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赤毛の職人とぬいぐるみの戦争  作者: 牛熊


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4. 回顧録:双子の妹

自由に喋っていいんだっけ?


いいのね、分かったわ。


それと、このビスケットは食べていいやつ?


隣の区の有名店の新作でしょ。


栗とナッツをクリームチーズに練り込み、それをビスケットで挟むとか、罪深いにもほどがあるわよね。


食べる機会を狙ってたから助かったわ。


あの店、いつも行列が酷いのよね。



姉さんにも渡したいから、ビスケットの箱ごと貰うわよ。


食べ過ぎじゃないか?


大丈夫よ、根拠は無いけど。


あと、もし次があるなら、同じ店の干しブドウとベリーのスコーンを用意して。


次がなくても、日頃の感謝の印としてプレゼントしてくれてもいいわよ。



えーと、何の話だっけ?


そうそう、ぬいぐるみ作りを始めた頃の話ね。


初めてネイトに会った時は犯罪者が乗り込んできたと思ったわ。


今でも時々ごろつきと見間違えるのは秘密よ。


この前、本人に伝えたら少し凹んでたから。



あの悪人面は凄いわよね。


身だしなみを整えた今でも隠しきれてないし。


なんなら、年を取って貫禄が出たせいで、更に凶悪になった感じもするわ。


スチュアートの真似で眼鏡をかけさせてイメージ改善を図ったんだけど、無駄な努力どころか余計悪化したの。


深夜の裏路地に立っていたら、間違いなく反社会的な勢力の一員にしか見えない。


うちのぬいぐるみに憧れて作った職人を調べるとあの顔が出て来るとか、詐欺で訴えられても勝てないわよ。



一緒に街を歩いてると歩きやすいのがせめてもの救い。


目の前がサーっと開いていくから。


それなのに子供には好かれるのが謎よね。


昔のチャリティーイベントで知り合った子供たちも、その後何人もうちに入社してるし。


子供の後ろに立ってる大人たちは引きつった顔してるけど。



でも、ネイトには感謝してる。


あの時、お父さんは色々あって落ち込んでたけど、立ち直るきっかけをくれたのはネイトだもの。


あれがなかったら、今頃どうなってたかしら。


最初に作って貰ったぬいぐるみは今でも大事に飾ってる。


チャリティーイベントで貰ったのもお揃いで並べてるわよ。



工房が出来た後も色々と大変そうだったけど、2人は楽しそうだったから、好きなようにすればいいと思って眺めてたわ。


最初にお父さんがぬいぐるみ作りを始めた時、あんまり乗り気じゃないと感じたから。


嫌々というか、仕方なくお茶を濁そうとしてるのが伝わってきた。


昔、自分の工房を経営していた時にはそんな顔しなかったもの。


それに比べれば、文句を言いながらも楽しそうにしてる分だけマシね。



実は、ネイトが「俺は少女になる」と言い出した時、「少年でもいいんじゃないの?」と言いそうになったのよね。


でも、面白そうだから黙ってたわ。


結果を見ればあの判断は正しかったはずよ。


少なくとも、ネイトを一生からかう材料にはなったんだから。

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