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「あら、うふふ。ケガは良くなったの?」
「ええ。昇級審査のことなんですけど……」
「もう、受けられそう?」
「はい。一番早く可能な日っていつですか?」
ギルドの依頼カウンターには数人が列をなしていた。
ちょっと待ってね、とヒルダさんがファイルを確認する。
確か昇級試験は模擬戦と面接だと言ってたな。
左腕は万全じゃないが、そうも言っていられない。
「お待たせ。3日後に可能みたいだけど……」
「分かりました。それでお願いします」
「分かったわ。当日は朝10時までにここに来てね」
「ありがとうございます」
「ふふ。じゃあ、ここにサインをお願い」
申請書類にサインをして、審査内容の説明を受ける。
どうやら、模擬戦の相手は現時点でM4のポイント最下位者らしい。
俺が審査を通れば、相手のギルドランクは下がるようだ。
これで……後には引けなくなったな。
取り合えず、左腕を多少は使えるようにしておかないといけない。
……ハンネルさんのところに行くか。
「あ~」
「……」
向かいにレイナが立っていた。
自然と眉間に力が入る。
「そんなに怖い顔しなくても良いでしょう?」
「悪いが当分お前と話す気はない」
ふふっ、とレイナが鼻で笑う。
「怖いの?」
「……何とでも言え」
軽い挑発を流してすれ違おうとした。
「それにしても、サーガ・シグルドリーヴァと繋がりがあったとはね」
「……っ!?」
思わず振りかえる。
レイナは俺を睨んでいた。
「ひとつ、忠告しておくわ。あの女とはあまり深く関わらないこと」
「……大きなお世話だ」
そう言い残してその場を後にした。
もう知っているのか……。
ワンダーフォーゲルの情報伝達速度に驚いたが、さっき目にしたヤツがたまたまギルドにいたレイナに伝えたとも考えられる。
レイナ・クルージュ……。
アイツが何を考えているのかさっぱり分からない。
本当に俺が仲間になると思っているのだろうか。
ただ、どちらにしてもサーガさんやキール達には絶対に危害が及ばないようにしないと。
ギルドの入口扉を開けると、雨粒の混じった風が進入してきた。
傘を開いてハンネルさんの診療所へ向けて歩きだす。
ワンダーフォーゲルのヤツらと本腰を入れてやり合うにしても、まずはケガの完治が最優先だ。
昇級審査までには難しいだろうが、それでも何もしないよりはマシだろう。
左拳を握りしめる。
握力が弱っているのが良く分かった……。
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