第140話 タロウ、簡易建造
すいません、お待たせしました!
色々と時間が確保できなくて……orz
よろしくお願いします!
カルミナを見送って二日が経った。
予定ではそろそろ、着く頃だろう。無事に王様に会えると良いが……カルミナも今や、立派な荒くれ者だ。カルミナをそんな道に引きずり込んでしまった俺を、斬首する未来だけは作らないで欲しい。
「タロウ、次お願い」
「分かりました!」
俺はグラウェル領の……とりあえず俺達の居る街で簡易だが、増築と防衛の強化をしていた。
これはまぁ……グラウェル領の端に住んでいる人達を呼ぶためだ。出来るだけ領民を集め、一ヶ所で匿う作戦らしい。意見は色々と出たが、兄様はこの作戦でいくと最後に決定し、実際にどんどんこの街へと人の移動が始まっていた。
冒険者も護衛の仕事が一気に増え、嬉しい悲鳴が起きているらしい。
「カルミナが居ればランディアの土魔法でポンポンっと作れるんだけどな~」
「タロウのスピード……いや、それよりも魔力量どうなっているんだい!?今日、予定してた作業はとっくに終わってる早さだよ!?」
簡易な家なら、イメージさえあればすぐに出来る。流石に疲れるが……まだまだ余裕だ。
この作業を一段落させたら、今度は結界を張りに行かないといけないな……。他の領民が避難して来る事も想定しなければいけないし、何より一番大事なうちの領民の為に頑丈な結界を貼ろう。
「よ~し、もう少し頑張りますかねっ」
◇◇◇◇◇
『ピッピッピー!ピヨリッピ~』
「あなた、どんだけ気に入ってるのよその鳴き方……何言ってるかは分からないけど。まぁ、いいわ」
『お腹空いた~』
タロウからピヨリとアトラスを借りて、空の旅をしている。アトラスが通訳してくれているのか、それとも自分の気持ちを言ってるのかよく分からない。
一日目、夕方……ほぼ夜に出発をしたけど、夜通しで飛んで貰ったお陰でもう今は、うっすらと王都が見えていた。
「今日はもう少し飛んで、明日に王都へ入りましょうか。シェリーフ!王都の様子を先に見に行ってくれないかしら?」
『えぇ、お任せを』
誰に任せても良かったが、一番速いだろうシェリーフに任せた。後、数刻もすれば戻って来るだろう。
お父様と会ったら何を話そうかしら?
私が今考えてるのはその事だ。そんな時間は無いかもしれない。でも、せっかくタロウがくれた時間だから束の間だとしても……話せるだけ話しておかないと。
「お母様やお兄様、お姉様達にも今の私の姿を見てもらわないとね!」
『ピヨリも会うッピ!』
『わたしも~ピヨリも~会いたい~』
「はいはい、ちゃんと紹介するわよ! ピヨリ、あの大きな木の下で休みましょうか」
数分後に私達が地上に降りたってから、シェリーフが戻ってきた。思ったより時間が掛かった事を尋ねると納得の理由が返ってきた。
「なるほどね、そりゃ上空に頑丈な結界は貼るわよね。魔力を遮断する結界か……魔物避けね」
『えぇ、魔力体である私達にも有効ですね。まぁ、普通に門から入らせて貰いましたが』
まぁ、見えないものね。特別な眼を持たない限りは。
そして、シェリーフから街の情報を教えて貰った。状況は……良いとは言えないらしい。
これはグラウェル領と似たようなものだが、やはり大きい都市はそれだけで狙われるみたいね。
民は皆、警報が鳴れば外出は禁止や、兵の飲酒の禁止などの、細かい情報まで聞き取ったりしてきてくれたみたいだ。
王族に死者は居ないらしいが、戦いに出た人の戦死者は最近増えているみたいだ。
「ありがとうシェリーフ。さて、ご飯にでもしましょうか」
何をするにしても、人間……生きていればお腹が空く。王都で暮らす人は、ミシラン商会がある限り飢え死にはしないでしょうね。あの商会だもの、そこは期待できるわ。
『ご飯ッピ!』
『ご飯!』
「すぐに準備するわ!食べたら明日まで休むわよ!皆、見張りはお願いね」
精霊の皆に任せればその辺は安心だ。念のために任せてはいるが、流石に敵の気配が在れば私も気付く。ベリー先生とタロウに鍛えられたもの……ええっとそう。寝起きドッキリとかタロウが言っていたわね。
私達は食事後、明日も朝から動く予定の為、消化できたと思ったら各自で速やかに睡眠に移った。特にピヨリは頑張って貰わないといけないし、グッスリと眠って欲しい。……温度調整でもしますかね。
◇◇◇
翌朝、グッスリと眠ってしまった私達は王都に行く準備をし始めた。
起きれたから問題無いと、体をほぐしながら考えて“ピヨリに乗ること無く”出発した。
「ちゃんと体を動かしておかないとね」
『私はピヨリに乗る~』
走り始めた私の隣を、低空飛行しながらピヨリがついてくる。
とりあえずは、身体強化でより近くまで進んで、そこからはランニングのスピードで向かう。勿論、混乱を避ける為に王族様の……
「駄目ね、どちらにしても大事になるわ。何か良い方法は無いかしら?」
こんな時、タロウなら色んなアイディアをすぐに出してくれるのだが……私にタロウ程の柔軟さは無い。でも、私には皆が居るから大丈夫。
「サンライカ、光を曲げて見えなくする作戦はどうかしら?」
『王都の入る場所によるでしょう。ちゃんとしていれば、そこに魔力の高いものを検知するナニかがあっても不思議ではありません』
そのまま駆け抜けてしまえば良い気もするけど、いたずらに混乱を起こす訳にもいかない。
「じゃあ……ランディア、地面を通って王都に侵入するのは?」
『うむ……地盤が緩むのはオススメ出来ないぞ?』
うん。なるほど、難しい事は分からないけど……やめておいた方が良いならそうしよう。もっと安全で確実な方法を探すまで。
「何か良い方法は無いかなぁ~うぅむ……」
『なるほど~分かったぞ~伝える~』
ピヨリの上に座っているアトラスが何かを言い始めた。これには見覚えがある。たしか……エドヌで陸海空部隊に分担した時だ。アトラスを通じてタロウと連絡を初めて取った時でもあったはずである。まさか?
『タロウが~Sランクの冒険者カードとグラウェル領からの手紙持ちだと言えば、貴族用の所から入れるだろうって~。変装と名前は誤魔化した方が最低限の騒ぎで済むって~!』
たしか……盲点とかいうやつね。
冒険者カード、完全に忘れていた。Sランクにもなれば、ほぼフリーパスなのよね。流石タロウ、私のうっかりをいつも助けてくれて……本当に好き。
「アトラス、ありがとうって伝えて。それと、買えればお土産も買って帰るって」
『分かったぞ~』
私はランニング程度のスピードに変えて、アイテムボックスから色々と取り出して、変装を試みた。
ローブでだいたいは隠せるとはいえ、フードを取れと言われた時の為に、顔に模様を施したりしてみた。一応は、これで大丈夫だと思いたい……。
◇◇
王都に入る為の門は閑散としていた。いつもなら人の出入りで賑わっている筈なのに、今は貴族用どころか、商人や冒険者達が使う出入口も人は少ない。
魔族との戦いが始まってしまったし、こんな状態も仕方ないのかもしれないが……少しだけ寂しく感じてしまう。
こんな事なら、貴族用では無くてもすぐに入れるだろうと、私はフードを深めに被り、貴族用から進路を少し変えて進みだした。
目の前に一台の馬車があって、ここで時間は掛かりそうだが……まぁ、それくらいは待っておこうと決めた。冒険者は待機には慣れている訳だから。
その馬車から少し後ろを歩き、馬車が停車したのを確認して私達も順番待ちをし始めた。
「それにしても懐かしいわねぇ。学校は一年くらいしか行けなかったけど……」
私が一人で過去を振り返って感傷に浸っていると、前の馬車から人が近寄ってきた。歩き方、武器の所持、近寄ってくるまでに至る所を観察して、危険度が低い事は分かったけど一応、警戒をしておく。
「あのぉ~荷物とかが無いようでしたら、前に並びますか? 僕の運んでる荷物……というか、この馬車はマジックバックを沢山積んでまして、時間がかかるので」
「そう、なのね。それは助かりますが……本当に前に行かせて貰ってもよろしいのですか?」
細身の男は快く譲ってくれた。馬車は商人としては普通サイズだろうか?それなのに、積んでるのが荷物の入ったマジックバックの山。大商会か個人なのか判断が私には出来ないわね。
「声は女性みたいですが……お一人ですか?最近は危険が本当に多くなりましたので気を付けてくださいね?」
「一人じゃないわよ。この子達だって戦えるのだから」
ピヨリとアトラスが元気良く返事をしてくれたが、男には本気だと受け取って貰えなかったみたいね。どうでもいいけど。
「それで……貴方は何を運んでいるのかしら? あなただって一人みたいだけど?」
「食料の運搬ですよ。僕が一人なのは戦う道具を多目に所持してるのと、遠くじゃなくて近くに行っていたからです」
それでも危険が無い訳じゃないだろうと思いながらも、その男の話を聞いていた。商人なら情報も多く持ってそうだと打算的な部分も当然ある。
「それで、そろそろ支店を任されそうなんですよ。ですがまぁ……戦いが落ち着いたらでしょうね。とりあえずは、飢えてしまう人が一人でも少なくなればと思って頑張ってますよ」
「へぇ……まさか、あなたはミシランの従業員なのかしら?」
そこならばこの食料を運んでる状況も納得だ。支店を任されるレベルなら信用もあるのだろうな。
「えぇ、そうです。きっと大物になってみせますよ! あっ、自己紹介がまだでしたね。“初めまして”レート=ミシランと申します」
その名を聞いて、一瞬だけ頭が空白になった。
だが、すぐに自分を取り戻し……言わないといけないことを先に言っておく事にした。
「あんた!!どんな手を使って痩せたのよ!!」
私の声に前に並んでいた数人が振り返ったがすぐに元に戻った。
そして――私は、レートに見えるようにそっとフードを外した。
顔のペイントが邪魔で、レートは顔をしかめていたが冒険者カードを渡すと驚きながら片膝を地面に着いた。
「タロウ君は?」
「その格好で最初にそれはどうかと思うけど……まぁいいわ。タロウはグラウェル領よ。立ちなさい。目立つから」
レートを立たせて、改めて挨拶をし、先程とは違い“私達が出てった後”の情報を聞くことにした。
誤字脱字その他諸々ありましたら報告お願いします!(´ω`)




