エピローグ:世界という名のワークシート
数年後。
俺は、天界の玉座……ではなく、エル・ドラドのいつもの執務室にいた。
世界の管理は、神々(部下)に任せてある。
俺は、現場が好きだ。
ここから、人々の営みを眺め、たまにコーヒーを飲む。それが一番の幸せだ。
コンコン。
ドアがノックされた。
「入れ」
入ってきたのは、すっかり貫禄のついたカイルと、美しく成長したミリア、そしてリリム。
さらに、今日は特別な客が来ていた。
魔王ゼノスと、勇者アルスだ。
「よう、CEO。また面倒な案件か?」
カイルが笑う。
「いえ、今日は休暇ですよ」
俺は立ち上がり、窓を開けた。
空には、アーク・ロイヤルが優雅に飛んでいる。
その向こうには、かつてないほど澄み渡った青空。
「世界は安定しています。
バグも減りました。
……少し、退屈なくらいにね」
俺は呟いた。
だが、その退屈こそが、俺たちが求めていた「平和」なのだろう。
「さて、飲みに行きましょうか。
今日は私の奢りです。……経費じゃなく、自腹でね」
みんなが歓声を上げる。
俺たちは部屋を出て、光の溢れる街へと繰り出した。
俺の冒険は、これで終わりかもしれない。
だが、Excel(相棒)はまだここにある。
もしまた、世界のどこかで非効率な悲劇が起きたなら。
その時は、また F5キー を叩いてやるさ。
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Goodbye, World.
(完)




