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身近な策士

お読みいただいている皆様、ありがとうございます。

初めて今日読まれた方、ご興味いただきありがとうございます。

 ギルド審査希望者約1000人。単純計算で、この国の人口の約0.02%となる。男女比でみると男が九割を越えているようだ。


 その中で、周りから向けられる視線にカイトは戸惑っていた。


(……何でだ?)


 こら、そこ。俺を見ながら勝手にひそひそ話をするんじゃない。全く状況が飲み込めないため、仕方なく近くに立っていた男に声をかける。


「はじめまして」

「えっ。あ、はい。はじめまして」

「カイト・ヤマモトといいます」

「ロマ・ニールセンです。……やっぱりヤマモトさんなんですね」


 この男も、やはりカイトのことを知っているようだ。努めて温和な表情でさらに尋ねる。


「ちょっと教えて欲しいことがあるのですが」

「は、はい。何でしょう」

「さっきから周りの人にじろじろ見られているように感じるんですが、何かご存知じゃないでしょうか」


 ロマと名乗った男は不思議そうに俺を見た。


「えっと……。それは皆、ヤマモトさんがここにいることに驚いているからじゃないですか」


 カイトもそれはなんとなく分かっている。ただ、その理由が全く思い当たらない。


「自分でも何で驚かれているのか分からないんです。それに、何でニールセンさんを含め自分のことをご存知なのか、良かったら教えていただけないでしょうか」

「えっ、だって失礼ですがあのヤマモトさんですよね?」

「あの?」

「ええ。脈と瞳孔を発見、命名された」

「……」


(……なるほど。そういうことか)


 カイトの中で合点がいった。どうやら、皆そのことを知っているらしい。

 そういえば、はじめて脈と瞳孔についてハンネルの診療所で説明した後、いろいろ書類を書かされた。

 正直よく分からないままハンネルのいう通りに書いていったが、おそらくあれがカイトの名前を世に出したんだろう。


(……ハンネルさん、勝手なことしてくれたな)


 顔が知られてるのも多分同じ理由で間違いない。

あの時ハンネルがカメラトンクを使う男を連れてきて何枚か写真を撮られたのを思い返す。カイトの顔写真も、書類と一緒に出回ったに違いない。


(……ハンネルさん、ホントに勝手なことをしてくれたな)


「ドクター・ハンネルとの共同執筆論文、読ませていただきました。脈と瞳孔のことを知った時は雷に打たれた気分でしたよ」

「きょうど……あ、いや。そうですか。ありがとうございます」


(共同論文!?脈と瞳孔についてのか……!?)


 冷静な顔をしているが、カイトは内心冷や汗を掻いていた。思わず何ですかそれは、と口にでるすんでのところで踏みとどまった。論文がでているなら、本人がそのことを知らないのはおかしいだろう。ここは、知ったかぶるしかない。


「ありがとうございました。田舎者ゆえ世間知らずで、論文の反響が原因などとは思いもしなかったものでしたから」

「いえいえ、とんでもないです」

「ただ、あの発見はたまたまでして。自分としては銃ギルドに入ることが夢なんですよ」

「そうでしたか。お気持ち分かります。私も銃ギルド審査は今年で十回目ですが、未だに夢を捨てきれません」

「お互い頑張りましょう」

「そうですね、頑張りましょう」


 それでは、と別れをつげ会場のすみに移動した。


(おのれ、あのじじい。そんなこと勝手にしていやがったのか。……せめて俺に言えよ)


 まさかこんなことになるなんて……。

カイトは心の中で軽く舌打ちをした。


ご意見、アドバイス、評価などあればお気軽にお願いします。


これからも応援よろしくお願いしますね!

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