65話 ダイダロス
アリス達は奈良県東大寺に到着した
そこに入ると、戦槌を持った大柄な男と、大剣を持った細身の男とが戦っていた
「工部尚書、何をしているのですか。」
陰の言葉に大柄な方の男が振り返る
「夕月陰か、久しいな。
だが、これも上からの命令なのでね、邪魔をするなら排除する。」
「ダイダロスと皆は下がっていて下さい。
私が戦います。」
そう言って陰は十束剣を抜き、即座に斬りかかる
横へと切り払われた一撃を戦槌の柄で受け流し、相手は戦槌を叩き付ける
「くっ、重い。」
素早く展開した骨の盾は大きな凹みが生じる
「あの人と互角って、あれはだれ?」
アリスの言葉に史が答える
「多分だけど奴は御菖蒲八橋、工部尚書だよ。」
「それって陰さんと同じ・・・」
史は頷く
「そうだね、奴は陽と同じ一三家の家長の一人だよ。」
そういう間にも戦いは進んでいく
振り下ろされた戦槌を躱して陰は足払いを掛け転ばせ、首へ振り下ろされた刃は突如飛んできた矢によって弾かれる
「へパイトス、帰還しなさい。」
その声に陰と八橋は振り返る
「了解しました。」
その声と共に八橋が掻き消えるとそこに居た女性は陰の下へと歩み寄る
「身構えなくてもいいですよ。
貴方達を攻撃するよう命令は受けていませんから、それにしても久しぶりですね。」
「はい、螢お姉様。」
「次は敵対することになるのでしょうが、元気でね。」
そう言って女性の姿が掻き消えると皆が集まってくる
「今の人は?陽と同じ位の力を感じたけど。」
「彼女は螢、鬼灯螢です。」
「姉って言ってたけど?」
「昔はよく慕っていましたからその時の癖です。
それは良いとして、ダイダロス、貴方に話があります。」
「ああ、先程聞いた。
私の血が人に役立つなら喜んで提供しよう。」
「感謝いたします。」
陰は深々と頭を下げる
「それじゃ行こうか、早く報告をしないとね。
僕は先に帰らせてもらうよ。」
そう言ってエレボスの姿は掻き消える
「そういえばどうやって居るのかなあれは。」
「転移ですか、兄様に聞いて下さい私は使えないので。
それでは帰りましょうか。」
そこに史に採血されたダイダロスが口を挟む
「ならば私は行かないが、車なら提供しよう。」
そういうとダイダロスは金属の二輪戦車を作り出す
「これに乗って行くと良い、幸運を祈るよ。」
「ありがとうございます。」
礼を述べると、皆は二輪戦車に乗り込んで走り出した




