66話 帰り道
「それでは疑問があれば聞きましょうか。」
全自動で走り続ける車の中で陰は言った
「それじゃあさ、あいつらが何で見逃してくれたか解る?」
「命令されていないからでしょう。」
その答えに史は頭を掻く
「いやさぁ、そうじゃなくてあの場所であたしらを殺してたら得じゃん。」
「貴女は彼らが政府に自らの意志で仕えて居るとお思いですか?
それは間違いです、彼らは仕えて居るのではなく、呪術によって縛られているのです。
絶対に政府に従い続けるように。
だから皆は命令に不備があればそれを利用しているのでしょう。」
「心から従っては居ないって事か。
それを解く方法はあるの?」
その問いに陰は頷く
「当然です、呪術は強力なほど解く方法は簡単になります。
裏を返せば呪術は解く方法が簡単なはど戒めが強くなるということだと呪術の玄人である兄様が言っていました。
話を戻すと、解く方法は戦って屈服させることです。
だから政府は戦わせないのでしょう、決戦の時に人数が欠けていてはいけませんからね。」
「でも、さっきの人も本気じゃなかったよ。」
「そうですね、それは私もですが、螢姉様には兄様以外勝てるとは思いませんしね。」
「戦いはいつ位になる可能性と思う?」
「史さん、鋭いですね。
今回私が戦った八橋の魔力が消耗が回復するのに少し掛かるでしょうし、その後でしょう。
ですが、子獲り箱が破られる前に一度攻撃をかけてくる可能性はあります。」
すると不意にアリスが口を開く
「ところで照さんはどうやって蘇ったの?」
「おそらく、螢姉様がしたのでしょう。
死者の肉体を蘇生し、御魂を呼び戻すなど生命の根源を司るガイアの力を持つ螢姉様以外にできません。」
「助けられるの?」
「当然です、融合された神格は消せませんが、生きているならそれで良いではないですか。
それにそれはこのような事に巻き込んでしまった私たちの責任です。」
「なら助けないとね。」
その言葉を聞いて陰は微笑し、不思議そうな顔のアリスに言った
「また、恋敵が増えてしまいますよ?」
それにアリスはため息をつく
「貴女がそれを言うの?
それにあたしの時代は妻の一人や二人普通でしたし、仲良くできるならいいんじゃないかな?」
「・・・・・それも・・そうですね。」
その顔を見てアリスは呟く
「陰さん、泣いてるの?」
「いえ、そうなったらいいなと思いましてね。
さあ、大阪に着いたようですよ。」




