知っているんだ」と法兄が言った。
「七年前の一女と二女の合同体育祭の時に、当時は、一女と男子高の合同体育祭だったみたいだけど、そこで、男子高の生徒、男性の教職員全員に性転換薬をドローンに付けて散布させられたみたいなの。生徒が女子になったことで、校名も県立第二女子高等学校に変わったみたいなの」と私は言った。
「それ、誰から聞いたんだ?」とパパが訊いてきた。
「性転換薬の人体実験に協力したっていう当時一女にいた女性教師だよ」と私は言った。
「20代前半が圧倒的に女子が多いのは、その為なのか?」とパパが言った。
「三九。それ本当にハッピーエンドだと思うか?」と憲兄が言った。
「元の姿に戻るんだから、ハッピーエンドでしょ、この県内が女性が多いのも解決するんだよ」と私が言った。
憲兄が言おうとしたことがわかったのか、後部座席の私の隣に座る法兄が、
「憲兄。俺が言うよ。例えばだ。お父さんが、性転換薬の被害者で、女になったあとに三九を産んだとしよう。お父さんがいる家庭だとするよ」と法兄が言った。
「うん」と私は、返した。
「で、三九が、『七年前に性転換薬で女性化した人たちを男に戻してほしい』と願うだろ」と法兄が言った。
「うん」と私は、頷き流れ返事する。
「そうしたら、どうなると思う」と法兄が言った。
「パパが元の男に戻る」と私が言った。
「それだけじゃないだろう。もし、男に戻ったら?さっきまでいたお父さんは?もし、女のときに、お父さんが、子ども身ごもっていたら?そう考えるとどうだ」と法兄が言った。
私は、ハッとして、「お父さんがいなくなって、ひとり親になっちゃう。もし、子どもがおなかの中にいたら、消えちゃう?」と言った。
「そうだ。それが本当の意味でハッピーだと思うか?」と法兄が諭すように言った。
私は、頭を横に振り、「思わない」と言ったら、
「そうだ。よくわかったな」と隣に座る法兄は、私の頭を軽く撫でる。
「そういうことだ。じゃあ。パパから質問だ。じゃあ。どうすればいい?」とパパは言った。
私は、顎に手を当て、考え、「ウ~ン」と頭を悩ませる。
「じゃあ。ヒントを出そうか?今の状態を作ったのは、何だ?」と、パパが言った。
「今の状態を作ったもの?ウ~ン」と考え、ハッとする。「そうか。お母さんが作った性転換薬を無くせばいいんだ」と私が言うと、
パパは、「えらいぞ。よく自分で答えだしたな」と運転しながら褒めてくれた。
「次は、俺からだ。」と法兄が言った。
「うん」と私は、言った。
「じゃあ。どうすれば解決する?」と法兄が言った。
「ラーメン屋に行って、お母さんが、性転換薬を作らなかった世界にすれば」と私は言った。
「そうだな。それは、半分正解かな」と憲兄が言った。
「えー。半分?」と私は、不満げに、口を膨らませていった。
「まだ足りないということだよ」と憲兄が言った。
「足りない?何が?」と私が言った。
「じゃあ。またヒントだ」と法兄が言った。
「えーっ。またヒント。わかっているなら、法兄言ってよ。」と法兄に文句を言った。
「大人が答えいうより、自分で考えるのも大事だぞ。ヒントは、お母さんが性転換薬を作るきっかけだな」とパパが言った。
「お母さんが、性転換薬を作るきっかけは、女の子が欲しかったから?」と私が言った。
「そう。それが原因だな」と憲兄が言った。
「まさか。『私と法兄の間に女の子を作って欲しい?』ってこと」と私が言った。
「そういうこと。それが正しい答えだと俺は思う」と憲兄が言った。
「ごめん。みんな。私、あのまま願っていたら、お母さんと同じことしていた」と私は言った。
「いいさ。子どもの間違いを直すのが、大人の役割だからな」とパパが言った。
「じゃあ、その願いにしようか」と憲兄が言った。
「うん。代表して私が願うね」と私は言った。
ラーメン屋に着き、私たちは、それぞれ注文した。
ラーメンが届き、7年前に性転換薬が使われ、女性化した人たちがいたんです。その性転換薬がなかった世界にしてほしい。私は、愛ちゃんとの友情が壊れるなら、女でいいと願った。
「お主、もしかして、清水愛美の友達かい」と店員が私に声をかけた。
「少し、お主友達の清水愛美について話そうかの」と店員が言った。
「愛ちゃんの?どういう意味ですか?」と私は、言い、店主の言葉の意味が分からなかった。
「彼女の父親は、性転換薬を浴びる前に、妊娠中の奥さんが居たんじゃ。じゃが、性転換薬を浴びて、女性化した。そして、子供を産んだ。生まれた子が清水愛美じゃ」と店員が言った。
「え?愛ちゃんのお父さんが、お母さんの性転換薬の被害者?で、愛ちゃんも」と私は、言っている意味が分からない。
「そう。性転換薬を浴びて、妊娠したのは、清水愛美の父親ということになり、それを知った当時付き合っていた彼氏が逃げて、一人で、清水愛美を育てる決心をして、清水愛美を産んだという記憶に書き換わった。そして、本来、清水愛美を産むはずじゃった、彼女の本来の母親は、最初からいなかったことになったんじゃ。お主、清水愛美の母についてなにか聞いておるか?」と店主が言った。
「公立高校の先生をしていると聞いています」と私は言った。
「そうじゃ。清水愛美の母親は、今、公立高校の教師をしておる。そして、七年前は、今の県立第二女子高校の先生をしておったんじゃ」と店員が言った。
「え?じゃあ、愛ちゃんのお母さんは、お母さんの性転換薬の被害者?」と私は言った。
「彼女の本当の母親の胎内から今の母親の胎内に移った時、彼女は、性転換薬の影響で、女になったんじゃ。じゃから、本当は、清水愛美もお主と同じ男として生まれるはずじゃった」と店主入った。
「愛ちゃんにそんな過去が。私、知りませんでした」と私は言った。
「お主の最後の願いどうする?一応、最初に願ったのは、他人のためじゃ。他人のために願ったら、一つだけ自分の願いを言えるんじゃが」と店員は、言った。
「この店を出たらどうなるんですか?」と私は言った。
「この店から出たら、性転換薬の無かった世界になるよ。君のお父さんの願いが叶い、お主に、新しい姉ができるよ。年の五つ離れた小学六年生の姉がね」と店主が言った。
「え、妹?三九以外に?」と憲兄と法兄が言った。
「いや、この子は、男になるから、この三人以外にもう一人という意味じゃよ」と私の肩に店員は、手を置いた。
「え?私、男になるんですか?私、愛ちゃんと友達で居たいから、女のままでいいと願ったんですよ」と私は言った。
「じゃが、この店を出ると、お主の友達は、男じゃよ」と店員は言った。
「わかりました」と私は言った。
「それとこの店を出たら、ここでのこと、出る前の記憶は、なくなるから」と店員さん。
「それと、お父さん少しいいですか?」と店員。
「はい」と立ち上がり、店員と少し離れたところで話、
「それでいいです。そのことは、墓場まで持っていくつもりですから」と父は言った。
そして、食べ終わり、四人で、会計を済ませ、店を出た。
翌朝。
ラジオ体操の集合場所に、男になった三九こと守。
「わっ。」と言って、誰かが三九こと守の肩に手を置いた。
「わーっ」と言って、驚く守。
後ろを向くと、男になった、愛ちゃんこと清水剛が立っていた。
「おはよう。びっくりし過ぎだよ。こっちがびっくりだよ」と剛が言った。
「おはよう。剛」と三九が言った。
「おはよう。剛君」と優しく声をかけたのは、隣に立っていた6年生になる守の姉の三九だった。
「おはようございます」と緊張しながら剛が言った。
「いいよな。守は、上に兄弟がいて。羨ましいよ」と剛が言った。
「え?僕からしたら、剛が羨ましいよ。下に兄弟がいて」と守る言った。
「そうか?下に兄弟がいると色々大変だぞ。ねえ。三九さん」と剛が言った。
「そうね。特に男の子は、心配かな」と三九が言った。
「これからもずっと友達だよ。剛」と守が言った。
「気持ち悪いな。何当たり前のこと言ってんだ。大人になっても親友だ」と剛が言った。
「ありがとう。剛」と三九は言った。
2人の関係は、大人になっても変わらなかった。
性転換薬のなかった世界の4人兄弟




