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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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103/103

103 新たな旅行計画

 年が明けた。


「冒険者神社行く?」

「いや、今年は楓も小さいし、風邪ひいたら大変だからやめておこう」


 正月だし家でぬくぬくしよう。

 おめでとうメッセージがいくつか来てる。

 今年もよろしくと返しておこう。


 しかしゆっくりしようと思っても暇なのが正月だ。

 テレビは面白くないし、やることが無いな。

 楓はずっと寝てて大人しいし。


「そういう訳で、おかしなことしようか」


 正月早々おかしな事をした。



 ----------------------



「正月早々潜るのなんてウチらくらいかと思ったけど」

「結構いるね、やっぱりみんな暇なのかな」


 熱海ダンジョン前広場


「まったく、旅行にでも行けばいいのに」

「3人とも大学生になったら冬休みも旅行したいね」

「冬のダンジョン旅行?冬に回るとしたらどこが良いのかな?」


 やっぱり南の方になるのかな。

 雪が多い場所は移動が大変だろうし。


「九州は夏に行く予定だしなぁ」

「と言うかその前に春休みがあるけど」


 春休みは8日くらいしかない。

 普通の旅行なら十分な期間だけど、ダンジョン旅行としては大した事出来そうもない。


「春休みは千葉とかで良いんじゃない?」

「ああ、千葉は海沿いに固まってるんだよね」


 千葉は8か所、200が2つと残りは100。

 楽な場所だから終わらせておきたい気持ちはある。

 ただ8か所ならゴールデンウィークでも行けそうだ。


「秋田岩手も楽だよね。ウチとしては北海道と青森終わってるし、上から塗りつぶせると気持ちいいかな」

「それも解るんだけど、秋田岩手は結構数があるよ」


 秋田13か所、岩手12か所、この二県は県境にダンジョンが結構あるので一緒に回りたい場所だ。

 花巻300を筆頭に、200が2つ、残りは100。


「25か所回りながら観光までするとなると、最低でも15日は必要かな」

「冬休みの日数だね。でも雪降ったら移動がつらい場所。観光も冬はつらそう」

「うーん」


 なかなか都合よく行かないね。

 どんな計画を立てるのが最適なのか。


「夏だって九州は79か所だよ?絶対回り切れないよね」

「中途半端になるの嫌だけど…」


 大学の休みは8月からのはずだからクオンちゃんと休みがかち合うのは丁度1か月間になる。

 31日間で観光しながらどこまで回れるものなのだろうか。

 お盆もはさむし宿の予約にまた苦労するだろうね。


「九州は大分と熊本飛ばせばどうだ?レベル高い場所多いし」

「え?」

「あれ?おじ様?何やってんすか?」

「正月って暇だよな」


 カミナとおかしなことした後暇だから来ちゃった。

 大分16か所、熊本22か所、この二つを抜けば九州は41か所だ。31日間で回るなら丁度良さそうだけどな。


「別府はラスボス…まあタワーダンジョンが出来たからそうじゃなくなったけど、後のお楽しみに残すとか」

「熊本も黒川600があるからスルーって事?」

「そうそう」

「パイセン別府出身なんで帰りたがるかもしんないっす」

「ああ、夏に行くのなら墓参りとかしたいかもな」

「二人を連れてそんな場所には行きませんよ」

「あれ?クオンちゃん?」

「パイセンまでなんで来てんすか」

「正月くらい勉強休ませてよ」


 みんな暇なんだな。

 エレナ、お年玉は無いから手を引っ込めろ。


「私は良いよ、大分熊本スルー案」

「実家の近くとか見たくないの?」

「大分好きだったって言ってたっすよね?」

「そうは言っても引っ越してまだ2年だよ?もうちょっと時間おいた方が感動するんじゃない?」


 そんなに変化してないだろうな。

 懐かしい気持ちになるにも2年だと微妙だ。

 ああ、うん、コンビニ出来たんだね、くらいで終わりそう。


「それに、母親は父親の近くに行ってほしくないだろうからね」

「…そっすか」

「…クオンちゃん」


 母親への気遣いか。離婚したんだもんな。

 そうだな、もうちょっと期間を置いた方が良いのかもな。


「じゃあ春はどうするっすか?」

「渦潮と初ガツオ、四国に行ってきなさい」

「四国四県で七か所だよ?微妙じゃないかな?」


 うどん食って鯛めし食ってやることいっぱいあるぞ?

 四国はアクセス悪くてな。結構苦労すると思う。


「でも道後以外は全部100だし攻略は楽だぞ」

「道後が飛びぬけてるんですよね」

「あたし、タワー見たいかも」

「おじ様がウチらを差し置いて他の子育成してる場所っすか」

「お前まだ言ってんのかよ」


 まったく根に持ちやがって。

 あれだな、足摺ダンジョンまでテレポートで送ってやろうか?

 あそこから始めると楽だぞ。


「え?それは悪いよ」

「エレナ、アンタがおかしなこと言うから」

「実際辺鄙な場所なんだよ、電車もないし、バスはあるけど本数ないし時間がかかる。バイクで移動しかないだろうな」


 あそこまで行ってまた戻ってこないといけないというのがな。相当時間をロスすると思う。


「ちなみに足摺岬は東京から一番行きにくい観光地って言われててな」

「へえ、四国なのに?」

「北海道や沖縄の方が近いって事?」

「移動時間で見るとそうなるんだろうな」


 四国は道も狭いし大変だ。

 そういう訳で遠慮するな。どうせなら楽しい旅にしたいでしょ?


「うーん、そこまで脅かされると」

「師匠、甘えても良いんですか?」

「いいぞ、四国制覇してこい」

「ウチの手柄」

「こいつは足摺岬に捨ててきてくれ」

「あはは」


 まあ詳しい日程決まったらRINEして。

 俺はそろそろ帰るよ、じゃあな。


「さすがおじ様、良い人っす」

「調子いいね、エレナ」

「四国か…徳島にはダンジョンなかったよね?」

「うん、ダンジョン王国の日本だけど徳島と沖縄にはないね」


 でも渦潮は徳島だよ。観光には行こうね。

 高知でカツオ食べるとなると、寄り道もしないといけないかな。

 ダンジョンは7か所だけど、観光含めると丁度いいのかもしれないね。

 春の楽しみが出来たよ。


「後はパイセンが受かるかどうか」

「確かに…せっかく決めたけどそれがあったか」

「ちょっと、大丈夫だと思うよ?多分」


 はいはい、クオンちゃんもそろそろ帰って勉強しなよ。

 あたし達も随分長話しちゃった。そろそろ潜ろうか。



 -----------------



『主、復活したぞえ』

「おお!!ずいぶん時間がかかったな!心配したぞ!」


 ホゲーが復活した。結局一か月くらいかかったな。

 もう大丈夫なのか?無理してないか?


『迷惑をかけたぞえ』

「そんな事は無いよ、俺が頼りすぎたもんだから」

『これからも遠慮なく頼ってほしいぞえ』


 そうは言うけどこれからは慎重になっちゃうだろうな。

 もうこんな思いはこりごりだよ。


『あの時は我が不注意だった。つぎはうまくやるぞえ』

「いや、予想できなかった俺にも問題あるよ。ホゲーは最初から相性があるって言ってた訳だし」

『ふむ…ではもうあの時の敵に我を使わぬのか?』


 懸念がある以上使わないかな。

 あの時はたまたまケガだけで済んだのかもしれない。

 最悪死ぬようなこともあるんじゃないのか?


『そうかもしれぬな』

「それは絶対に嫌だ。俺はお前を幸せにする為にアイスランドから連れ出したんだ」

『主…』


 こんなに早く後悔するところだった。

 やっぱり俺なんかと契約したのは間違いだったのかと…


「別に過保護に扱う訳じゃないぞ?お前だって活躍はしたいだろ?」

『うむ、そうありたいぞえ』


 すべての可能性を考慮し、的確に判断出来るよう心掛けるよ。

 歳とか言い訳にしてた。歳だと思ってるならやめればいいんだ。

 冒険者を続けるなら言い訳をしてはいけない。



 -----------------



 そんな訳で来てみました。ここは草津良いとこ一度はおいで。900階層 バハムートの間。

 ただいまレオンの加護で透明になり観察中。


 まだ先になるだろうけど再戦することになるだろうからね。

 ホゲーの加護を試せるか検討中。


「背中にトゲがある。あの上に乗ったらやっぱ怪我するかな」

『あれくらいなら平気だぞえ。ただ頭の角は鋭く長い、角度によっては傷を負う可能性もあるぞえ』

「じゃあ頭は避けて体の上にだけ乗っかることは可能か?」

『敵の動き次第だぞえ、立ち上がっていたら難しいぞえ』


 今は四足歩行中、このタイミングなら可能だろうな。

 だが敵を見つけると自分を大きく見せる為に立ち上がる、そのタイミングだと厳しいか。

 奇襲でならいけるって事かな。


『どうだろうな?ホゲーの動きはダイナミックだから後ろからでも気づかれるんじゃねえか?』

「文太はそう思うのか。ホゲー、気づかれたら実体化をキャンセルって出来るか?」

『実体化しなければ良いだけだからな、可能だぞえ』


 ただの陽動になってしまうが可能なのか。

 ちょっとやってみてもらおうかな。


「ホゲー、あいつの後ろから実体化は無しで飛び上がってみてくれ」

『了解だぞえ』


 ホゲーが地面から飛び上がる。すぐにバハムートが気づいて振り向き立ち上がろうとする。

 向かってくるホゲーに炎を浴びせるが、実体のないホゲーには関係ない。

 そのままバハムートにぶつかるようにホゲーが地面に消えていく。


「やっぱ気づかれるな。900ボスがそんな間抜けな奴な訳ないか」

『主、警戒してるぞ。こっから離れた方がいい』


 そうだな、ダンジョンから出よう。ホゲー、ありがとうな。


「ふむ、陽動として使えるならそういう戦い方もありだな」


 注意をひいてくれるなら戦いやすくなる。

 だがバハムートもそれにはすぐに気づくかもな。

 実体が無いとバレれば無視されるか?

 無視されたら実体化という奇襲もありっちゃありか?

 うーむ、その時の状況次第だな。



 続いて、箱根900層 リヴァイアサンの間。


「あいつは水の中にいるからやっぱ加護の効果弱まっちゃうよな?」

『水に衝撃を吸収されてしまうであろうな』


 予想通りか。一応来て見たけど無駄骨だったかな。

 今は水の中から頭を出して優雅に泳いでいる。

 ヘビのように長い体、ヒレが翼のようにでかい。

 あいつが口から出す水ビームが即死級で怖いんだよな。


 トゲも角もないからホゲーが怪我をする心配はないように見える。

 だがあいつは水の中から絶対出てこない。

 テリトリーから出ても良い事ないもんな。


「なあ、押しつぶす時に実体化するのではなくて、例えばあいつを下から押し出す事は出来るか?」

『ふむ、水の中から出したいのかえ?』


 水中で実体化し、リヴァイアサンを下から打ち上げるイメージだ。

 地面に打ち上げてくれればあいつはピチピチ跳ねるだけの魚になるのではないだろうか?


『ふむ、やってみるぞえ』

「ん?え?あ、気をつけてな」


 行っちゃった。まだ検討段階だったのに。

 やっぱあいつも役に立ちたいのかな…


 異変を感じ、リヴァイアサンの動きが止まる。

 ホゲーには気づいてないみたいだな、頭を水中から出しているからかな。

 いや、水の中に自分より大きな存在などいなかったからだろうか。


 水中が盛り上がり、リヴァイアサンが気づく。

 だがもう遅い、リヴァイアサンの体の下から巨大なクジラが顔を出す。

 押し上げられたリヴァイアサンが天井にぶつかり、地面に打ち付けられる。

 今のはダメージ大きそうだな、リヴァイアサンの自重も加わりノックアウト。

 口を開けてダウンするリヴァイアサンが目の前にいる。


「おお!こ、攻撃しようかな?倒す予定ではなかったんだけど」


 出足が遅れてしまう。慌てて攻撃するが準備してなかったから中途半端な攻撃ばかり。

 リヴァイアサンの目が覚める、するとヘビのように動いて水の中に戻って行った。

 すぐに警戒態勢、俺は透明になってるから気づかれてない。

 だけど存在はバレているだろうな。


『ふむ、次は我の加護も気づかれるであろうな』

「警戒態勢になると駄目か」


 リヴァイアサンに奇襲は効いた。

 最初の一度だけだがホゲーの加護は通用する。それが解っただけでも成果はあった。

 よし、ダンジョンを出よう。



 この前はスルーしたけどクラーケンにも同じ戦法使ってみようかな。

 水中から打ち上げられるクラーケン、地面に打ち付けられダウン。

 やはりダメージは絶大だ。そのまま攻撃、途中で気が付いて水の中に戻ろうとするが動きが遅い。

 クラーケンはなかなか水の中に戻れないのか、そのまま討伐完了。


「水の中の敵は駄目だと思ってたけどやりようあるんだな」

『役に立てたなら良かったぞえ』


 色々解ってよかった。じゃあ帰ろう。



「GOD、お正月から家空けすぎ」

「すまん、ホゲー復活が嬉しくて色々試したくて」

「それで草津と箱根と城崎に行ってたの?」

「(やっぱ位置共有見てるのか)ああ、楓ほったらかしでごめんな」


 しばらく俺が見てるよ。風呂でも入ってきたら?

 カミナはトイレに行った。我慢してたのか。


『主、楓が笑ってるぞ』

「おお、本当だ」


 文太がいないいないばーをしてる。しぐさが可愛い。

 楓も2か月過ぎたから笑うようになってきた。

 順調に成長してる。このまますくすく育ってくれよ。

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