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別れ

マフィアの大ボスが留置場に捕まって入ったときに言った言葉は「俺はみんなのために働いたのに何故こんなところに入れられるんだ!」

殺人鬼と言われた犯罪者が警察官を拳銃で撃ったとき「警察官が先に拳銃を向けたんだ!!俺は正当防衛だ!」


どんな犯罪者でも人は必ず自分を正当化する。

これは人の性らしい!


これが普通の人たちになると何が起きても自分を正当化するのはわかる気がする!!


希望退職者の説明会で男は会社にスポーツ指導の仕事を始めることと会社に20年間お世話になり会社での経験に対して心から感謝していることを伝えた!


ほんとに人間関係の勉強をさせてもらったと思う!


この20年間の人間関係の経験がこの先の仕事上の人間関係に大いに生きてくることになる!


そして、その年の暮れに会社員としての人生が終わった。


未練も後悔も何もなかった!!

あるのは未来に対しての希望と不安!


いくらポジティブに意識しようがネガティブな感情は湧いて出てくる!


これは人の性!


まだまだ男の脳の潜在意識には泥のようなネガティブな記憶がある!

きっとこの記憶をポジティブな記憶に上書き修正することがこれからの人生になる!


男は先にこの仕事をしていた先輩に迷惑はかけられないと思い毎日やったことのない営業回りをした。


学校の部活!少年野球!少年サッカー!少年何々がつくクラブチーム!にトレーニングの大切さを伝え無料体験などをしてもらった。

住んでいる市や近隣の市に適度な運動の大切さを伝え企画書を配って回った。


一週間ほど過ぎたとき、ある部活を見学していると部活の指導者が近寄ってきて質問してきた!


予備動作が無いままノーモーションで動けるようになれるか!!


男は一瞬心のなかで、それは武道の達人の領域やろ!!


と!!思ったが、速答で「はい!出来ますよ」!!

この世界に入って癖になったことは良い返事をする!


その一言で一つ目の契約が取れた。


早く自分が食べていける仕事量にして先輩や嫁に心配をかけないようにしよう。


だが男の考えとは別に問題は起きた!


契約が取れてテンションも高めで事務所に戻ると先輩からちょっと話があるけど!と呼ばれた!


先輩

「俺もうこの仕事やめる!」


「マジ!俺まだ来て右も左もわからんけど!」


ただ男は少し予想はしていた。

先輩がこの仕事に就いて1年、思いと言動が不安定過ぎた。


この一年、先輩が凹む毎に励ましに行った。

男と辞めた理由が違うにしろ20年近く工場務めをして安定していた収入から不安定になれば誰でも不安になる!


ただずーっと一緒に格闘技をやって来て兄弟のように親しくしてきた先輩だけにサポートしていけば大丈夫だと安易に思っていた!


運動神経も良く勤勉で男よりも全然優等生だった!

格闘技も強く格闘技の塾も塾長としてみんなからカリスマ的存在で見られていた!

その先輩が見る影もなく不安に怯えている普通の人になっていた!!


男は何度も今は苦しいかも知れないが必ず良い方向に進むから、この苦しい時があったから今の良い生活があると思うときが来るからと励ましていた!


が、少し早いが心の折れた先輩であった!


しかし男はまだ説得は出来るだろうと安易に思っていた!


先輩は男が思ってたより行動が早かった。


よほどプレッシャーとストレスが溜まっていたのだろう。


辞める準備を着々と進めていった。


そして事務所を設立するときに融資していただいた会社の社長とも話を着けていた!


もう男にはどうすることもできなかった!!


ある日男は先輩の見ている部活のトレーニング指導を見学に行った。


先輩は合間合間に下を向き負の波動を出していた!


そして、部活関係者にある話を聞いた!


後2ヶ月でこの部活は契約切るらしいよ!!


この話を聞いて、もう辞める先輩にトレーニング指導させるのは選手や指導者方々に悪い気がした。


先輩が事務所を去るのも後2ヶ月だった!


負の波動を撒き散らして後2ヶ月も指導されてパフォーマンスが上がるわけがないと思った。


どうせ2ヶ月で契約切られるなら自分がトレーニングをしよう。


男は先輩に指導を代わってくださいと告げた!


先輩は別に反論することもなく、了承してくれた!


そしてトレーニング指導を交代することを選手たちに告げるときに先輩は理由を大会で勝てなかった責任を取る!と選手たちに告げた!


男は心の中でいろんな思いを抱きながら挨拶をした!


勝てなかった責任を取る!と言った後の挨拶は完璧に暗いムードだった!


今までトレーニング指導の現場経験が全くなかった男は一気に自分が取った部活と先輩が指導していた2つの部活とで気分の圧が上がった!!


トレーニング指導の資格を取ることは大体の人はやる気があれば出来る。


が、人前で指導するという経験は格闘技の塾で師範代をしていた経験だけが頼りだった。


2ヶ月間、男は持てる全ての経験と知識て選手たちに接した!


その間もセミナーに参加してトレーニングだけではなくコンディションやメンタルの資格を取得していった!!


そして2ヶ月後その部活の契約は継続されることになった!


現場では凄いことが起きる!


男はトレーニング指導である!


それまではトレーニングの知識しかない!


しかし部活の指導者から選手の膝が悪いので見てもらえますか!?


と、頼まれる!男は無茶ぶりやろ!!と思いながら「はい!」と返事をする。


運が良いことに格闘技は人の顔を蹴るので柔軟性が必要である!


その知識で見ると膝が痛い理由は柔軟性の悪さだったりする!


そして男は柔軟性に対する知識が必要だと思いそういうセミナーを探して知識を入れる!!


現場で課題がでたらそれに対して知識を入れ現場で改善していく!


こうして男のトレーニング指導者としての能力は上がっていく!!


だが男が自分の体を創って行った過程と一緒だと後々気づくようになる!


2ヶ月後、先輩がこの世界から身を引く時が来た。


先輩は男に話があると言ってきた!


それはまた一緒にやりたいということだった。

荷物持ちでもいい。それまでは先輩が事務所の代表!男が副代表!


先輩は自分がサポートに回るから手伝わしてくれと言ってきた!


先輩の思いが変わった理由はいろいろあると思うが、この2ヶ月で男は先輩が一年間この仕事でお客様にしていたこと前の仕事を辞めた理由をいろんな形で知らされた!


客観的に見て現実問題、先輩ともう一度組むことはこの仕事をやっていく上で多大なマイナス要因だと感じた!!


先輩とは一緒に悪いこともした、兄のように慕った、強さを競いあった、ずーっと一緒にやっていく縁だと思っていた!


そんな先輩が下につくから、また一緒にやらせてくれと言ってきた!


男は言った!


「それは出来ない!事務所的にこれ以上信用を無くすわけには行かない!」


後は何を言ったのかよく覚えていないが一緒にやれないことを告げた!


先輩の帰った事務所で男は一人、孤独感と虚しさとで涙があふれでた!


それは病気の時、誰も救ってくれる人はいないと思い心が折れてしまった時に似ていた!

だだ違うことがあった!!


あの時は意思とは別に不安な未来がどんどんやって来てた!

そして光の見えない状況のなかで泣きながら笑うという本能が動いた!


今回は自分の意思でこの状況を創り出した!



そして自分で未来を切り開く!


涙が溢れ出る中で男は無理矢理に口角を上げ天を見上げて笑顔になった!


笑顔の先に最高の未来が待っている!!


今はそう思えなくても!




つづく!






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