033 周囲が敵ってこと!?
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例えるなら一番この言葉があっていると思う……冷静に怒っている。
隔壁が開くまでは、どこか他人事のように考えていたが、隔壁が開き通路が無残に壊されているのを見て、プッツンとキレてしまったのだ。
心境を無理やり言葉にすれば、新車を目の前で壊されているような感じだろうか?
ゲームの中で今日初めて見た船なのだが、こんな短時間でも愛着がわいていたのだろう。
そのまま、シールドを前面に展開して押しつぶすような形で突進している。
こちらは戦闘用とはいえ、4つの強化外骨格を押しつぶすような力はなかった。壁にぶつかる衝撃で、賊たちが苦しそうな声をあげている。
一度距離を取り離れる際に賊の2人の首のあたりを掴んで、下がっていく。
セバスは器用に俺の上を通り抜け、膝をついている残りの賊の頭を、警棒のような物で殴打していた。
俺は両手を床に叩きつけ、
「なぜ無断で侵入してきた? お前たちには乗船の許可を出していないよな?」
「何が乗船許可だ! 公務執行妨害でお前を拘束する!」
「それは残念だけど無理だよ。この戦艦の船長が許可を出したから、あんたらは今、ただの宙賊と変わらない扱いだぞ。それに先に手を出してきたのは、あんたらだろ? 俺の船をこんなに壊しやがって……」
「嘘も大概にしろ! お前らは、軍の名前を無断で使った罪が追加されるぞ!」
「……お前らって、本当にバカだよな。この話、軍艦の通信に乗ってるんだけど、本当に大丈夫だと思ってるのか? 無警告発砲に続いて、この軍艦の公務を妨害して、更には民間の船を壊しているっていうのを理解できてるのか?」
「ふん、何バカな事を言っている。軍は私たちなのだ。私たちが法であり、この軍艦も仲間である。ならば罪を追及されるのは、貴様たちなんだよ」
「ふ~、この国の軍って、もっと潔癖だと思ってたけど違うのかね? セバス、どうやらここにいる軍全体が敵ということらしいけど、どう考える?」
「そうですね。もし全員敵だとしてこのまま捕まれば、ありえない量の冤罪を押し付けられるでしょうね」
「だよな。秩序を守る軍が、こんなことをしているのであれば、この国は末期なのかもしれないな。この先、どうするのが正解だと思う?」
「そうですね……都合が良い事に、軍艦の中ですので外から抜けないシールドでも、その内側からの攻撃は防げませんね」
「なるほど。シールドを張れば、こちらは安全だけど、この船は大変なことになるってことかな? ていうか、お前らはうるさいから黙ってろっての!」
俺の両手に捕まれている賊2人が、汚く罵ってくるのが鬱陶しくて、3度ほど追加で叩きつけておく。
「えっと、この軍艦の偉い人、聞こえていますか? 軍はこの賊の話のように、秩序を守らずこちらに一方的に罪を押し付けるつもりですか?」
そうすると無線に、
『こちら、艦長。その賊の言うことは無視してもらっても構わない。同じ軍属ではあるが、法を守る軍人が宙賊と変わらないことをしていたのだ。その罪は、ただの宙賊よりも重い。
管轄は違えど、看過できない発言も多数聞かれている。既に、その賊たちの乗っていた軍艦を制圧している。そこからも、違法行為の証拠が多数あがっているため、全員を拘束した。そこにいる賊も引き取りたいのだが……」
最後は口を濁して、こちらに自分たちから渡してほしい……といったニュアンスの感じ取れる話し方だな。
しかも、両手で床に叩きつけている賊たちは、苦しそうな表情をしているが、こちらを見てニヤニヤもしている……
これってもしかして、引き渡したら……危ないやつか?
「セバス! この船の外に、近付いている奴らは確認できるか?」
「センサーには今の所反応はありません。どういうことですか?」
「手で抑えている賊たちが、こっちを見てニヤついているから、今の通信の内容も嘘の可能性がある。俺たちは相手の言っていることが、本当か嘘か判断することができない状況だろ? だから、この間にも破壊工作をされる可能性がある。
まぁよくある話だ。交渉しながら、他に行動を起こすという、警察がよく使う手だ。犯人と交渉しているけど、いざという時に突入できる部隊を待機させるとかな」
『あえて聞こえるように話しているのは理解している。そしてここが軍艦の中で軍人だらけだ。不法行為を働いているのも軍人……こちらの事を信じられないのは分かる。どうしたらこちらの言っていることを信じてもらえるだろうか?』
「と言われても……セバス、こういう時はどうするのがいい?」
「ご主人様、交渉は任せてもらってもよろしいですか?
許可が出ましたので、交渉させていただきます。要求するのは、貴艦の船にアクセスする権限をいただきたい。もちろん、機密情報の入っている区画などではなく、センサーや艦の外を見れる区画へのアクセス権です」
『少々待たれよ。すぐに情報管理官に確認をとる』
「その間にもう1つ、そちらにもアンドロイドはいますよね? 情報交換をする許可をいただきたい」
『なるほど。確かにアンドロイド同士であれば、偽ることは難しい。機密情報などを話すこともない。よし、アンドロイドに話を伝え、本人たちの許可をもらってくれ』
後半は、部下への指示のようだな。おっと、マルチギアに通信が入る。
『ご主人様、おそらく嘘は言っていないと思います。一応、それを今から確認します。私たち以上のスペックを持ったアンドロイドを、軍が所有していることはないので、必要な情報はしっかりと抜き取ってきます』
お願いだから、違法行為はしないでね。
『ご主人様、メイです。船の外のモーションセンサーに引っかかるモノがあるのですが、外の映像を確認できるようにしてもらえないですか?』
どうしたらいいんだ?
『船の起動をしてください』
「そういうことね、了解。セバス、こいつらをよろしく」
船の起動や停止は、緊急時でない限り俺が行う必要がある。
セバスやメイも行うことは出来るが、2人の場合はブリッジまで行く必要がある。だけど俺の場合は生体認証を兼ねているマルチギアからアクセスすれば、起動することができる。
ここらへんは、軍曹の教習で教えてもらっている。起動できる範囲は決まっているが、船内にいない時に起動する場合は、色々な条件があるので気をつけろということだった。
『っ!! 船の権限をお借りします!』
メイから慌てた様子の通信が入った。何が起きてるって言うんだよ! 俺にも分かるように説明してくれって!
置いてきぼりをくらっていると、
『船の周囲に武装した一団が現れました。武装がここにいる者たちより、更に強力になっているため、メイが慌てたようですね。近付けないようにシールドを張りました』
「はぁ? 本当に別動隊がいたってことか? しかも強力な武装付き? えっと、艦長さん? こちらの事を殺したいってことですか?」
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