犯人
また……台風か~
皆さんお気をつけください。
微笑するレイナは妖艶という言葉がピッタリとハマる顔をしていた。
「……おい」
「分かったわ。説明しましょう」
「……」
「まずは出会った時のことから。あの時は本当に偶然だった。私はダンを審査に受からせた後、その恩を使って勧誘をする予定にしてたの」
ダン……。
黒フードの男か。
「でも貴方と行動を共にしてから、予定が変わった。ダンよりもよっぽど優秀で、知名度もある人間を放っておく手はないじゃない?」
「……それで?」
「ワンダーフォーゲルへの勧誘は極秘に行われるのが常なの。自分が所属していることがバレるのなんてもってのほか。ただ、ダンは私の素性を何となく感づいているようだった。そして、あの金髪ね。アイツは完全に私がワンダーフォーゲルだと確信してたらしいわ」
グレミオ……勘だけは鋭いやつだったからな。
それが結局、命取りになったわけか。
「お前が……殺したのか?」
「違うって言ったでしょ」
「なら……」
「あの時の審査員の中にもね、ワンダーフォーゲル所属者がいたの」
「な……」
「あの二人は彼の判断で殺された。彼も貴方を仲間にすることを優先したのね。私も後で知ったことだけど」
「……」
審査員の中にもいるのか……。
思ってたより組織の規模が大きいんじゃないか?
……だんだんと話が繋がってきた。
「あの時はね、嬉しくてウズウズしてたの。それを隠すのが大変だったけど」
「嬉しいだと……?」
「だって、私の正体を知る者は消えて、堂々と貴方を勧誘できることになったのよ。あの時は審査員に仲間がいるとは思っていなかったから」
「お前……」
「だからあの時言ったでしょ。あれはただの審査じゃないって」
「……」
「さぁ、これが全てよ。後は貴方がうんと言うまで絶対に逃がさないから」
「ふざけんな!!」
バン!とテーブルを叩きつける。
コーヒーカップが一瞬、宙に浮いた。
「……そんな理由で簡単に人を殺す奴らの仲間になると思うか?」
「すぐになってくれるなんて思ってないわよ。でも……貴方はいずれ私達の仲間になる」
「言ってろ。ギルドにお前らのことを報告したらそれで終いだ。もう会うこともないだろ」
「あら。見くびってもらっちゃ困るわ」
レイナの笑顔が鋭い眼光を放つ顔に変わる。
再び部屋に緊張が走る。
「キール・ブクレシュティ」
「……っ!?」
「フレデリカ・ベーリング」
「なっ……」
「それにパイク・カーターとハンネル・ダルクハイム。……まぁ、キール・ブクレシュティは多少手間取りそうだけど」
「……お前」
一瞬、頭が真っ白になった。
パイクとハンネルさんはいいとして、なんでキールやフレデリカまで知ってる……っ!?
「良い顔ね」
「く……」
「貴方は利口だから告げ口したらどうなるかなんて言わなくても分かるわよね」
フフ、とレイナは不適な笑みを浮かべた。
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