最初の自分
内容全てを変えました><
正直な話全然読んでもらっていないので;;
数少ない読者さんには迷惑をかけるのをどうかお許しください
これは僕の物語、そう僕のたった3年間の物語。
風に乗って桜の花びらが後ろに流れていくのを見ながら僕は坂を上っていた。
初めて歩くこの坂は学校へとつながる一本道で、早めに出たせいか周りには少ししか生徒がいない。
真っ白なカッターシャツに紺色のネクタイ、黒で統一された真新しいブレザーとズボンを身に着けた僕は、そう新入生だった。
大半の新入生は胸を高まらせながら、もしくは少し緊張しながらこの校門をくぐるのだろう。
でもどうしても僕はそんな気になれなかった。
どうしてもなれなかったんだ。
皆さん知ってるだろうか?
僕だけの勘違いかもしれないが桜吹雪が舞い散る季節より少し前にしか入学式はやってない。
でも間違いなく僕が初めて登校するこの学校の坂には確かに桜吹雪が舞っているのだ。
道の端にはしなしなになって黒ずんだ桜の花びらが溜まり、明らかに咲き始めたような雰囲気ではない。
そう…僕は季節外れの転校生だった。
―桜は散るからまた咲く―
職員室を先生とともに出て、自分の教室へと歩く。
隣に並んで歩く先生は何処か頼りげなく、おろおろしている。
「どうしたんですか、先生」
と、何かあったのかと聞いてみると
「あ、あのですね、皆さん新入生で溶け込めてないから…条件は一緒ですし…その、大丈夫だと思いましゅ!」
盛大にドモリながら話すこの人は俺の事を気遣っていたようだ。
「あ、大丈夫ですよ。僕、大丈夫なんで」
妙な虚無感を胸に自分に言い聞かせるようにつぶやくと、床に落ちた先生の眼鏡を拾い上げて渡す。
「はい…じゃ、じゃぁ先に入ってるので呼んだら入ってきてくださいっ」
そう言って中に入っていくと、クラスの一部から挨拶される声が聞こえてくる。
入学式から一週間しかたっていないのにもう生徒との仲が良いようだ。
(それもそうか…ここまで自分たちにビビる先生なんて怖くないしな)
盛大にドモリながらホームルームを開始する、声は聴いていて威厳なんてものはない。
我ながら変なクラスに転校してきた、と苦笑していると
「すまない、邪魔だ。木偶の坊」
「っ!?」
いきなり後ろから肩を叩かれて、飛び跳ねるように横に退くと一人の少女が立っているのが見えた。
「君も遅刻なら早く入ればいいじゃないか」
腰まで届くかという長い黒髪に手グシを通すと僕の手をさっと取って教室の中へとずんずん入ってしまう。
見慣れていない僕の行き成りの乱入に驚くクラスメイトと、合図をまだ出していないのに入ってきた僕への先生の非難の目線が降りかかる中、僕はただ僕の手を引っ張った女の子を見ていた。
似ているんだ…あいつに…。
僕はどこかうわの空で自己紹介を済ますと、自分の席に腰を下ろす。
一番後ろの窓側から2番目…窓から入ってきた桜が丁度落ちる場所だった。
前の席の男子や横の女子から興味ありげな視線が飛んできたが、担任の一言で前に視線を戻した。
ただ窓側の隣の女子、さっきの女の子だけは僕にまったく興味を持っていないようだった。
ただ憂鬱気に外の桜の木をじっと見つめているだけだった。
「なんで白川君はこんな時期に転校してきたの?」
「あだ名は何がいい?白やん?それとも下の滝斗からとってタッキー?」
「好きな食べ物とかってあるの?」
「好みのタイプは?なんで今日、暁さんと教室に入っていたの?」
「僕と嫁について話さないかい、ハァハァ…」
エトセトラ、エトセトラ…。
ホームルームが終わると同時に席の周りは人で埋め尽くされてしまう。
さすがに転校初日ならこうゆう光景も当たり前と言っちゃ当たり前なんだろうが、正直疲れるのだ…。
隣の恐らく暁さんは、どこか鬱陶しげに僕の周りに視線をよこしている。
どうやら、この嵐に疲れているのは僕だけじゃないようだ。
すべての質問に真面目に答える気力もなく、適当に受け流すか曖昧な返事で結局流していた。
「部活はどうするの?やっぱり運動系に入るのかな?」
机を囲むクラスメイトの何処からかそんな質問が僕の耳に飛び込んできた。
思考が半分止まっていたかのように靄がかかっていた思考が急に鮮明になり始める。
部活…運動…○○。
周りの質問の声はドンドン遠のき、耳鳴りと心臓の音がやけに大きく聞こえる。
視界はぼやけ、何処か明るい場所の映像がチカチカと目の裏に焼付く、それと同時に強烈な吐き気を催した。
クラスメイトはそんな俺に気付いてないかのように口をパクパクして笑顔で何かを俺に言っている。
今すぐにこの場から離れたい、誰もいない風が吹くところでゆっくりと休みたい。
本能的に感じたまま僕はそれを実行に移した。
急に僕が席を立った事で、驚いたクラスメイト達はようやく僕の異変に気が付いたようだ。
ドアに向かって重たい足取りで歩く僕に何人かクラスメイトがよってくるがどうしていいか分からず、ただオロオロするばかりで何もしてこない。
そうだ、それでいいんだ…少しの間僕を一人にしてくれ。
心の中でそう呟くとゆっくりとドアを開け外へと踏み出す。
頭がボーとしているせいか、それともこの断片的な映像のせいか平衡感覚が弱っていて足が真っ直ぐに出ない。
だが今は一刻も早くここを離れたい、それがまるで生死に関わるかのごとく僕は必死に動かない足を動かした。
授業に来た先生にわざと急き込んで体調が悪いことを知らせると僕は保健室とは逆方向の屋上へと歩き始めた。
あそこなら授業中の今は誰いないはずだ。それに屋上には花壇がありリラックスにはちょうどいいだろう。
手すりにもたれるようにしてゆっくりと登っていくと、踊り場の先に屋上へとつながる扉が見えた。
元々、僕が入ることになった1年6組は4階なのですぐ真上が屋上なのだ。
ドアの隙間から流れてくる涼しい風が僕の頬を撫ぜる。
ゆっくりとドアノブを捻ると、真新しい扉は音もなくスッと開いた。
ヒュゥゥゥゥ
口で表すとそんな感じの風だったかもしれない。
僕の体に正面からぶち当たるように当たった風は俺の体を押しながら脇へとずれて行く。
こんな風普通ならなんともないだろう、でも幾分かマシになったとはいえ僕は普通ではなかった。
急に吹き付けた風に重心を崩され、一歩また一歩と下がってしまう。
頭には靄がかかり自分がなぜ風に抗えないかも分からぬまま一歩また一歩と下がっていく。
しっかりと床に足をつけない、踏ん張れない、ただ足が後ろに動くから足を床に着けるような変な感覚に襲われた。
だがそれがいつまでも続くはずもなかった。なぜならここは踊り場、いくら踊り場の端にいたとはいえ数歩も下がればそこは階段だ。
もう一歩、もう一歩と下がる俺に次の床はなかった…にも関わらず踏み込んだ足は脳にとって予想外の出来事で膝からカクンと折れ曲がってしまう。
崩れる様に後ろに倒れる僕の体はいまさら意思の動向で変えられる体勢でもなくただ落ちるのを待つばかりだった。
トン…
急に後ろからささやかな反動が背中から伝わってくる。
背中から温かい熱がじわじわと伝わり僕の靄でいっぱいだった頭を澄み渡らせていく。
懐かしい温かさ…もう僕の元には戻らないと思っていたこの温かさ…それが僕を支えてくれたんだ。
動くようになった足を前に突き出して踏ん張ると、仰け反った体勢をどうにか戻す。
やっとの事で立ちなおすと自分を支えてくれた誰かにお礼を言うためにゆっくりと振り返った。
ドア下から吹き通る風に髪をなびかせ立っていたのは…暁と呼ばれたその少女だった。
何を考えてるかも分からない無表情な顔でこちらをジッと見ている。
「え…と、その…さっきはどうもありがとう」
「階段からの自殺はお勧めしない、いくら木偶の坊でも人生を諦めるのは早いと思うぞ」
「いやいやいやいやっ。別にそうゆう訳じゃないからっ」
「そうそれなら急性ストレス障害には気を付けてくれ、ここで死なれては毎日ここを通るのに気味が悪くて仕方がないからな」
「っ」
相変わらずな無表情で顔にかかってきた髪を耳に掛けると横をと通りすぎていく。
(俺の症状を知っている?)
急性ストレス障害とはトラウマによる感情の麻痺、吐き気、フラッシュバック、不眠病などをまとめた病名である。
俺の場合はトラウマによって感情の麻痺、吐き気、フラッシュバックなどが見られ、症状を表に出さないようにすると今のようになってしまう。
そうゆう時はいつも開けた落ち着いたところで精神を落ち着かせるのが今一番の方法だ。
「なあっ!暁!!」
いつもでは症状が出た時にはあり得ないほど気分がいい。
気が付くと、屋上へと出ていた暁を追いかけていた。
「なぁ、待ってくれ。なんで俺が病気持ちってわかったんだ?」
「また君か…授業中なんだから教室に帰ったらどうだい」
「僕は先生にきちんと言って出てきてるからいいんだっ。それを言うなら暁こそどうなんだよ」
授業が始まって十数分立ってる今、堂々と屋上に来ているならきっとサボりだろう。
「…君に教える筋合いはないね」
「ツイッ」と顔を逸らすと奥の方へとずんずん進んでいく。
心持寒い風が吹き付ける中、少女は屋上の端にある給水タンクに登り始める。
さっき僕も被害にあったが屋上の風は時に突風さえ起こるほど強い。
そんな時に女子が梯子なんてものを上ると…その…非常に目に毒だ。
魅惑的に揺れ動くスカートの端を目でとらえてしまい、とっさに目を逸らす。
「君は屋上に何をしに来たんだい?」
頭上から声を掛けられ声の方に向きなおしてしまう。
いや…先に言い訳を言わさせてもらうと、僕は暁が既に登り切っていると思っていたのだ。
「っ!?」
つまり、男子は少なくとも魅了されるであろう素敵な布を見てしまったのだ。
「人の話を聞いているのか?木偶の坊」
やっと登り切ったのか伸びをするうめき声に似たような声を上げながら僕へと話しかけてくる。
「えっと…その、僕はここに風に当たりに来たんだよ」
恥ずかしくなると顔から煙が出ているような描写がマンガではよく書かれるが本当に煙が出るほど顔が熱かった。
「ふむ、そうか…風に当たるならこの上に登ってくればいい」
こっちも見ないで「此処に来い」と自分の隣を叩くと、何か意味深に遠くの方を見つめている。
まだ会ってからまもないし、本人から直接名前を聞いたわけでもない…そんな人(しかも女子)から「隣に座れ」と言われても僕にはそこまでの決断力がなかった。
どうしようか、とアタフタする僕に、
「早く来いっ、木偶の坊。それとも案山子と呼ばれたいのか、君は」
決断しない僕に苛立ったのか眉をひそめると、さっきより強めに隣を叩く。
「わ、わかったから」
なんか上から目線なやつだな…なんて思いながら梯子をダラダラと登る。
ようやく頂上に着くと突然吹き付けた風に思わず目をつぶる。
「突っ立ってないで早くすわりなよ、本当に君は木偶の坊だね」
手を引っ張られ(ドキッとしたのは内緒です)隣に無理やりといった形で座らせられると僕に話しかけてきた。
「君はこの街が好きかい?」
この町…目の前には見慣れない街並み…学校へと続く桜坂…それが目の前にある。
少女は何処か悲しみを帯びた目で町を見据えると僕にそう話しかけてきた。
「君にとっては知らない街だろう、だから今すぐ答えを求めているわけじゃないぞ。ただこの町を私はどうも好きになれない」
僕の答えをまたず、淡々と僕に話しかけてくる少女は先ほどまでの上から目線はなく、やはりどこか悲しげで見ている僕がつらくなるほどだ。
「君は普通の人間になりたいか?普通の学校生活が送りたいか?もしそうであるなら…もしそうなら学校で孤立している私などにかまわず、今ここで私といたことは無かったことにした方がいいだろう」
私は嫌われ者だからな…何も考えていないかの様に無表情で僕にそう話しかける。
「それでいいなら、私の話し相手になってくれ…別に君でなくてもいいんだがな」
皮肉気味に言う口調とは裏腹に彼女を手はスカートの端を握りしめて震えている。
僕の心は迷わなかった。
「私なんていう嫌われ者にわざわざ触れ合わなくともいいん」
彼女の言葉は最後まで続かなかった。
彼女の表情は固まり、スカートを握りしめていた手に視線が注がれる。
そこには私より一回り大きい手がそっと私の手を包んでいた。
「僕は、君の友達になろう。君がさびしいなら僕が話し相手になろう…だから、だから…僕は」
僕はなぜか溢れ出す気持ちを止められなかったんだ。
今日初めて会った少女だ。だが今それは関係なかった、確かに強気で上から目線で変な正確かもしれないそれでも僕には学校に馴染めず不安に震える少女にしか見えなかったのだ。
僕は普通の男子生徒でしかない、でも普通の男子生徒でも友達にはなれる。
僕だって人を励ますことはできる、そう思って出た言葉だった。
「うっ!」
鳩尾に走った衝撃に思わずうめく。
「君、いくら私が下手に出たからと言ってセクハラはいかんと思うぞ、うん」
「ちょっ」
「私が『きゃーセクハラー』なんて叫べば君は社会的にも死ねるんだぞ」
いや、棒読みでそんなセリフ言われても…。
「いやぁ、木偶の坊だから野蛮なことはしてこないと思ったんだが…野犬だったのか、君は」
一言いうと共に鳩尾に遠慮のないけりが入れられる。
どんどん後退していく僕に逃げ場はなかった…そうここは狭いタンクの上…。
僕はいきなり空が視界を覆ったのが見えた。重力が僕を襲い、床へと引き寄せられ始める。
着地(もとい落下)の衝撃と共に肺の空気が吐き出される。
落下の最中、僕は確かにこう聞いたんだ。
「これからは覚悟しろよ、友達なのだかならな」
薄れゆく意識の中で満足げな彼女の笑顔を最後に見た気がした。
僕が目を覚ましていたのは保健室だった。
白く清潔なベットに寝かされていた僕は後頭部に鈍い鈍痛が走り、顔を顰める。
※内容大幅変更ありました
※少しいじりました




