043 理解がおいつかん
アクセスありがとうございます。
動画だったため何度か見返すことで、何が起こったかを理解することができた。
「さすがにこれは参考にならんだろう……狙っていたかもしれないけど、当たったのは偶然だろ? そういう戦い方もあるだろうけど、偶然に頼り過ぎるのは良くないと思う。当たらなければ、負けていたわけだしな」
何が起きたかを簡潔に言えば、待ちの船が明後日の方向へ向かって撃った質量兵器の弾が、勝とうとしていた船に当たって撃沈判定が出たということだ。
計算されつくして撃ったわけではなく、試合が進みある程度自分に不利になると考えた場所に向かって、レールガンを使った散弾をばら撒いていたのだ。
5発撃ったうちの1つがたまたま当たったというわけだ。
解説動画でも、これは少し出来過ぎの展開ですね、との評価だ。
本来この手の罠を張る時は、散弾ではなくミサイルや機動機雷が使われるそうだが、それだと見つかってしまう可能性があったので、散弾を選択したのだろうと解説動画では説明があった。
ミサイルも機動機雷も、相手を探知した段階で追尾するタイプの兵器なので、起動した段階で相手にバレる。
確実に当てたいと思うなら、起動する距離を短くすればいいのだが、そうすれば起動範囲内に誘導する難易度が跳ね上がる。
こういった兵器を使うのは主に宙賊なのだが、誘導する自信があれば立派な戦術となるんだとさ。
俺が今見ても参考にならないような試合を何故見せたのだろうか? 初めの撃ち合いは、参考になるところはあったが、最後のあれは絶対に参考にはならない。
メイに聞いてみたところ、宙賊を相手にするのなら、置き弾と呼ばれる戦術を知っておくべきだということだ。
実際に次に見た試合では、ミサイルを使った置き弾戦術が得意なプレイヤーの動画だった。
両方とも移動しながら索敵し、相手を見つけて即攻撃するタイプの戦術をとる試合だった。
1試合で使える質量のある兵器は数が決まっているので、慎重に使う必要がある。試合形式上、ドッグファイトの様に近距離戦にはなりにくいので、ミサイルが使われることはほとんどなかった。
その常識を変えたのが、置き弾戦術と言われている。例えるなら、起動範囲の広い地雷なんだろうな。この戦術が出てくるまでは、単純な打ち合いからのドッグファイトという展開も多かったらしい。
待ちの戦術が多くなったのも、置き弾によるリスクを下げるために、動かずに索敵する戦い方が増えたようだ。
初めの試合も、待ちの船の正面に攻めの船が出てきていた場合、待ちの船が圧倒的有利になったのだが、運よく後ろ側から接近できたため、攻めの船が有利な状況で戦いが進んだのだとか。
散弾による置き弾は偶然だが、止まっている敵には有効に使えるので、覚えておくといいと言われた……使う機会なんてなさそうだけど?
そういう戦術があるということだけは覚えておこう。
いくつかの形式の試合を見たが、船同士の距離が近くなればなるほど、質量兵器の使用が増えていた。
主砲と比べて弾速は遅くなっても、追尾機能がある兵器は使いやすいんだろうな。ミサイルだけで使われるのではなく、主砲の撃ち合いの合間にミサイルを撃つので、シールドに負担が大きくかかるのだ。
格下でもジャイアントキリングができる兵器というだけあって、シールドの許容範囲を容易く超えてくるため、有効射程範囲内であればけん制の意味も込めて使うのがPvPでは主流らしい。
ドッグファイト前提の試合もあるわけで、ミサイルの上手な使い方といった動画もあるくらいだ。
メイがいくつか見せてくれた動画で共通していた点は、主砲による砲撃の命中率が高かったことだろう。
PvPでは、あそこまでできてやっと開始地点に立てるんだってさ。最低でも5割は当てられないと、試合にもならずに一方的に終わってしまうらしい。
俺はお互い動いていない状況で、やっと8割に届いたところだ。的が動いていたら、命中率はさらに下がるだろう。
PvPが強いと言われる人たちは、相手がランダム回避しない的であれば、95パーセント以上の命中率を叩きだすらしい。
遠い世界だけど、いずれは参加してみたいなと思っている自分がいた。
しばらくするとセバスからもうすぐ到着する、と声がかかった。
訓練に集中していて、結構な時間が経っていたことに気付いていなかったようだ。
宙賊に遭遇することもなく、無事にたどり着けた。向かったコロニーのある宙域以外では、戦闘にならないと言われていたのだが、予想外の所で遭遇してセバスもメイも、若干苦笑いしてたしな。
戻ってきました首都星へ!
慣れた道と言っていいのか、昨日と今日で数回通る道を歩いてギルドへ向かう。
依頼を受けていたら受付へそのまま向かうのだが、今回は依頼ではなく自分で荷物を運んでいるので、運んできた物資を欲しがっているところがないか確認するのが先だ。
依頼という形にすると、依頼料が発生してしまうので、急ぎではないけど相場より安く買いたい個人や企業が、ギルドの掲示板に情報を書き込む仕組みがあり、それをメイと一緒に見ている。
ギルドの買い取り値段よりは高いので、ここで買い手が見つけられるならその相手へ売り、見つからなければギルドに売ることになるだろう。
書き込まれない物でも需要が高い物は存在していて、買い手を自分で探せるなら大きな黒字が見込めるものもあるそうだ。俺には経験も知識もないので、今は知らなくてもいい情報だな。
「やっぱり、見当たらないな。往復している間に誰かが納品したっぽいね。ギルドに売っても黒字になる物を選んだはずだよな?」
メイに確認をとると肯定してきたので、そのまま受付の順番待ちをする。この時間は人が多いようで、順番待ちが発生していた。
10分程で順番が回ってきた。
「お帰りなさいませ、ナイン様。この時間ですと、HK8873から帰ってきたところですね。向こうからこちらへの依頼は無かったと思いますが、何かありましたか?」
「レアメタルを運んできたので、買い取り額の確認をお願いしたいです。運んできた物はこちらになります」
マルチギアからデータを送り、運んできた物を確認してもらう。
「工業用に必要なレアメタルですね。これでしたら今の買い取り額は……この金額になりますね。問題が無ければ、商品を確認したのち買い取りになりますが、いかがなさいますか?」
燃料代や整備代、今は払っていないゲートの使用料を経費として計算しても、2割ほどの儲けが出ているので、今回も成功と言っていいだろう。
買い取りをお願いする。
「ナイン様、商品を確認している間に、少し相談があるのですが、時間は大丈夫でしょうか?」
特にすることはないので肯定すると、
「今ナイン様がされているのは、2点による往復の交易ですよね? 確かにそれでも利益が出ますが、もう少し稼ぎたいと考えるなら、3点以上の複数を回る交易をする気はありませんか?」
確かに往復しているだけだな。HK8874で医療関係の物資不足が無くなれば、違う所へ……って考えていた。
「ナイン様の船のペイロードでも問題ない商品を運んできてもらえれば……と考えているのですが、どうでしょうか?」
他の場所にも行ってみたいと思ったので、話を聞いてみることにした。どんな交易の方法になるのか、興味はあるのだ。
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