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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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63 石板の謎

 カミナが美容院に行った。妊娠中最後の美容院になるので髪を短くするらしい。

 そうか、今までのロングヘアーも素敵だったけどな。でもショートヘアーも見てみたい。


 例によって暇だ。美容院だけはついて行く気になれない。

 髪の薄い者にとっては完全アウェーで死にたくなるからだ。


 …そろそろ石板を解読しようかな?ずっと放置してるし。

 去年の育成期間に出たんだよな?もうすぐ一年経ってしまう。

 さすがにほったらかし過ぎだ。解読に時間かかるかもしれないからカミナにメモを残しておこう。

 俺がいないとすぐに浮気を疑うからな。



 自分の家に戻り、ガレージへ行く。

 置いた時と変わらず鎮座するでっかい石板。

 ダンジョン内で見つかる書物などの文字はこっちの世界では存在しない。

 でもダンジョン誕生から数年後には解読できるようになった。

 ノートパソコンを持ってきて、ネットを見ながら解読を試みる。


「はあ、外国語みたいにスマホをかざすだけで翻訳出来ると楽なんだけどな」


 そこまで需要は無いのかそんなアプリは存在しない。

 なので一文字一文字翻訳しながらノートに書き留めていく。

 地道な作業、老眼が始まってる俺にはつらい作業だ。


 作業始めてから1時間、カミナがやってきた。


「GOD、進んでる?」

「今、三分の一くらい…おお!可愛いな!」

「え、えへへ、ここまで短くしたの中学生以来だから恥ずかしい」


 あどけなく見える。天使か?天使なのか?

 いつもは海外のトップモデルのようなカミナがここまで変わるとは。

 やっぱ髪の印象って凄いよな。俺は髪形変更出来ないから羨ましい。


「最近来てなかったし、私はまた家の中掃除してるね」

「助かるよ。でも無理はしなくていいからな」


 では翻訳に戻るか。まだ途中だけど興味深い事が書いてあるんだよな。

 今日中に翻訳終わらせて全貌を解明したくなってる。


 一時間後


「GOD、ちょっと休まない?コーヒー淹れたよ」

「ああ、助かるよ」


 三分の二まで解読が終わった。リビングに行って一休み。

 ふう、慣れない作業だから肩こるなぁ。


「カミナ、ひょっとしたらだけど、新しいダンジョンが誕生するかもしれない」

「ぶっ!ええ?ど、どう言う事?」


 まだ翻訳途中なんだけどな。

 どうやら不死王を累計100回倒すのが石板を出現させるトリガーだったらしい。

 ダンジョン誕生から40年でまだ100回行ってなかったんだな。


「なんか、ブロンズダンジョンってのが出るみたい」

「どう言う事?全然意味が解らないんだけど」


 まだ翻訳途中だ。俺も解ってない。

 でも800階層のボスでブロンズダンジョンって事は…


「おそらくシルバーやゴールドもあるんじゃないかな」

「900層のボスを100回討伐したらシルバー?」


 俺の予想もそんな感じ。もちろん1000層ならゴールド。

 全てを攻略し終えたと思っていたのにまだ続きがあった事にワクワクし始めてる。

 同時にどうしてもっと早く気付かなかったのかと後悔し始めてる。

 俺はもう50代半ば、未来を後人に託す年齢だ。

 下がってしまったレベルを取り戻すのに四苦八苦している年齢だ。


「でも凄いね。私も興奮してきちゃった。妊娠中なのが悔しい」

「こんなの公表したら大騒ぎだからな」


 石板を出してしまった以上公表はしなくては。

 それが後世にバトンを渡す先人の役割、隠すようなセコい真似はしたくない。


「でもどうやったら出現するの?」

「そこはまだわからん。これから解読する」


 そんな訳で解読に戻るよ。コーヒーありがとうな。



 一時間後


「ふむ」

「どうだったの?何か解った?」

「取り合えず500階層のダンジョンが出るという事は解ったんだが…」


 その他は解らん事だらけだ。この石板をはめる場所があるらしいんだが、全く心当たりがない。

 ダンジョンの外か?それともダンジョンの中?800層もあるダンジョンにどこかにそんな場所あったか?


「これは飛川さんに相談だな」


 電話をかけよう。忙しいかな?出てくれた。


 ーええ?そんなものが存在するんですか?ー

「でもはめる場所なんて心当たりがない」

 ー……ひょっとしてー


 おお?!飛川さん心当たりがあるの?

 飛川さんの指示で道後ダンジョンへ現地集合する事になった。



 ---------------



 道後ダンジョン前広場


 俺とカミナはテレポートで飛んできた。

 飛川さんはテレポートを使えないレベルだが、使える側近がいるらしい。

 ボディーガードかな。さすが国会議員。


 さて、ダンジョンは地面が隆起したかのような小高い山になっている。

 そのふもとに窪みがあり、入り口になっている。

 そこから中へ入り、下へと続いている。

 これが今までのダンジョンだ。大体どこもこんな感じ。


「こんなとこ来たこと無かったな」

「皆入り口に行っちゃいますからね」


 飛川さんに誘導され、ダンジョンの頂上へ。

 そこには石板がぴったりはまりそうな台座が鎮座していた。


「ふう」

「カミナ、お前は身重なんだから下で待ってればいいのに」

「でも気になるもん」


 ショートカットで甘えてきたから許した。

 仕方ないよな、うんうん。


「以前から800階層以上のダンジョンにある台座はなんなのかと国の調査では話が出ていたんですよ」

「やっぱり他のダンジョンにもあるんだ?」

「はい、800階層以上のダンジョンにはもれなくあります」


 別府第一1000、草津900、箱根900、奥飛騨800、由布院800、そしてここ道後800。

 台座があるのはこの6か所という事になる。


「他のダンジョンで石板は出てないの?」

「報告は無いですね。ダンジョンボス100回討伐が出現条件でしたか?国の統計を見ても道後以外は100回行ってないのだと思います」

「ダンジョン誕生から40年も経っているのに?みんな何をやってるんだ」

「討伐回数の半数以上がソロ時代の貴方なんですよ?皆、死んだり仲間を失ったりで諦めていってるんです」


 そっか、5体も精霊持ってるチート野郎だもんな、俺。

 調子に乗った事を言ってしまった。


「高階層にたどり着く前に大金稼いで引退、年齢による諦めも多いんですよ?」

「確かにな、死んだら元も子もないし、皆どこかで線を引いちゃうんだろうな」


 いくら大金を稼いでも死んだらそれまでだ。

 冒険者をやってれば幾度となく引き際を考える。


「じゃあ石板はめてみようか」

「ちょ、ちょっと待ってください!何が起こるか解らないので一度国会で審議してから!」


 ええ?ここまで来たのに?

 でも確かにこの辺一帯の避難誘導くらいは必要かもな。

 現在ダンジョンに潜ってる者達にもどんな影響があるかわからないし。


「じゃあ石板は飛川さんに預けようか?」

「わ、私がはめる事になるんですかね?それもちょっと怖いんですが」

「GODの手柄なのに、人に任せていいの?」


 ああ、宝が出るとかなら譲れないけど新しいダンジョンが出るって解ってるからね。

 別に安全な場所から傍観で良いかな。

 実際天変地異が起こるかもしれない。予想できないからおっさんは怖い。


「カミナも気になるだろうけど身重なんだから」

「わ、私は独身だしどうなっても良いと?」

「そんな事言ってないでしょ?国ならどうせ身代わりの秘書を用意するんでしょ?」

「人聞きの悪い事言わないでください。他の議員はともかく私はクリーンです」


 ごちゃごちゃ言いながら本日のところは見送り。

 石板を無理やり飛川さんに押し付け、今日はお開きとなった。



 -------------------



 土曜日


「今日も雨だね」

「じゃあ計画通り熱海港へ行く?」

「天気によって欠航があるらしいっすよ?」


 熱海の女の子三人は熱海港からジェット船に乗ろうとしていた。

 目指すは大島、ダンジョンがある島だ。

 北海道旅行ではフェリーも使う事になるので船に慣れておこうという算段だ。


「船は出てるみたいだよ」

「でも帰りは大丈夫かな?」

「欠航なら島で泊りになるっすね」

「時間制限もあるね。到着から6時間でダンジョン攻略しないと帰りの便に乗れない」

「100層だから余裕だと思うけど…」

「トラブル起こった方が旅っぽいじゃん。乗っちゃおうよ」


 エレナに強引に押し切られ、ジェット船へ。

 時間制限のある弾丸ダンジョン旅行か。

 ダンジョンは港のすぐそばにある、100層なら4時間で戻って来れると思うけど。

 どうせなら観光もしたかったけど、雨だしなぁ。


「うわ、浮かんだ?」

「高速運転になったみたい」

「うはは、速い速い!」


 水の上を滅茶苦茶早く滑るジェット船。45分で大島に着くらしい。

 フェリーの練習として乗ってみたけど、これは別物なんじゃないだろうか。

 甲板には出れないんだね。早すぎて危ないからだろう。

 雨の日なんて特に滑って海に落ちそうだ。


「すごいね。なんでこんなに凄い船が熱海から出てるんだろう」

「お客さん結構乗ってるよ?需要があるって事なんじゃない?」


 自然がいっぱい大島。若いうちはそれほど魅力を感じない。

 大島も一応東京か。なんで東京っぽくない場所にばかりダンジョンがあるんだろう。

 都会に高階層のダンジョンがあれば大学選びに悩むこともないのに。


「エレナは大学決めてるの?」

「うん、三島の看護大学」

「へえ、エレナは看護師目指してたの?」

「いえ、今は冒険者しか考えられないっすね。ヒール使えるから勉強も意味ないもの多いだろうし」


 本当にそうだね。ヒール使えれば外科医の変わりが出来る。

 冒険者になる前に決めた事で今も何となく変えてないらしい。

 他の大学となると今の成績では難しく、選択肢が無いんだって。


「三島は電車で12分なのも魅力的でね」

「近いもんね三島」

「ルシルは決めてないの?」

「東京であたしが入れそうな女子大としか決めてないね」

「女子大がやっぱいいんだ?」

「まあそうだよね」


 二人はなぜか納得してる。

 なんなのよ、嫌な感じだなぁ。あ、着いたみたい。

 ジェット船は揺れが少なくて快適だった。船酔いとかも心配だったけど杞憂だったみたい。

 あ、雨はやんでるよ。曇ってるけど降ってないだけで助かるね。


「島だ」

「島だね」

「島っすね」


 これが島か。なぜだろう?テンションがじわじわ上がる。

 どうせド田舎だと思ってたし、実際そうなんだけど、島に降り立ってみると気分が高揚してくる。


「なんでかな?異国に来たような錯覚を感じる」

「本土から出たからかな?どうみても日本なんだけど違って見える」

「距離以上に遠くに来たような感じっすよね」


 高校生だからだろうか。船なんか乗って大冒険をしてるみたい。

 親がいないのもあるのかな。あたし達は子供だけで新しい地に降り立った。

 これが旅なのだろう。今あたし達は旅をしているのだ。

 今日あたし達がここに来なければ、一生出会わない人達がここに居るのだ


「ジェット船一つでここまで違う気分を味わえるなんて」

「旅行ってやばいね。これははまっちゃうよ」

「北海道なんて行ったらウチらどうなるんすかね」


 自分でも説明しきれない高揚感。

 ダンジョンなんて潜らないで、島を探索したい気分。


「うーん…………それも良いかもね」

「おお、予定通りに行かないのも旅っすね」


 予定を急遽変更、あたし達は観光する事にした。



 ---------------



「火山島なんだね、この地層が溶岩って事?」

「何回も繰り返し噴火してこれが出来上がったって事?」

「二人とも地層に興味あるとは…ウチは次に行きたいよー」


 アイテムボックスに入れておいたバイクにまたがり島を回る。

 エレナは地層に興味なしか。あたしもそこまでの興味は無いけどなんとなく人が多い場所だし流れで見てみた。

 だけど先ほどから雄大な景色には圧倒されている。


「それよりバイクで走らないっすか?アップダウンが楽しいっす」

「確かに、バイクで島を一周は良いアイディアだったね」

「お昼はどうするの?あたし一応アイテムボックスに携帯食料入れて来たけど」

「旅行はやはり現地の物を食べるべきじゃない?」


 大島の名物って何?べっこう寿司とくさや?

 うーん、ピンと来ないね。


「うーん、おじ様に聞いてみようかな」

「エレナ、おじさんの連絡先聞いてるの?」


 RINEだけ交換しているらしい。

 ずるいじゃない、グループRINEにしてよ。

 ルシルとクオンがグループに加わった。


 ー大島か、俺が行ったのはずいぶん前なんだがー


 それでもいくつかお店を教えてもらった。

 お店、残ってると良いなぁ。



「うまっ!塩ラーメンなんて食べた事無かったけどこんなに美味いの?」

「お店の外観見た時は不安だったけど、貝の出汁が良い感じだね」

「島海苔うめえ!麵と一緒にすすると味が引き立つ!」


 おじさんから教えてもらったお店はあたりだった。

 メニューは昔とはだいぶ変わってしまったみたいだけど、元々美味しいお店だったのだろう。


「ふう、これはいいね。北海道も師匠にお店の情報貰おうよ」

「おじさん食べ〇グじゃないんだから」

「おじ様はネット無しの時代に回ってたんだよね。尊敬するっす」


 本当にね。スマホ無しで旅行なんて考えられない。

 道に迷う事も無ければ仲間とはぐれる事もない。便利な時代になったんだろうね。


「晴れて来たよ。観光にして正解だったね」

「スマホの情報通りだね」


 天気も解るんだもんね。昔は大変だったんだろうな。

 ネットも無いのにバイクにまたがり一人旅か…それはそれで良い経験になりそうだけど。

 女子には難易度高いかな。


「さて、また島を探索しよっか」

「結局ダンジョンには潜らなかったね」

「たまにはそれも良いじゃないっすか」


 せっかくの遠出なんだから思い出を作る事も大事だよ。

 ダンジョン潜るだけなら熱海で良いんだ。移動に時間をかけるてまでやる事では無い。

 あたし達はただ、この三人でいつまでも一緒にいたいのだと思う。

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