第六十七話 守護神
第六章 海底神殿
第六十七話 守護神
入隊から一週間――。
三人は部隊準備室にて、海底スーツを着用した。
「いよいよ、海底神殿突入だな」
「ああ!」
ここまで、本当に長かったように感じる。
色々なことに巻き込まれてきたが、無駄なことは一つもなかった。
「修行の成果を見せる時ですね!」
ボアも張り切っているようだ。
ネイビーとの戦闘から今日までの三日間、俺たちは修行に明け暮れていた。
それぞれの弱点を克服できるように、必死に鍛えてきた。
今回の目的は二つ。
一つは、地底人の手がかりを探すこと。
そしてもう一つは――海底神ポセイドンの消息を確認することだ。
今回のメンバーは、俺たち三人とネイビーだけ。
元々、人手不足というのもあるが、ティア曰く、ネイビーがいれば大抵のことは何とかなるらしい。
その言葉を信じて、頼りにさせてもらおう。
「テメェら、もう出んぞ」
扉からネイビーが入ってくる。
「隊長、今日はよろしくお願いします」
三人は頭を下げた。
「ったく、調子のいい野郎どもだぜ。少しは強くなったようだが、油断しているようなら見殺しにするからな」
「はい!」
「なあ、前々から思ってたんだけど……」
「なんだ?」
ネイビーに聞こえないよう、カイがノースへ耳打ちする。
「なんかネイビー隊長って、昔のお前に似てるよな」
「あん? どういう意味だよ?」
「それだよ」
「……あ?」
ノースが眉をひそめる。
準備が完了し、いよいよ出発となる。
「んじゃ、ゲート開けんぞ」
「はい……」
カイの頭には、しっかりとゲンコツが落ちていた。
◇
ここ最近は毎日のようにパトロールで深海へ出ている。
それなのに、今日はいつもと違う。
向かう場所が違うからなのか、自然と景色まで違って見えてくる。
やがて、いつもの巡回ルートから外れ、ぐんぐんと奥へ進んでいく。
入隊してまだ日が浅いせいか、見たことのない景色に不安を覚える。
海底サンゴの間を縫うようにして、さらに奥へと進んでいく。
「もう少し行ったところにある海底崖を下れば、もうすぐそこだ!」
やがて、ネイビーの言葉通り、深い崖が見えてきた。
「ここを下れば大きな空洞に出る。神殿はそこだ」
そう言って、ネイビーが一番先に崖へ入っていく。
三人もその後に続いた。
深く、深く潜っていく。
海底スーツによって水圧は軽減されているはずなのに、なぜか体に重みを感じる。
まるで――何かに見られているような感覚。
「……」
これは、何かの気配なのか?
そのとき。
「グゴゴゴゴゴ……」
「……?」
どこからともなく、不吉な音が聞こえてきた。
それでも、前進を続ける。
すると――。
はるか先に、何かの建造物が見えてきた。
「あれは……!」
青い石が敷き詰められたような外壁。
入り口の面以外は、周囲を岩場に囲まれている。
そして、その岩場の上方には――。
半径五メートルほどもある、大きな穴が開いていた。
「グゴゴゴゴゴゴ……」
先ほどの唸り声のような音が、今度はより大きく辺りに響き渡る。
「着いた……けど」
「何か変だ」
「嫌な予感がします……」
ドゴォン!
突然、大きな振動が辺りを揺らした。
「なっ……!」
穴の奥から、巨大な生物が姿を現す。
青い鱗。
顔には二本の鋭い角。
尖った目つきに、細長い胴体。
そして、胴体から生える無数の腕。
まるで日本昔ばなしに出てきそうな姿。
それは紛れもなく――。
「おい……嘘だろ?」
竜だった。
竜はウネウネと体をひねり、水の抵抗を受け流していく。
その巨体からは想像もできないほどの速度で、こちらへ向かってくる。
「来るぞ!」
竜が、一気に距離を詰める。
海底神殿の前で待ち構えていたのは――。
神殿を守る、巨大な竜だった。




