エピソード2 空飛ぶスクーター
Episode2
登場人物
濱平 万里:変態
カイト:変態
山猫:「外観はイタリアメーカー製50ccスクーター(ア●リ●アSR50)をコピーした。 ペトロを燃料とし、特殊な触媒を介して空気から酸素と水素を分離、水素爆発によるロケット噴射で移動する。 最高速度は2450km/h。 特殊外装を展開すればレーダーその他によって探知される事は無い。」
山猫:「操縦はいたって簡単、通常のスクーターと同じだ。 左のハンドルの内側のダイヤルが高度調整になっている。 メーター中央部に格納されたスマホに行き先をインプットすれば、ウインドシールドに目的地を示す赤い矢印が表示される。 このナビに従って飛べば良い。」
私、腕組みしてカメムシに説教する
万里:「山猫…あんた馬鹿じゃないの?」
山猫:「何が?」
万里:「このスクーター1人乗りじゃないの。 どうやって二人乗るのよ。」
山猫:「ああ…そこ。 …つめれば良いじゃない。」
山猫:「嫌なの?」
完全にマインドコントロールされている自分が歯がゆい…
万里:「わ、判ったわよ! 行けば良いんでしょ! 行けば! ほらカイト、いつまでも半べそかいてないでしゃきっとする! 前が良いの? 後ろが良いの?」
見た目ショタな改造人間が上目遣いでオドオドしている。
カイト:「ねえちゃん、せめて初めては布団の中で普通にしてくれへん?…」
万里:「一体何の話だ! とにかく跨がれ!」
見た目赤ん坊みたいな美少年の表情が恐怖に歪む…。
カイト:「ねえちゃん、 俺が跨がるんは何や普通や無いんとちゃうか?」
万里:「バイクだよ、バイクに跨がれっつってんだよ!」
万里、カイトの首根っこ引っ張って無理矢理後ろに座らせる。
万里:「ほら、しっかり腰に手を回す。」
カイト:「くびれも下乳も無いから掴まりにくい!」
万里:「ウルサい! 行くぞ!」
知らない内に涙が頬を伝っていた…
飛行モードのスイッチを押し、左グリップの高度ダイヤルを回すと、アンダーカウル四隅からロケット噴射して、自動制御でバランスを取りながら、スクーターが浮かび上がる。 所謂VTOL機構である。
万里:「何これ! 凄い! 面白い!」
カイト:「ねえちゃん! 飛んでる! 飛んでるで!」
二人とも、妙にテンションが上がる。
カメムシも飛行しながら付き添ってくる。
山猫:「さっきも言った様に時間がない。 もうすぐ第一の封印が解かれる。 まず最初に解放されるのはメソポタミアからユダヤ系の神話に関連する聖霊達だと想定している。 その時に同時に封印を解かれる「有るもの」を手に入れたい。 他の勢力に奪われてしまう前にだ。」
万里:「一体何なの?」
山猫:「人類が聖霊に対抗する為に必要な道具…とだけ言っておこう。」
山猫:「イタリア迄着いて行きたい所だが、残念ながらこのカメムシ型ロボットの遠隔操縦可能範囲はそれ程広くない。」
万里:「この先どうするのよ?」
山猫:「ナビには仲間との合流地点が既にインプットされている。 ナビに従って飛べば良い。 後は合流した仲間と共に次の指示を待つのだ。」
山猫:「それでは、幸運を祈る。」
ステルスモードのスイッチを入れると、カタツムリの殻に似た透明な特殊外装が展開して搭乗者ごとスクータを包み込んだ。
万里:「まるでビニールの雨よけみたいね。」
やがてウインドウシールドに赤い矢印が現れる
万里:「もう、こうなったらやけっぱちよ!」
ハンドルのグリップを握り込むと、テール・リヤ・シートカウルにさりげなく取付けられたロケット噴射ノズルが推力を発生し…スクーターは次第に速度を上げて行く。
万里:「きゃっ! ぶつかる!」
ギリギリで信号機を回避する。
カイト:「ねえちゃん。 免許持ってんの?」
万里:「原付の免許くらい持ってるわよ!」
大学合格後直ぐに高校の友達と一緒に取りに行ったのだ。
多分、未だ、誰も空飛ぶスクーターには気付いていない。…筈は無いよね。
何しろ、このスクーター…結構、いや滅茶苦茶ウルサい。
特殊外装の内部はかなり遮音されているらしくカイトと私は普通に会話が出来るが…
街の声1:「なんや、この音!」
街の声2:「見い! UFOや!」
街の声3:「すげえ、こんな近くで見たの始めて!」
街の声4:「何アレ、何か光ってる、ふらふらしてるでぇ。」
左ハンドルの高度調整ダイヤルを絞り込む
万里:「もっと高く飛ばなきゃ…。」
「空飛ぶ靴」は徐々に速度を増して、雲の彼方に消えて行った…筈。
カイト:「ねえちゃん! 凄い! これめっちゃ速いな! 今新幹線追い抜かしたで!」
殆ど剥き身で空を飛んでる感覚は刺激的である。
しかしおもしろがって飛ぶのも最初の1時間が限度。 だんだん飽きて来る。
何しろ最高時速で飛んだとしても5時間かかる距離だ。 今はまだ慣れていないのでその4分の1程度の速度しか出ていない。
…目が空ろになる。
…意識も数秒単位で飛びかける。 いや確実に飛んでいる。
万里:「駄目だ〜眠い〜〜」
…その時! カイトがいきなり万里の胸を揉み始めた。
万里:「キャ!イト、何するの?」
吃驚して後ろを確認すると、どうやらカイトは…居眠りして寝ぼけているらしい。
万里:「こら、起きろ! 乳揉むな!」
というか、カイトどんどんずり落ちそうになっている。
万里:「危ない!カイト起きろってば!」
カイト完全に手を離す、スクーターはバランスを失ってキリモミ旋回! 自動姿勢制御機能でバランスを回復し、緊急危険回避モードで急遽着陸。
どっかの畑の用具入れの屋根の上だった。
万里:「…死ぬかと思った。」
カイト:「どないしたん? もう着いたん?」
カイト、未だ寝ぼけてる。
万里:「仕方が無い、居眠りしても大丈夫な様に紐で身体を縛っておくか。」
それで再び飛行開始。
カイト、しばらくすると再び居眠り
万里:「いい気なもんね、私も寝たい〜、昨日一睡もしてないのに〜。」
特殊外装の内側は温度管理されているらしく、差し込む太陽の光の所為でちょうど良い感じにぽかぽかしている。
万里:「ふあぁあーっ…ぅん。」
欠伸がでる。
その時…カイト、今度はひっくり返らない代わりに完全にもたれかかってきた、その手は…万里の太ももの内股に…
万里:「こ、こら、…ど、どこ触ってるんだ!」
万里:「お願い、カイトぉ…そこ、やめて…くすぐったい!」
モジモジする
万里:「ああん…、カイトってば…、もう…しょうがない、なあ。」
モジモジする。
万里:「落ち、ちゃうよ…」
太ももでカイトの手をぎゅっと挟んでみる
万里:「カイト…? ほんとに寝てるの?」
左手をハンドルから離して片手運転、…大丈夫そう。
何故だか、スカートを…ちょっとズリあげてみる。
万里:「手を…どけるんだからね。」
内股に挟んだカイトの手を…
生唾飲み込み
自分の柔らかい部分に、押し付けてみる。
ほんの悪戯心
横隔膜が痛い…
その瞬間! びくっ!っとカイトが起きる。
カイト:「ねえちゃん! 何?」
万里:「ひっ! 何でも無い!」
万里:「カ、カイト! 危ないってば。 それに…変な所触ってる! …くすぐったいから手どけて!」
万里、多分顔が赤いのを通り越して…白い。
カイト:「あっ、ゴメン、俺、又寝てもてた。」
一寸だけ嘘をついた。
暫く飛ぶ
万里、またモジモジする
万里:駄目、もう我慢出来ないかも…
万里:もう…だ…めぇ…!
出来るだけ音は立てない様にしたつもり、だけど…
カイト:「…ねえちゃん、屁えこいた?」
ドキ!
カイト:「なんかめっちゃクッサイ!」
万里:「馬鹿っ! そういう事は気付かなかった事にするもんだろー、普通…」
カイト:「無理や、臭すぎる! わあ、紐で縛られてて逃げられへん! 拷問や、助けてくれぇ!!」
特殊外装の中は…換気は必要最小限らしい。
万里:「ちょっと、…降りる。」
どっかの森の中
我慢限界
万里:「カイト、変な獣が出てくるかもしてないから…ちょっと見てて。」
カイト:「全く、女子大生の考えてる事はよう判らんけど、ねえちゃんがそう言うなら、しゃあないな。」
万里、大きめの木陰に隠れて…用を足す。
万里:「危なかった…」
山猫のお陰で、トイレ以外の所で用を足す事にも余り抵抗を感じなくなってきた…
万里:しまった! あぅう、ティッシュ…忘れたかも。
万里:ううう、女としてどうなのよ、私…。
万里、溜息をつく
カイト:「すごい、女ってそんな風におしっこ出るんか。」
何故かカイトが見てる
万里:「ひっ! 馬鹿! ちょっ、何見てんのよ!」
カイト:「ねえちゃんが見ててくれゆうたんやんけ。」
万里:「違う! 変なのが出てこないか見ててって言ったの!!」
カイト:「おしっこが出てる。」
万里:「バカぁ! 見んな!! 向こう行け!!!」
…止まんない。
カイト:「俺初めて見たわ、結構毛モシャモシャやったな。」
万里、無視
万里、1人でスクーターに跨がり、…上昇!
カイト:「ねえちゃん置いて行かんといて、こんなとこに置き去りにされたら腹減って死んでまう!」
万里:「知らない、カイトの馬鹿ぁ!」
万里:「お前のも見せろ!」
カイト:「無理や、ねえちゃんには負ける。 あんなブットイのでけへんって、」
万里、顔面体温、臨界点突破!
万里:「あんたなんか知らない! 死ね!! 変態!!!」
狼の出そうな深い森の奥に少年を置き去りにする。