まずは呼び名から
翌日、目が覚めて俺は台所へと向かった。
「……何をやってるんですか?」
「あ、おはようございます。あの、朝ご飯を作ろうかな、と」
台所でガチャガチャとやっているマリー様がいた。
「マリー様、作った事あるんですか?」
「えーと……」
多分作った事無いんだろうな。
「俺が教えますから一緒に作りましょう」
て言っても目玉焼きとトーストなんだけどな。
ほんの数分で完成して二人で食べる。
「美味しいですね、お城で食べてる物より素朴で……」
「舌に合って良かったです」
朝食を終えた後、これからの事について俺は話す事にした。
「俺の家は元々冒険者で今まで農作業とかはやって来なかったんです。これからは畑を耕して農作物を作って生活していこう、と思っているんです」
「冒険者では無いんですか?」
「えぇ、才能がありませんから。やっぱり人間は落ち着いて暮らすのが一番だと思うんです」
「わかります、その気持ち。私も兄達が汚い争いを見て王族に生まれた事を何度も後悔した事があります……」
幼い頃から大人の醜い部分を見て来たんだろうなぁ。
「だから、お母様から今回の話をいただいた時にホッとしたんです。お城から出れる事が凄く嬉しかったんです」
「大変だったんですね……」
「だから、庶民の生活に憧れていたんです。自由に見えましたから」
なるほど……。
俺だって冒険者やっていた頃はこういう落ち着いた生活にも憧れていたからなぁ。
だから、マリー様の気持ちはわかる。
「ですから、私の事は呼び捨てで構いませんよ。私の方が年下ですから」
「それじゃあこれからはマリーと呼ばせてもらいます。俺も様付しなくていいですから」
「わかりました、それじゃあアランさんで」
改めて俺とマリーは握手をした。




