オレンジの油断
ふいー
執筆作業、楽しいです。
皆さんに読んでいただけているのがモチベーションになりますね。
チュンッ
「わわっ」
ズザザッ
レイナが逃げていく。カイトの潜んでいる位置から見てもどこにいるかもう分からないくらいだから、相手のガンナーも音だけを頼りに撃っているに違いない。レイナには逃げる方向を伝えていた。それを忠実に守っていることを祈る。
身を隠していた木に登り、静かに周りを見渡す。
木々の葉が鬱蒼と生い茂っている中、微かにオレンジ色が見えた。親指の爪くらいの大きさだ。
(あそこか……)
レイナとオレンジを直線で結んだ位置に陣取り、オレンジが下を通り抜けるタイミングを待つことにした。つう、と水滴がカイトの頬をつたう。
(勝負は一瞬……)
このままここで待機していれば、必ずオレンジはカイトの下を通る。相手を信じるように目を凝らした。
(……来た!)
バシュッ
オレンジは何が起こったか一瞬分からなかっただろう。カイトの隠れている場所の真下を通過した瞬間、スカイウォークトンクを使って急降下した。
オレンジはレイナのいる方向に向けて片手飛行をしており、もう片方の手で銃を構えていた。
そこにカイトが真上から飛び込む。
バシッ
(よし……!)
オレンジと交差した瞬間、銃を奪う。そのまま素早く植物のツルでスカイウォークトンクにくくりつけ、レイナのいるであろう方向に飛ばした。
銃だけを乗せたスカイウォークトンクは、軽いためにかなりのスピードで飛ぶ。あれでは追い付けないだろう。
(頼むぞ、ちゃんと受けとれよ)
オレンジはキョロキョロと辺りを見回している。まだ若そうだ。
カイトは息を潜めながら、その場を離れていった――
「――やったね」
「ああ」
「カイトくん最高だよ」
「お前の協力もあったからな、ありがとう」
待ち合わせを決めていたポイントで、レイナとお互いの無事を確認する。
……これがガンナートンクか。カイトはレイナが手にするアンブレラカードを見つめる。話に聞いた通り、三つのトンクがセットされている。
銃弾、照準、銃身の役割をそれぞれはたしているのだろう。
「でも、ホントにすごいね」
「何が?」
「カイトくんだよ。正直鳥肌ものだったわ」
「相手も油断してたんだろう」
おそらく、オレンジは油断していた。
相手はプロだし、いくらカモフラージュしていても気配を読まれていたら危なかっただろう。正直、運もあっただろうし最良の結果だ。
これで、おそらくこの範囲は安全地帯となった。暫くの間、油断はできないが。奪ったアンブレラカードは試験が終わったら返せば良いだろう。
「私、カイトくんといて良かった」
尊敬の眼差しを感じる。
瞳が透き通るように青い。良く見ると可愛いのかもしれない。
(……いかんいかん、油断大敵)
自重するカイトにレイナが話しかける。
「これからどうするの?」
「ここを起点に50メートルずつ東西に別れて終了まで隠れていよう」
多分それが一番リスクが小さい。オレンジが任務に忠実なら他のヤツらに応援を求めるだろう。出来ればプライドの高いヤツであって欲しい。それなら、自分一人で何とかしようとするはずだからだ。二人いるカイト達からすればその方が好都合だった。
「もし、ガンナーに見つかったら?」
「合図をだしてこの場所に向かって逃げる」
「合図って?」
「別に声でも何でも良い、もう片方とこの場所で落ち合い、今度は南北に別れる」
「なるほど。分かったわ」
まぁ、おそらくそうはならないだろうが。少し前から銃声の数が殆ど止んでいる。制限時間がどのくらいか説明がなかったが、この状況だと時期に終わるはずだ。
アンブレラカードとトンクを分け、俺はカードを持ちレイナはトンクを持って東西に分かれた――
――数十分後。
終了を告げるベルが森の中に響き渡る。満面の笑みのレイナと共にカイトは最初の広場へと戻っていった。
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