買い物に来ました
魔王城に帰ってきました。
やっぱり、ここが一番落ち着くなぁ。
「ふえぇ。ここがユークの城かぁ・・・あんまり豪華じゃないよぉ。」
「・・・なんでいんのお前?」
本来、いないやつが一緒にいる。
「やはり、ついて来られたのですね、モルガナ様。」
「うん。クオンちゃんがいるからね。しばらくここで暮らすつもりだよ。天国のセバスチャンもそれを望んでいるはずだよぉ。」
勝手に天国に送るな。まだ生きてるだろ。
「それは構いませんが・・・お召し物が必要ですね。」
そっか。モルガナの身長だと、プレナやクオンの服じゃサイズが合わないか。
「ふえぇ。ユーク、買ってきてよぉ。」
何で俺が。と言いかけて、買い物も悪くないと思った。欲しい本もあったし、前に会った可愛いウェイトレスにまた会えるかもしれない。
うん。全然悪くない。
「しょーがねーな。俺が買ってきてやんよ。プレナ、行くぞ。」
「はい。」
「おっ、ユーク、帰ってきたのか。おみやげ・・・。」
移動魔法発動。
なんか親父の声がした気がするが、多分気のせいだ。
・・・・・・・・・
クレムリドーム、再び。
相変わらず人通りが多い町だ。
っと着替えてくるんだった。密林を歩いた恰好のままだから、ちょっと汚れているかも。
「では、服屋に向かいましょう。」
2人で服屋を探すこと数分———結局、自力では見つけられず、町の人に尋ねて発見することができた。
可愛いというかオシャレというか・・・よく分かんないけど、とにかく女の子に人気そうな店だ。
早速、入店すると店中から視線が集まる。
「・・・男が入る店じゃなさそうだな。俺、本屋行ってるから、買い物終わったら来てくれ。」
「あ、はい。」
どことなく気まずい思いをしながら退店し、ユークは本屋に足を運んだ。
今回買いにきた本はずばり!トレーニングの本である!
女の子3人と暮らしを共にするのだ(1人は一時的だが)。男として多少は、それなりに、ある程度、強くなっておきたいのだ。
「・・・『魔王でも分かるトレーニング術』・・・馬鹿にしてんのか?てか、誰向けだよこの本。・・・『名医が教えるトレーニング~これまでの常識は間違っていた~』・・・胡散臭いな、これ。」
世の中には星の数ほど本がある。ここにあるのもその一部にすぎない。
その数ある中から、これだと思える物は中々見つからない。
悩んでいるユークの目に、ある一冊の本が目に留まった。
「『必勝術』・・・シンプルだな。」
他の本に比べ、一回り小さい本だった。出版社の名前も書いてない。誰かが自費出版した物のようだ。
だが、それが逆に気に入った。きっと強者の誰かが、自分のトレーニングやら経験を書いたのだろう。ありきたりのことを書いている(であろう)出版社の出した本よりは為になりそうだ。
ユークは中身を確認せずにその本を買い、店の外に出た。
「ユーク様、お買い物はお済みでしょうか?」
「お、プレナ。ああ、丁度今、終わったところだ。」
「そうでしたか。では帰りましょうか。きっと、モルガナ様が首を長くしてお待ちしていることでしょう。」
あ、喫茶店まだ行ってない。
プレナに引きずられるように歩きながら、ユークは心の中でそう呟いた。




