最終面接
暑い、暑い。
暑い~
「名前は?」
「カイト・ヤマモトです」
「年齢は?」
「19です」
「ほぅ……若いな」
「どうも」
「当ギルドの志望動機は?」
「動機は昔からの憧れです。自分にはお世話になった方々がたくさんいます。この国は農耕が弱く、食品の生産には狩猟が欠かせません。自分の働きで皆に恩返しが出来ればと思い志望しました」
カイトは今、ギルド本部の一室にいる。最終審査にあたる面接を受けているところだ。これまで答えたことであっているのは、名前だけだな。
「一次では……おお、ラムロッザから銃を奪ったんだったな」
「……あのオレンジの衣装の方ですか?」
「そうだ。若手ではあるが、アイツにそんなことをしでかすとは凄いな 」
「向こうの油断もあったと思います」
「はははっ、それはアイツには言うなよ」
気さくにカイトを審査しているのは、40代くらいの顎髭が似合うおっさんだ。プラグと名乗った彼の左腕は肘から先がなかった。
「まぁ、お前は成績も経歴も問題はないな」
「ありがとうございます」
「それにしても……。【みゃく】と【どうこう】を発見したクセに医学の道は進まないのか?」
「ご存知でしたか……。はい、あれはたまたまですので、自分が進みたい道とは違います」
なんか、朝にもこんなやりとりしたな。カイトは今朝の状況を思い出す。本当に長い1日だったが、今は深夜1時だ。審査員も大変だろう。
「そういえば、ハンネルさんは元気か?」
「……ええ。ご存知なのですか?」
「あの人は私の恩人だからな」
「恩人?」
「この腕と引き換えに私の命を救ってくれた……」
そう言って、彼は俺にむかって左腕を見せた。
「そうでしたか……」
「ははっ、昔バカをしてしまったんだ」
「……」
「会ったらよろしく言っておいてくれ。頼んだよ」
「わかりました」
「では、審査はこれで終了とする。これから君の働きに期待してるよ」
「えっ……」
「合格だ。今夜はゆっくり休みなさい」
「っ……!?あ、ありがとうごさいます!」
受かった……。突然の合格宣言に、少し興奮していることを自覚する。カイトはプラグに挨拶をし、嬉しさを噛み殺しながら部屋を退出した。
「カイト・ヤマモト、こちらに」
「はいっ」
部屋を出たところに別の審査員が待機していた。案内された部屋に入ると既に先客がいた。
「お前も受かったか」
「カイトくんのおかげよ」
「言ってろ」
そう言って、近くの席に腰をかける。レイナ・クルージュ。……やっぱりこいつも受かったか。残るはあと3人……。ジンガもおそらく大丈夫だろう。重たい空気が部屋を包む。
「……」
「……」
「ねぇ」
「……なんだ?」
「私ね、妹がいるの」
唐突に語りだすレイナ。カイトは話に付き合うことにした。
「妹?」
「それでね、まだ子どもなんだけど体が弱いの」
「……それで?」
「ただ弱いだけじゃなくて、複雑な病気でね」
「それは……、大変だな」
「治療にすっごくお金がかかるの」
「……だろうな」
「両親は他界してる。だから、何でも良いからお金を稼ぎたかった」
「……」
「……これが私の動機よ」
レイナの発言に言葉を失うカイト。
(……そうだったのか)
そりゃパサーでも何でもやるだろう。身内のために……か。それならば仕方がない。
「レイナ……」
「って、面接で言ったらあっさり受かったわ」
「……」
「……」
「……は?」
「ふふふっ。カイトくん意外と純粋なんだー。カワイイね」
「お、おまっ……」
「失礼します」
「っ!」
入口に目を向けると、ジンガが部屋に入って来た。やはり、ジンガも受かったか。カイトは笑顔で声をかける。
「ジンガ!」
「カイト!レイナも!」
「おめでとー。これで3人とも合格だねー」
これで3人とも受かったか。色々と大変だったが良かった良かった。安堵するカイト。緊張が解けたのか、身体が少し軽くなったように思えた。
(……いや、待て待て)
レイナ。お前、そのキャラに戻る必要はもうないんじゃないか。
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