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魔神になった少年  作者: キタビ
第七章 銀貨同盟・解散
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 2

 シンが体を起こして話せるようになると、スレイヤーは手綱たづなを部下に任せて、事の顛末てんまつを尋ねた。

 シンは覚えている範囲で、遺跡内で起きたこと、見つけたものなどを出来るだけ細かく話した。

 記憶が定かなら、自分は生きて脱出できる状態ではなかった。足をつらぬかれた事も、ディアベルや魔人と戦った事すら夢のことのように思えるが、まぎれもない事実だ。しかし、今のシンの体には傷という傷はない。むしろ、遺跡に入る前よりずっと綺麗きれいな体をしていた。


「自分でも何言ってるかわからないんですけど」


「君を見つけたのは二人なんだが」


 スレイヤーはケイティ達を横目に見て、神妙ば声音で切り出した。

 シンは遺跡近くの森に立った不思議な光のふもとにいたという。

 ケイティ達がけつけた時、シンは満身創痍まんしんそういで、火傷やけどや切り傷、刺し傷等の血で服は汚れ、装備の殆どを失っていたそうだ。そして気絶していたシンの胸には、十枚の羊皮紙ようひしが抱かれるように握られていたという。

 羊皮紙には解読不能な文字が記されていた事から、魔法書のページ千切ちぎったものだと考えられた。

 スレイヤーは荷台のすみの木箱の中から、その羊皮紙を取り出して見せた。

 シンはそれを手に取り、じっくりと見つめた。ただの羊皮紙に見えるが、触れた瞬間、頭の中に何かをささやかれる声を確かに聞いた。魔法書だと確信して顔を上げると、スレイヤーもその通りだというようにあごを引いた。


「君が遺跡の最深部からどうやって脱出したのかもそうだが、もう一つわからないことがある」


「はい」


 言われなくても、シンにはわかっていた。

 ディアベルに貫かれた右足の傷がふさがっている。肩口から浅く切られた切創せっそう、体の細やかな傷、あざ、火球の熱にただれた火傷やけどあとなど、ケイティ達がシンの手当てをしようとした時には、既にどの傷も塞がり、綺麗な状態だったという。

 シンも信じられなかったが、これもまた、現実だった。


「君はまさしく奇跡の生還者せいかんしゃという事になる。まあ、何はともあれ無事でよかった」


 スレイヤーは驚きを声ににじませると、これ以上深く考えない事にしようと、肩をすくめた。

2016/12/27 改稿。

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