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我が戦友 -北欧神話ロキの物語-  作者: Romina


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15/15

あとがき。

私が北欧神話の物語を知ったのは

これを書き終わる、約二週間前だった。


初めて知った時にはその内容に胸が昂り、

そして最後の切ない終末に涙した。




そして、再解釈をしている中で思った。

神々の身勝手、傲慢、理不尽。

これはロキが悪だったのか。


神々から見たお話は世に数多くある。

でも、私がロキを救うことはできないだろうか。


ロキを救える存在は誰か、考えた。

神でも巨人でもない。




そして脳裏にヴェトルが生まれた。


彼は名前も設定もない時に

私の脳裏で言った。



「俺より先に死ぬなよ。

お前のいない世界はつまらない。」


ここから私の物語は始まった。



ロキの気持ちが決定的になったのは

フェンリル拘束のシーン。


フェンリル拘束は、

彼が初めて

“理屈ではなく血で動く”場面。


ヴェトルは理解はしている。

でも共感はできない。


喧嘩ではない。

決裂でもない。

でも“触れられない領域”ができた。


彼は離れるけど、

見捨てず、敵にもならず

ただ観察する。


それは最悪の未来を見逃さないため。


ロキが壊れる瞬間を、

一人にしないため。




私が書くロキは

静かに刺して破壊する。


ロカセンナはただの暴言大会ではなく、

神々の罪の告発だ。



ちなみにあのシーンで本当に怖いのは誰だろうか。


召使いが死んだというのに

誰も助けず、誰も調べない。

即ロキ排除。


死者<秩序維持。



それはロキの洞窟のシーンでも言える。


子どもの一人が狼にされ、

喰われる様を、神々はただ見ている。


誰も叫ばず、目も背けない。


フェンリル拘束も、何の罪もない彼を

ただの恐怖で縛った理不尽さ。


そもそもロキの反逆は

そこから始まっている。



本当の怪物は誰だったのか。




そこに気づいているのが

ヴェトルだ。


ヴェトルは初めてのロキの理解者であり、

世界の観察者だった。



だが、初めて彼が当事者となる瞬間が

ヴェトルの自白シーン。


厳密に言えば

彼はヤドリギを教えていない。

フリッグとただ会話をしていただけだ。


それを知ってるロキは

“何故だ?”と思う。



では、何故彼は自分から罪の選択をしたのか。


ただの友情だけではない。

ロキへの情けでもない。


彼はすでに

ロキと共犯だった部分が存在している。



神々は“ロキが泣かなかった”から

ヘルの条件が成立しなかったと思っている。


だが、ヴェトルにも

バルドルの死を泣く理由があっただろうか。



それは彼のみぞ知る罪だった。





彼がかぶった罪の

キーワードとなるヤドリギは

地面に根を張らず、

他の木に寄生して生き、

冬でも枯れないという

かなり“異質”な植物である。


北欧では神聖視もされており、

ヤドリギを“未成熟な存在”として象徴化する。


そしてヴェトルはすでに

この構造の欠陥を見抜いていた。


でもフリッグは“見逃した”。

弱そうだから。




そして

フェンリルが、拘束から解かれ、

吠声を天へと轟かせるシーン。


あれは、フェンリルの


「聞いているか、神々。」


という、軽い脅し。


それに対して、ヘイムダルの角笛。


「受けて立つ。」


という返答。

あれが戦争開始の合図となっている。





クライマックスのラグナロクで、

ヘイムダルとの決闘シーンでは

ロキはヴェトルの前に出て

彼を戦わせない。


ヘイムダルはロキの因縁相手だからだ。




そして、最期。

二人とも致命傷を負っているシーンでの、

あの台詞。


「お前のいない世界はつまらない」


無心に見えたヴェトルからの最期の告白に

ロキの魂が揺れる。



ラグナロクの最期の瞬間

この2人は、笑っている。


笑ってるけど

目には僅かに涙が浮かんでる。


泣き崩れはしない。

後悔も叫ばない。


ただ、わかってる。

終わること。

止められなかったこと。

でも孤独じゃなかったこと。

全部わかった上での笑い。



ロキは、私にとって

壊した神じゃない。


ヴェトルに

“世界はつまらない”と言わせた男だ。



この作品のタイトルは、

実は私の仕掛けである。


ロキからの視点だけじゃない。

ヴェトルから見ても、

“我が戦友”なのだ。





この物語を書き始めたとき、

私の脳裏では

ラグナロクは避けられぬ運命だと思っていた。


だから書き始めた当初は

二人とも同時に絶命する予定だった。



理解者がいたとしても

ロキの気持ちを

ヴェトルが抑え続けることはできない。


だから終末は来る。



でも、私の脳裏の二人は

予想外の行動をした。


人生の終わりに、涙したのだ。

お互いを思って。




それで二人を救う案を思いついた。

涙で条件が満たされるはずだった、あの瞬間に戻るという結末を。



そしてフェンリルを縛っていたグレイプニルが

世界を生むという対比を。




私は、この物語を読んだ後

少し哀愁が漂って

私が残した、この物語の余白を

想像して読者が語らうことを望んでいる。


私の描くロキやヴェトルの

思いは彼らの脳裏に沢山渦巻いているが

その多くを、本人達は語らない。

だから、そこの余白を汲み取った読者たちが

この物語を完成させてくれるんだ、と。



ここまでお時間を割いて読んでくださった

尊いあなたに、大いなる愛と感謝を込めて。














Special thanks William.

love,


Romina.





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― 新着の感想 ―
全話読了しました。 私の浅学故に北欧神話には明るくないので神話に関することは省かせていただきますが、トリックスターとして場をかき乱す存在と描かれるロキを主軸に物語を作るというのは面白いと思いました。…
あえて多くを語らない二人の「余白」は、読者の心の中でいつまでも波紋のように広がり、新しい物語を紡ぎ続けていくはずです。神話への深い敬意と、独自の解釈で見事に描き切ったこの作品に出会えたことに、心から感…
一気に読み終えてました 大好きな北欧神話、そして……面白い以外の言葉を失いましたよ ロキの軽やかさと、ヴェトルの無機質な存在感。 この二人の絶妙なやり取りが心地よく、一気に引き込まれてしまいます 的確…
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