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『西国最強の夫婦まかり通る! 〜旦那様は今日も素敵です〜』  作者: 平子 天陽


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柳河城

こんにちは! あまはる です!

この物語を手に取っていただきありがとうございます。

※本作は史実を元にしたフィクションです。

 実在人物を題材にしていますが、人物描写・会話・逸話などに独自解釈と創作を多く含みます。

心にゆとりを持ってお読みください(^^)

最終話、しゅっぱーつ!ε”ε”ε”...(ノ*' ')ノ

「此度の戦功、見事であった」


 広間へ、静かな声が響く。

 豊臣方の使者が、秀吉の朱印状を広げた。


「筑後柳河十三万石――」


 立花家臣たちの空気が止まる。


「立花宗茂へ与えるものなり」


 ◇


 天正十五年(一五八七年)


 立花宗茂、二十一歳。

 立花誾千代、十八歳。


 九州平定後。

 豊臣秀吉は、立花宗茂へ筑後柳河十三万石を与えた。


 柳河城。


 新たな立花家の居城である。


「…………」


 薦野増時が固まる。


「十三万石……?」


 十時連貞が珍しく言葉を失った。

 小野鎮幸だけが、静かに目を閉じる。


「……ついに、ですな」


 誾千代が宗茂を見る。


「旦那様」


「ん?」


「立花、大きくなるね」


 宗茂が小さく頷く。


「ああ」


「守るものも増える」


「父上たち、見てるかな」


 風が吹く。


 紹運。


 道雪。


 もういない。


 宗茂は少し空を見る。


「ああ」


「きっと見ている」


 誾千代が小さく笑う。


「そっか」


 一拍。


「じゃあ、恥ずかしいところ見せられないね」


 宗茂が頷く。


「そうだな」


 そして柳河城を見る。


「行こう」


「ああ」


 誾千代が柳河城を見上げる。


「もっと強くならないと」


 宗茂がふっと笑う。


「十分だろ」


「まだまだ」


 即答だった。

 十時が横で肩を竦める。


「姫様、本当に止まりませんねぇ」


 ◇


 筑後。

 柳河城。


 新たに立花家へ与えられた城は、水の上に浮かぶような城だった。


 広い堀。

 幾重にも巡る水路。

 白漆喰の塗籠壁。

 そして城下町。


 立花山城とは、何もかも違う。


「……広いね」


 誾千代が静かに周囲を見渡す。

 水面が夕陽を受け、ゆらゆらと光を返していた。

 揺れる柳の影が、静かな堀へ柔らかく落ちている。


「山がない」


「平城だからな」


 宗茂が小さく笑う。

 城門が開く。

 立花勢が、ゆっくり柳河城へ入っていく。

 兵たちの顔にも、どこか安堵が浮かんでいた。


「広ぇ……」


「水路多いな……」


「迷いそう」


 十時連貞が吹き出した。


「お前ら、まずそこか」


 薦野増時が城を見上げる。


「立花山城とは別物ですな」


「あっちは戦う城だった」


 宗茂が静かに言う。


「こっちは、人が生きる城だ」


 風が静かに吹き抜けた。


 ◇


 宗茂は城下を見渡していた。

 夕餉の煙が、町のあちこちから静かに立ち上っている。

 子供の声。

 人の笑い声。

 戦場にはなかった音だった。


 ◇


「旦那様」


 誾千代が隣へ並ぶ。


「なんだ」


 風が吹く。

 柳が揺れ、夕陽の光が水へ散った。

 誾千代が、その景色を見つめたまま小さく呟く。


「……綺麗」


 宗茂が少し目を細める。


「ああ」


 一瞬。

 静かな風が、二人の間を抜けていった。


「ここ、好きかもしれない」


 その横顔は、穏やかだった。

 誾千代が、ふっと宗茂を見上げる。


「戦も終わったし」


「ん?」


「旦那様と、ゆっくりしたい」


 宗茂が小さく笑った。


「……甘味処にでも行くか」


 誾千代の黒い瞳が、ぱっと輝く。


「行く」


 即答だった。


「姫様」


 後ろから、たまが声を掛ける。


「戦も終わったのですから」


 一拍


「そろそろ、おとなしくしてくださいませ」


 誾千代が振り返る。


「なんで?」


「なんで、ではありません」


 たまが即答した。


「先ほども堀の深さを見ようとして、身を乗り出していたでしょう」


 宗茂が横で吹き出した。

 誾千代がむっとする。


「だって、気になる」


「姫様が落ちたら大騒ぎになります」


「落ちない」


「その自信はどっからくるんですか!」


 そのやり取りを見ながら、宗茂がふっと笑う。

 ようやく。

 戦ではない時間が戻ってきていた。


 ◇


 夜

 月明かりが、

 静かな水路へ淡く落ちる。

 細く流れる水が、

 白い月を揺らしながら映していた。



 立花山城。

 島津との死闘。

 九州の戦。

 それは終わった。


 ここから先、立花宗茂と誾千代の名は、

 さらに天下へ広がっていく。


 柳河の水面は、静かにその始まりを映していた。

これにて終了です!

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

感謝申し上げます(꒪ˊ꒳ˋ꒪)。ෆ。

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