裏社会
キットの魔王城を出てしばらく歩き、馬車を拾った。
「闇市に行きたいんだが。」
「・・・魔族か。まぁいい。金をきちんと払うならな。」
この運ちゃん、感じ悪いなぁ。
「で、どうやって情報収集するんだ?」
外から来た魔族にホイホイ教えてくれるとは思えない。
「情報屋がどこかにいる。それを探せばいい。」
「その情報屋はどうやって見つけるんだ?」
「・・・気合。」
当てはないってことか。
「・・・着いたぞ。」
馬車が停まった。
「おうよ。」
プレナから金を受け取り、ユークは投げつけるように運転手に渡した。
なんか凄い睨んできたけど、無視して馬車を降りた。
「へぇ~ここが闇市ね。」
人が多い。賑わっているけれど、どこかピリピリした雰囲気だ。
「スリとかも多いから、油断しないで。」
「おう。」
頼りになるなぁ。
どこに行けばいいか分からないから、とりあえずあちこちを歩きまわる。
「市場では見られないものもあるのですね。」
「うん。ヤバイものもある。あとは盗品とか。」
どっか傷ついた武器とか、変な粉とか売ってるな。
無法地帯って感じでなんかワクワクするな。冒険心をくすぐられる。
「ねぇ、情報屋がいる場所、知らない?」
クオンは立ち止まり、ある露店の店主にそう質問した。
「知らねぇな。」
「本当に?」
ぶっきらぼうに応えた男に対し、クオンは小刀を鞘から引き抜き、突きつけて再び質問した。
「・・・粉を売ってる男だ。」
「どうも。じゃあ行こう。」
「お、おう。」
怖いよ。
道を引き返してさっき見かけた店に行く。
「あの、訊きたいことがあるのですが。」
「情報が欲しいなら、等価交換だ。うちの品を買うか、俺に情報を渡すか、さぁどうする?」
プレナは黙って俺を見つめる。
いや、粉は買わないよ。でも話せるような情報も持ってない。困ったな。
こうなったら、さっきみたいに脅して・・・。
と考えていると、クオンが口を開いた。
「『無色の死神』がこの国に来ている。」
その言葉に店主は目を見開いた。
「・・・そうか。それはいい情報だ。では、こっちも情報を出そう。」
冷静を装っているが、声が少し震えている。
「・・・なぁ。『無色の死神』って何だ?」
こっそりとプレナに質問。
「いえ、私も存じません。裏社会の有名人かと。」
プレナでも知らないのか。珍しい。
「・・・俺のとっておきの情報だ。かの伝説の冒険者『あ』が強い魔族を求めて、このスーシャに来ている。もしかしたら、『無色の死神』と対決するためだったのかも知れん。」
「あーいや、俺たちが知りたいのはそれじゃなくて・・・。」
伝説の冒険者とか、今はどうでもいい。
「最近起きてる、魔族と人間についての話だ。」
「・・・そうか。その話か。いいだろう。表では話せん。裏に行こうか。」
そう言うと店主は立ち上がった。




