お仕事してみました
「さて、実際に業務をやっていきましょうか。こちらが、現在配置可能となっている罠及びモンスターです。」
プレナの差し出したリストを見て、ユークは「少なっ!」と声に出してしまった。
モンスターはそこらにいるようなものだけ。罠は毒を吹きかけるとかのものだ。
「このモンスターって強いのか?」
「弱いです。初心者向けと言われる類のものですね。」
即答。
「じゃあダメじゃん。罠はどうなんだ?毒をかけるとか、針が飛び出すって強いのか?」
「弱くはありませんが、魔王の城に来る冒険者が、この程度のケアをできないとは思えません。」
ダメじゃん。どうすんの?
「仕方がない。できるだけ多く用意してくれよ。」
半ばやけくそにそう注文した。
「かしこまりました。少々お待ちください。かけあってきます。」
そう言うとプレナは魔法で部屋を出ていった。
静かになった玉座の間で、ユークは溜め息を吐いた。
こんな感じがもしかして、毎日続くのか・・・?
すでに面倒くさくなってきた。魔王、もうやめたい。
「お待たせしました。」
「はやっ!」
「OK出ました。明日から出勤するそうです。配置はいかがされますか?」
出勤って・・・魔王の城も職場扱いか。
「まぁいい。モンスターは一階と二階に均等に。罠は三階に集中してくれ。」
「かしこまりました。なお、罠の工事には三日ほどかかります。」
「三日?そんなにかかるのか?」
こう、ちょいちょいと付けられるものじゃないの?
「はい。私が工事の方と相談して、適所に設置するようにします。その時間と休憩時間、工事員の問題を考えると、三日かかるという計算になりました。」
「その休憩時間ってのを削れば、もっと早くできるんじゃないか?」
それを聞いて、プレナは目を細めた。
「休憩は必要です。削るとかえって効率が悪くなります。実際に休憩時間を減らすようなら、たちまちブラックだと噂が広まり、来るものも来なくなります。」
へぇ。そーなのか。確かにブラックなのは良くないよな。俺も残業なんかしたくないし。
「分かった。じゃあそういうことで。現場はプレナに任せちゃっていいんだよな?」
「はい。では、本日のお仕事は以上となります。」
「おっ、じゃあ部屋に帰っていいか?」
正直、ニートだったからちょっと働くだけできついんだよな。
「いえ、冒険者が来る可能性があるので、この部屋にいてください。」
「マジですか?」
「マジです。」
それって、ずっとここにいなきゃいけないってことじゃね?
辛い。