お話しましょう
「はじめまして。君はどこの者かな?」
続々と会場に入ってきた者のうち、最初にユークに話しかけてきたのは、すらっとした若い男。イケメンである。
「ラスィカヤの魔王・ユークだ。」
プレナの通訳のもと、話し始める。
「それは失礼。」
若い男は肩をすくめた。
「僕はキット。スーシャの魔王だ。」
「ああ。よろしく。」
頷いた後、プレナに質問する。
「スーシャってどこだ?」
「ラスィカヤから見て東に位置する大陸です。世界一の国土と軍事力を擁しています。」
凄いとこってのはよく分かった。
「スーシャは広いですし、冒険者も強いからお仕事も大変ではございませんか?」
「まぁ確かにね。けど僕は魔王としての責務を果たすべく、日々統治を怠らないようにしているんだ。国の仕組みと処罰の方法を厳密にするようにしてね。そうして魔王らしく活動してきたからこそ、『新世界の魔王』と呼ばれるようになったんだ。」
どこか嬉しそうにそう語るキット。
異名か。カッコイイな。俺も何か欲しい。
「それでは、他の皆さんに挨拶してくるので、僕はこれで。後でまた話しましょう。」
そう言ってキットは去っていった。
「なんか、魔王って感じじゃないけど・・・オーラみたいなのがあったな。」
「ええ。魔王として活動してきた経験や重みが雰囲気として表れているのでしょう。ユーク様にも、もう少し魔王らしさが欲しいところですね。」
おっと、一言余計だな。魔王になってまだそんなに日が経ってないんだから、そこんとこは仕方ないじゃないか。
「ん?クオンはどこいった?」
さっきまで一緒にいたはずなのに。キットと話しているうちに見失った。
「おっと、あまり似合っていないねキミ。どこぞの悪党が入ってきたのかと思ったよ。」
小太りのいかにも嫌味な男が話しかけてきた。
魔貴族ですか。混乱好きの厄介な存在ですね。
「何て言ったんだこのおっさん?」
「すみません。聞き取れませんでした。」
ユークにそう告げて、プレナは小太りの魔貴族を睨みつける。
「この方はラスィカヤの魔王様。ただの一魔貴族風情が偉そうな口を利かないでください。」
「な、なんだキミは?ここは交流会の場だぞ?その態度はないのではないか?」
「ええ。この場は交流会です。その交流会で失礼な発言をされたのはどちら様かとお思いですか?周りの貴族と魔王様にお尋ねしましょうか?今の状況を説明し、どちらが無礼であったかを。」
「あ、いや・・・わ、私はこれで・・・。」
プレナの剣幕に押され、小太りの男はすごすごと退散していった。
「あのおっさんに何て言ったんだ?」
「せっかくの機会ですし、他の方との交流も楽しまれては?と言いました。」
「ふーん。」
プレナの今の戦いを知る由もなく、ユークは納得したように頷いた。
「ユーク様でしょうか?」
その時、スーツを着た老人が話しかけてきた。




