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環はあの世を駆けめぐる  作者: 春日野霞
第ニ章 ソピア<知恵>
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再びまみえん

 環は、無骨な天使に第二の町への出口まで送ってもらった。草がなびく陸地に、汽車が停まっている。次の町までは歩かなくて良さそうだとホッとした。

 相変わらずファンシーな雲から降り、無骨な天使に頭を下げる。


「お世話になりました」

「いえ。こちらこそ」

 意外なほどやわらかな口調で言う。


「私はなにも……」

「正直、我々もナルディラ様には手を焼いておりました。アリテュス様は、かならずこの町を良くしてくれましょう。次にこちらに来たとき、町の様子に驚かれるかもしれません」


 無骨な天使は最後に微笑むと、空へ舞い上がった。


「そっか。私また、ここに来るんだ」


 今度来るときは、半端によそ者のようでも、やるべきことがあるわけでもない。この後の人生を生き抜いた先に、たどり着く場所なのだ。


 環は、広大な海のような第二の町を見つめた。鏡面のように凪いだ海が、水色の空を映している。所々に突き出た建物が、やがて来る人の訪れを待っているように見えた。


 アリテュスはどんな町をつくるのだろう。

 そしてその町を、未来の自分はどんな気持ちで見つめるのだろうか。


「ちょっと楽しみ」


 環は、汽車へ向かう人波に歩き出す。左の耳につけたピアスが、ぴかりときらめいた。

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