一章-第一話 別宇宙への転移
場所……謎の森
とある森に黒髪の少年が寝そべっていた
ほんの少しやせ細った体に青い制服。近くに竹刀袋も落ちている。高校生だろうか
一羽の小鳥が、少年の顔に止まる。顔の上で飛び跳ねながら、少年の顔をつつく。少年はうぅ~んと眉をひそめながら目を開く
突然動いた少年に驚き、小鳥は飛んで逃げていった
―うーん、暖かいなぁ………お家こんなに暖かかったっけぇ?―
体を起こした少年は、半寝ぼけになりながらもズボンに入っていたスマホを取り出し時間を確認した
その後周りを見渡すが、どこを見ても木しかない。近くにあるのは少年の所持品と思しき竹刀袋と小さな袋だけ。何度も目を擦り、状況を把握しようとする……が何度も見ても森だ
「…………ここどこ?」
そう考えていると、後ろからガサガサッと木を揺する音がした
すぐさま竹刀袋を手に取り、音した方を向いた
「龍火!?」
「光輝に海斗?」
振り向くと学校のクラスメイトが、二人立っていた
「お前も居たのか……」
「あれ?君たち二人だけ?」
「いや、他にも義史や涼介達が近くの洞窟にいる…」
「そっか……ならその洞窟に連れてってよ」
二人と話、この森にいるのは3人だけではないことが分かった。そして龍火は光輝達に連れられ洞窟に向かった。
移動途中、周りを見渡すと野生動物がはしゃいでいた。サルが木の実を取り合い、親鳥がヒナに餌を与え、蛇が木を這う。川には魚がおり、それを狙う生物が見える……まさに大自然だ
10分後、洞窟につく。ここには高校のクラスメイトがたくさん居た
「龍火……お前もここに居たのか……」
クラスメイトが近づいて心配そうに龍火を見つめる
泣いている者、恐怖で怯えている者、それを慰める者
皆が不安を心に抱いている
「ここにいるのは全員で何人?」
「お前で31人目だ……」
「つまりクラス全員がここにいるのね」
「あぁ……そうなるな」
龍火はみんなの顔、表情をみた。ほとんどの者がうつむいていた
―皆疲れ果ててるなぁ……
もうそろそろ夜かな?すると、まず必要なのは食料?―
龍火は密かに自分の腹の具合を確認した
「……私達どうなるのかな…………」
「………………」
「………………」
一人が質問するが、誰も答えなかった。いや答えられるはずがない
スマホで110番119番通報しても、誰も繋がらず応答しなかった
皆の希望は0に等しい程に落ち込んでいる
数時間後、皆が寝たのを確認し、龍火は食料を探しに森に戻った
月明かりを頼りに、森の中を進む。空には満点の星空が見える
―……懐かしいなぁ―
ふと彼はそんなことを思うのだった
更に時は流れ朝になった
「おはよ~」
「おはよう」
「皆おはよう」
「あれ?龍火は?」
互いにクラスメートがいるか確認した。その時洞窟の入り口付近にいたはずの龍火の姿がなかった
「あれ?何処だ?」
皆は周りを見渡した
「へ〜い、こっちこっち」
「え?んん?どこ龍火?」
「ここだよ、こっこ!入り口入り口!!」
龍火は洞窟の入り口で両手に大きなバックを持って帰って来た。知らぬ間に服も少しボロボロになっていた
「お前、それなんだ?」
「リンゴみたいな果物かな?」
「えっ?」
皆が不安そうに龍火の顔を見る
「その果物大丈夫なのか?毒とかないのか?」
「毒味はしといたから大丈夫だよ」
「なんでそんな危ないことするの!?」
一人が怒った。それもそうだろう
真夜中に一人で洞窟を出て、毒があるかもしれない果物を食べたのだから
「あなた、自分の命を捨てるような行為をなんでしたの?」
「飢えに苦しむ姿は見たくないから?
それに一人で行けば、毒味で争わないからね」
そう反論して、皆に果物を二つずつ渡した
「服ボロボロだけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。あ〜…途中、狼5匹に襲われたっけ~?」
襲われたという言葉に、動揺するクラスメイト
「大丈夫なの!ケガしてない!?」
心配し龍火の体を、思いっきり揺さぶる少女。少ししてゆっくりと口を開き、にやけながら小さな声で告げる
「大丈夫、始末したから」
その声に近づいた少女や、聞こえたクラスメイトが一気に恐怖に狩られた
怯え離れる少女。怯えながら震えた声で、龍火に質問した
「し、始末って・・・ど、どうやって?」
龍火は自分の竹刀袋を手に取り、竹刀袋の中身を見せた
そこには1本の竹刀と2本の刀が入っていた
黒い鞘、紫がかった刀身、刀身にちりばめられた桜の花と花びら
太陽の光が刀を輝かせる。そしてその光は同時に龍火の姿を一層恐ろしく見せる
「始末ってのは……これでしたんだよ♪」
加えて声と笑顔が更なる恐怖心を生む
刀を鞘に納め、何事もなかったかのように木の実をかじる
「もうひとつのバックには何があるんだ?」
「……拳銃」
皆の手が止まった
「拳銃…………?」
拳銃を一つ取り出して見せた
周りは更に怯え始める
見知らぬ星、見知らぬ果物、扱ったこともない拳銃
龍火の生んだ恐怖心と重なり、彼らの恐怖は増すばかり
「そ、それ……何処で手にいれたんだ……」
「近くに軍人が使ってたっぽいテントがあってね、そこから拝借してきました」
「そんな物騒なもの速く捨ててよ……………」
「銃があれば少しは安全でしょぉ?丸腰よりさ」
何事も無かったかのように龍火はまた果実を嚙り食べ始める
それを見たクラスメイトも果実を食べた。龍火が不安視していた、餓死の心配はなくなった
ここでクラスメイトを紹介しておく
男子
大和 玲央 陽人
颯太 光輝 敦志
海斗 昇太郎
義史 涼介
司 真人 優雅
剛史 充 陽平
真也
女子
香美 琴音 美嘉
晴香 亜矢 紗希
奈乃 真歩 りお
結愛 蓮 美咲
柚井 美月
彼らが龍火のクラスメイトだ
「で?これからどうする?」
「拳銃があるってことは人間がいるって事じゃない?」
「確かにそうだな!人間探しをしよう!」
拳銃がある、それは拳銃を作った者が居るということ。洞窟の中に歓喜が舞った
「言いたくないけど……人間は絶滅したと思うよ」
龍火は下を見ながら告げる。これ以上不安を煽りたくはなかったが、昨日の夜彼が森を出て見たものがあった
「どういうこと?」
「昨日の夜、ここが山だってわかったから降りてみたんだけど
上から見た景色は良いものではなかったんだ…………」
彼はポケットからスマホを取り出し、三枚の写真を見せる
その写真には巨大な怪獣が写っていた
「なにこれ?」
「これの写真の倍率は最小
最小でこの大きさだから、たぶん50mから55mはあるんじゃないかな?」
二つ目の写真は人間の白骨死体だった。砕かれた骨もゴロゴロと転がって見える
皆の希望は再び絶望へと変わった
「……やっぱり無理なのか」
「軍のキャンプ地っぽいところにも、人の姿はなかったね」
更に追い討ちをかけるかのような言葉を告げる
弱音を吐く者が居る中、最後の……三枚目の写真を見せた
そこには高層ビルのような細長く高い建物があった
「ここより安全だと思う場所はあるのかな?」
「この写真に何かしらの建造物が写っているんだよね
なぜか怪獣達はその建造物を避けているっぽい
その建造物なら安全だとは思うよ?」
龍火は明るく振る舞う。だが…
「でもそれって……………」
「怪獣の所に行くって事じゃ?」
皆は賛同しない
50mもある怪獣からしたら、彼らは蟻に等しいだろう
知らぬまに潰されてしまうかもしれない
建造物へ行くと言うことはそういうリスクを伴う
彼らは呆然とする一方である
龍火は彼らに申し訳ないことをしたと悔やんだ
すると大和が龍火に質問をした
「龍火は銃の扱い方を知ってるか?」
「うん?扱い方だけならわかってるけど。どうかした?」
「……なら扱い方教えてくれ。自分の身は自分で守るために」
大和の頼みを理解し拳銃を渡し、扱い方を伝えた
「それでクラスメイトを撃たないでね。これだけは守って」
ここで彼の心の中で、ー皆を家に帰してあげたいーと考えているのだ
だがそれは、ほぼ不可能
問題はまず宇宙へどうやって行くか
宇宙へ行くには宇宙船が必要になる
仮に宇宙に行ったとしても、地球はどの方向にあるのかわからな状態だからなぁ
悩み続ける内に、刻一刻と時間は過ぎていく
「やっぱり建造物に行こう?
ここにいても埒が明かないよ。ここでじっとするより行動すべきなんじゃないかな?」
周りを一喝する。しかし賛同するものはいない。分かってはいた
すると突然洞窟の奥から変な物音が聞こえた
ズドン・・・ズドン・・・とゆっくりと音が近づいてきた
奥を見ると、ティラノサウルスのような巨大な恐竜が姿を現した。恐竜はよだれをヒタりヒタりと垂らしていた。どうやら飢えているようだ
ギュウァアアアア!と大声で叫ぶ。そして容赦なく皆を襲う
皆逃げようとするが、鼓膜が破れそうな程な大声で耳を塞いでしまう
そして一人が踏みつけられ捕まった
「た、助けてぇーー!やだーー!」
クラスメイトに顔を近づけ匂いを嗅ぐ
口を大きく開けたその瞬間、大きな音がし恐竜の目から血が流れ出した
あまりの痛さに恐竜は体制を崩す。恐竜がクラスメイトを離すと同時に、龍火がクラスメイトを洞窟の入り口に連れて逃げた
恐竜が音のした方を振り向く。すると刀を構える龍火の姿が…
足元に拳銃が落ちている。恐竜の目を打ち抜いたのは龍火だったようだ
恐竜は叫びながら威嚇する。龍火は動じずゆっくりと刀を抜く
恐竜は威嚇し続ける。が、龍火の服の所々に血しぶきがついてる幻覚が見えた
刀の刀身が半分鞘から出てところで、恐竜は恐怖に襲われ、おずおずと洞窟の奥に逃げ帰った
「あ、ありがとう龍火くん……助かったよ……」
「…………」
「龍火くん?どうしたの?」
「え?あ、うん。優雅も大丈夫?」
「うん、なんとか無事だよ……ありがとう」
恐竜が去り、我に返りその場に座り込む
龍火の手が震えていた。その一瞬彼の手が血で真っ赤に染まって見えた
―一歩間違えればあの恐竜を殺してた……
…………?あっれれぇ〜?おっかしいなぁ……手が震えてる。殺しなんて、いくらでもしてきたのになぁ……アハハ( ̄▽ ̄;)―
龍火には残酷な過去がある
怯える龍火を見て、大和はクラスメイト全員に、拳銃を渡した
彼の代わりに銃の扱い方を教える事にした
龍火はなんとか落ち着き、立ち上がれた。そして皆の方を向く




