駕籠に揺られて
目の前には瓦礫の山が広がっていた。
「・・・何これぇ?」
「お待ちしておりました。」
褐色マッチョな元魔王・タワシがその場にいた。
つーかずっとここにいたのか?
「あの、これは一体・・・?」
「以前、バスリーとUSIが戦った時のことです。その脅威のパワーによって魔王城は全壊いたしました。」
これ、魔王城の残骸だったのか。
「そして現在、魔王城を再建するためにバスリーと私は郵便局で手紙を仕分けするアルバイトをしています。なので、本日はバスリーはいません。」
選ぶ仕事を間違えている。
「それで、本日はどのようなご用件で?」
ここに来た理由――魔族への意識を強める宗教がこのヤポニャのどこかにあること――をタワシに伝えた。
「なるほど、そのようなことがあったのですか。」
「って知らなかったのか?スーシャだと大騒ぎだったぞ?」
「この国では皆、働くことに夢中で魔族を気にしている者は少ないのです。」
「いわゆる社畜。」
クオンによる補足。
「ですが心配ご無用。私の言うことを聞くならず者たちに調査させましょう。明日には全てが明らかになっているはずです。」
「おう。分かった。」
待機か。また暇になっちまったな。
「では遊園地でもいかがかな?」
「遊園地って?」
「ああ。」
モルガナの質問にクオンの返事。てか、この返事久しぶりだな。
「この国、ヤポニャには各地にそれはそれは楽しい遊園地がございます。有名所は東と西にあります。ここからだと東の遊園地が近いですな。港に駕籠がございます。ぜひ行ってください。」
結局のところ、タワシが言いたいことはよく分からなかったが、とりあえず港に行ってみた。
「へぇ~これが駕籠・・・。」
家みたいな形をした、人が1人入れるほどのサイズの箱から棒が伸びている。その棒を人が持って移動する道具のようだ。
「人力車もあるはずですけど・・・。」
プレナはそう言って駕籠に乗り込んだ。
それを真似て俺たちも乗る。クオンは知ってたかもだけど。
「東の遊園地?まで頼む。」
「あいよ!飛ばしていきまっせ!」
4つの駕籠がほぼ同時に出発。
ユークを乗せた駕籠は宣言通り猛スピードで進んでいくが、疲れてきたのか途中からペースダウン。
少し遅めに進んで行く。
ゆらゆらと揺られながら通り過ぎていく景色を眺めるのは、中々面白い。機関車とはまた違った良さがある。
「ふえぇ!遅いよぉ!もっとスピードアップ!!」
「へ、へい!」
隣の駕籠からそんな声が聞こえて、辛そうな様子で加速した。
「まったく・・・暴君を乗せると大変だな・・・おい!負けてらんねぇぞ!こっちもスピードアップだ!」
「ひっ!へ、へい・・・!」
死にそうな声とともにユークを乗せた駕籠も加速。
少しずつ遠ざかっていく2丁を呆れながら見て、プレナも声を出す。
「あの・・・無理しないでくださいね。」
「ありがとうごぜぇやす!」
嬉しそうな声がした。
その直後、猛スピードで隣の駕籠も遠ざかっていった。
「進め進めぇ。」
そんなクオンの声がプレナには聞こえた気がした。




