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プロローグ

深夜二時。一般的には丑三つ時と呼ばれる時間に僕は起きてしまった。トイレの夢をみると大体漏らす前兆なのだ。今回はセーフ。起きることができたのだ。


中三の受験期に、「おねしょ」となると推薦にも響いてしまうかもしれない。それは避けたいし、普通に中三でおねしょはやばい。なんというか年齢的に。


僕は股間を押さえつつ、親を起こさないようにひそひそとトイレに入った。


「危ないところだった、やっぱり寝る前にトイレに行かないのは危険だったな」


 大抵、夜中のトイレは静かなことと、眠気が相まってどうでもいいことが頭に浮かんでくる。だが、今日は違った。漏れの危機があったからだ。


用足しを終え、部屋に戻ると、ベッドの横に置いてある「塗り薬」が目に入った。というより手探りで見つけ出した。電気をつければいいだけの話だが、余計に目が覚めたら嫌だ。僕は外耳炎もちで、ほぼ毎日薬を塗っている。ほぼ毎日といったが、サボる日のほうが多い。受験期だから仕方ない。これが僕の言い訳だ。


薬を塗り終えると、イヤホンを付けて就寝、が普段通りなのだが、今日はイレギュラーだ。薬を塗って左耳にイヤホンを付けると、微妙に痛い。それになんか耳の穴がピキッと縮まった気がする。イヤホンを外して確認しようとするが、外れない。丑三つ時の怪奇か?


「なんで外れないんだ、僕はそこまで非力じゃないぞ」


 僕はまさか、と思いベッド横の塗り薬を見ると、それは「塗り薬」ではなく「瞬間接着剤」だった。昨日ベッドの横でプラモデルなんて作ったのが間違いだった。畜生。


 親に「薬と間違えて塗った」なんて口が裂けても言いたくない。それに、十五万のカスタムイヤホンを買ったこともバレたくない。もしばれたら没収されて今後買い物はできなくなる。病院に行けば解決するかもしれない。でも僕はそんな恥ずかしい理由を説明できない。


そうして僕はやむを得ず耳を隠すためだけに髪を伸ばすことにした。



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