不審者、襲来
与えられた部屋である程度くつろいだ後、再び町に繰り出すこととした。
目的地などは特にないため、気の赴くままに町をさすらう。
「こんにちは、モルガナ様。」
「こんにちは。おばあちゃん。」
時折、モルガナに挨拶をする者がいる。
「挨拶してくるのって、魔族か?」
ユークの質問に対し、モルガナは首を横に振った。
「ううん。皆、人間だよ。この国には魔族は少ないし、私たちは人と仲良いから。」
「へぇ~。」
「あの、しばらく別行動をとってもよろしいでしょうか?」
プレナの進言。
「おう。遅くならないようにしろよ。」
珍しいなとは思いつつ、ユークは申し出を快諾した。
礼を言って別方向へ歩いていく後ろ姿を見ながら、ユークは呟く。
「そういや、不審者が出るとか言ってたっけ?女の子を一人にするのはまずかったか?」
「それはフラグ。」
「いやいや、まさか・・・。」
クオンの言葉を否定しようとした矢先、通りの奥から悲鳴が聞こえた。
「フシンシャだぁー!!」
その声を合図にしたかのように、一斉に人々がユーク達の方に向かって走ってきた。
「マジかよ・・・。」
「やっぱりフラグだった。」
ゆっくりと歩いてくる者がいる。
黒のロングコートに身を包み、赤いマスクで顔の下半分を覆い、サングラスで目元を隠した男だ。
「うん。不審者だ。」
逃げ惑う人を捕まえて、質問する。
「おい。あの不審者は何なんだ?有名なのか?」
「あ、あれは世界恐怖モンスターの一体だ。君たちも早く逃げた方がいい・・・!」
USIみたいなもんか。
男は近づいてきており、話しかけてきた。
「お前も不審者か?」
「いや、不審者はお前だろ。」
「そんなことはどうでもいい!俺と対決しろ!」
どうでもよくはない。
「ふえぇ。フシンシャはお腹が弱点って聞いたよぉ。パンチすれば一撃って噂だよぉ。」
どんなモンスターにも弱点はあるってことだな。
「クオン!頼むぜ!」
「任された。」
小刀を鞘から抜き、フシンシャに肉迫する。
「じゃあ俺たちは帰るか。」
「ふえぇ!」
思いっきり殴られた。痛い。
「冗談だって!でもさ、あの戦いに入れる気がしないぞ。」
クオンの小刀に対し素手で応戦するフシンシャだが、互角の攻防を見せている。
あのクオンに素手で戦えている奴だ。応援に行っても邪魔にしかならないと思う。
「・・・クオンちゃんの邪魔はできないよね。けど・・・。」
ユークの言い分も尤もであり、モルガナは迷う。助けに行きたいが、邪魔をするわけにはいかない。
「大丈夫さ。クオンは誰にも負けない。」
ポンとモルガナの頭に手を乗せるユーク。
「ふえぇ!」
振り払われた。
ホント可愛くないなお前。




