大事な話です
「で、話ってなんだよ親父?」
ユークの部屋――本棚が多いことくらいしか特徴のない部屋――で親子ジェーラとユークは椅子に腰を下ろしていた。
「あの薄水色の髪の嬢ちゃんのことだ。」
「クオンのこと?なんかあったのか?」
どうしてクオンの話題になるのか。ユークには心当たりがなかった。
「今のところは何もない。が、これから何かあるかもしれない。」
「どういう意味だ?」
「お前たちのことは観察してきたつもりだ。それで何となく思っていたことがある。そして今日、さっきの戦いを見て確信めいたものに変わった。あの嬢ちゃん――クオンには注意しておけ。」
「ん?だからどういう・・・?」
言いたいことが見えてこない。
「あの子は・・・なんというか、そう、心に欠落がある気がする。何かをトリガーに爆発するおそれがある。だから――。」
「しっかり相手してやれってことか?」
ジェーラは頷いた。
「ああ。と言っても、過度な対応をする必要はない。今まで通り、お前らしく接してやってくれ。」
「分かったよ、親父。じゃあ俺は玉座の間に戻るよ。一応、魔王だしな。」
「そうか・・・お前も魔王らしくなってきたってことか・・・。ところでユーク、ハーレムものばっかりじゃなくて他のジャンルも読んだ方が・・・。」
「人の本を勝手に読むな!」
・・・・・・・・・
「どうかな?似合うかな?」
上に戻ると、民族衣装――白のブラウスの上に緑のジャンパースカート――に着替えたモルガナとプレナが待っていた。
「おー似合うぞ。」
棒読み。
「ふえぇ。心がこもってないよぉ。」
「はいはい。で、クオンは?」
「クオンさんなら、疲れたとおっしゃって、自室に戻りましたよ。」
ちなみに、夕食はコックに注文しておきましたので、心配いりません。とプレナは付け足した。
「そっか・・・なら仕方ねぇな。」
親父にああ言われた手前、少し話しておこうと思ったが、今ここにいないのなら仕方ない。
「何かご用件でも?」
「いや、何でもない。それより、今日の夕飯は何なんだ?」
「ビーフシチューです。楽しみですね。」
「ああ、うん。」
ビーフシチュー・・・牛か・・・。
あとプレナはシチューが好きなのか。
「そういや、警備体制はどうなってんだ?」
また一つ上のランクが使えるようになってたら楽なんだが。
「相も変わらず、五段階のうち下から二番目のDランクです。」
「あ、そうすか。」
今更だけど、魔王の城の警備体制がランクで制限されてるってどういうことだよ。
一体誰が・・・って親父か。
やっぱ、親父の言うこと真に受けちゃダメかもな。




