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【日常】#1/三味線


【三味線ロッケン】


「イェーイ!! 三味線ロッケンロー!!」


 地下の小さなライブハウス。観客もまばらな中、ロックな曲に合わせて三味線を弾く少女。


 三味線特有の鋭い音が響き、少女の短い金髪が激しく揺れていた。


 曲が終わり、彼女が頭を下げると、ぽつぽつと拍手が起こる。


 観客が少なく会場全体の盛り上がりはお世辞にも高いとは言えないが、少女は満足そうな笑顔でテンション高く客席に言う。


「ありがとうございました! 三味線少女ロッケンでした!」


 深くお辞儀をし、再び起きたまばらな拍手を背に、少女は狭いステージを降りた。


 そして、出演者でぎゅうぎゅう詰めになっている楽屋へと戻ってきた。


「ロッケンちゃん、おつかれさまー」


 ライブハウスのオーナーが、彼女に缶コーヒーを差し出す。


「お疲れ様ですっ!」


「今日も急に呼んだのに出てくれて本当にありがとう」


「いえいえ! こちらこそ、いつも呼んでいただいてありがとうございます!」


 ここで少し雑談をする。ライブの熱がまだ冷めきっていない状態の人と話すのが、オーナーにとっては最高に楽しい時間なのだ。


「前々から思ってたんだけど、三味線ロッケンローって、どういう意味?」


 この何気ない質問に、少女は屈託のない笑顔になる。


「三味線は、私の魂の音。ロックは、私の生き方。だから、三味線ロッケンローです!」


「──そっかっ!!」


 その情熱に、オーナーはよくわかっていなかったが元気よく頷いた。このオーナーのよくないところである。


 帰り道、少女は三味線を抱え、夜空に輝く星を見上げて呟く。


「いつか、この三味線の音で、世界中をロックにさせてやる」


 彼女の瞳は、星よりも強く輝いていた。


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